2012年6月18日月曜日

状況論

ここのところ、日本国の劣化がはなはだしい。民主党政権だからではない。長年の自民党政権が溜め込んだ膿が政権交代後に噴出しているのだ。弱小・軟弱な書生集団・民主党政権、とりわけ選挙屋・松下政経塾出身者には手におえない。

(1)オウム「逃亡犯」――なぜいま逮捕なのか

ワイドショーは多くの時間をオウム真理教の逃亡犯逮捕のニュースに充てている。筆者の素人判断にすぎないが、当局は、オウム事件で潜伏したという複数の被疑者を敢えて逮捕しなかったとのだと思っている。当局は、「逃亡犯」を何かの時の手駒として、持っておきたかったのだと思う。当局=体制にとって、都合の良いタイミングで「逮捕」したかったのではないか。

ではなぜ、いま逮捕なのか――消費税増税問題で国会が煮詰まっているときだからだろう。与野党ともに消費税率アップで合意していながら、国民は増税を望まない。その反発をまともに受けたくなかったのだ。そのようなとき、「逮捕」への指揮系統が働いたのではないか。与野党談合の隠れ蓑として、「逃亡犯逮捕劇」が利用されたのではないか。

当局にとっては、監視カメラ増設予算を大幅に増額できるという二次的効果もある。テレビが「公開捜査」で情報を流し続け、それを受けて国民が監視の目を光らせ、“怪しい奴”を通報するという社会システムの構築も期待できる。密告社会の実現だ。当局は、旧ソ連、東ドイツをはじめとするスターリニズム国家を日本に再現しようというわけだ。

(2)オウム事件、真相解明委員会

ワイドショーに出演した弁護士が素晴らしい発言をしていたので紹介しておく。その弁護士は、“オウム真理教事件は、なにひとつ解決していない”という意味の発言をした。当局は複数の事件に関与した教団幹部を全員逮捕したというけれど、なぜ、彼らがあれだけの事件を起こしたのかは、裁判でも一切解明されていないと。

その弁護士は、「原発事故の事故調査委員会」のようなものを立ち上げ、そこで、事件の全容を解明すべきだと主張した。まったくそのとおりだと思う。▽オウムとロシアとの関係、▽サリン製造のノウハウはどこから?▽地下鉄サリンの前の松本サリン事件でなぜ、誤認逮捕があったのか、▽教団幹部・村井殺害の真相は、▽国松長官狙撃事件の犯人は・・・思いつくだけでも、これだけの関連事項の真相が解明されないままなのだ。とりわけ、教団の資金の流れだ。

(3)「東電OL殺人事件」の深い闇

いわゆる「東電OL 殺人事件」で、犯人とされたネパール人が強制退去で帰国した。事実上の無罪放免である。彼は罪を犯していないにもかかわらず、15年近くも入獄していた。彼が欧米国籍の外国人だったら、こんなことにならなかったのではないか、と筆者は思い続けてきた、と同時に、日本の当局に対する嫌悪感で胸がいっぱいなっていた。オーバーステイのアジアの小国の弱者を生贄にする、日本の当局の「やり方」が汚い。

(4)原発再稼働の無責任さ

原発再稼働宣言については、NO-DAの愚挙の極みだ。再稼働派は、3・11を忘却の彼方に押しやりたいのだ。なにもなかった、3・11は悪夢だったと。だが、3・11こそが現実なのだ。日本の原発は不良品。しかも、それに携わる者(設計者、ゼネコン、電力事業者、政治家、役人、学者、マスコミ人・・・)のヒューマンスキルが低すぎた。事故後の対応力にいたっては、どうしようもない。事故直後、「安全、安全」と言い続けてきた当時・官房長官の政治生命は絶たれておかしくない。にもかかわらず、3・11後に原発を監督する経産大臣に就任したのは、ブラックジョークを通り越している。

NO-DAが「責任をとる」といったって、事故があった後、彼が壊れた原発を修理できるわけでもないし、補償を支払えるわけでもない。事故で死亡者が出たら、NO-DAが生き返らせることができるのか。拡散する放射線を止められるのか。NO-DAに、どういう責任がとれるのか。“引責辞任”なんて、責任をとったことにならない。NO-DAの「はったり」には頭にくる。言葉の「軽さ」にイライラする。