2017年2月26日日曜日

サッカーJ1、順位予想(2017)

うっかりして、サッカーJ1の順位予想をアップし忘れた。すでに開幕したいま現在、ルール違反ではあるが、今シーズンの順位を掲載する。1シーズン制に復帰したので、順位予想に意味が出てくるというわけだ。

まず、18クラブの評価を6段階で評価する。

A+
鹿島、浦和、FC東京、
A-
川崎、G大阪、横浜Fマ
B+
広島、柏、鳥栖
B-
セ大阪、大宮、神戸
C+
磐田、仙台、札幌
C-
新潟、甲府、清水

優勝はA+の3クラブから出ると思われる。ACLに出場するのが、鹿島、浦和、川崎、G大阪の4クラブ。いずれのチームもACL対策についての経験豊富なため、大きな影響は受けないだろう。

ただし、シーズン序盤でJリーグとACLの両方でつまずくと、大きなハンディを負うこともある。そういうリスクを考えるならば、大型補強に成功したFC東京が有利。大久保(FW)、永井(FW)、高萩(MF)、太田(SB)と、代表経験者が4選手も入団した。代表ではないが鳥栖のゴールを守った林(GK)の加入も大きい。

優勝候補に挙げて当然なのが、昨年の優勝チームの鹿島。昨年はクラブワールドカップ(CWC)でも健闘したのだから、優勝候補の筆頭に挙げるべきかもしれない。

鍵は、MFレオシルバ(新潟→)、FWペトロジュニオール(神戸→)、MFレアンドロ(コルチーバ→)のブラジル人トリオがチームに融合するかどうか。今年J1に加入した外国人選手のうち、レアンドロとビエイラ(レッドスター→横浜Fマ)が群を抜いていると思われる。鹿島はいい補強をしたはずなのだが、彼がこれまでの鹿島のリズムに合わない恐れもある。

そんなこんなで、ずばり順位は――

1.FC東京、2. 浦和、3. 鹿島、4. 横浜Fマ、5. G大阪、6. 川崎、7. 広島、8.柏、9.鳥栖、10. セ大阪、11. 大宮、12. 神戸、13. 磐田、14. 仙台、15. 札幌、
(降格)
16. 新潟、17. 甲府、18. 清水






2017年2月24日金曜日

日本プロ野球(NPB)順位予想(その1:セリーグ)

NPB(日本プロ野球)のセリーグ順位予想は以下のとおり。

1.広島
2.DeNA
3.中日
4.読売
5.ヤクルト
6.阪神

大補強した読売の戦力分析


セリーグは混戦と予想する。戦力的に見れば、大補強をした読売ジャイアンツ(以下「読売」)の独走だと思われるが、この球団の補強は戦略がない。拙Blogで指摘してきたとおり、資金力にまかせた「爆買い」である。

とまれ、読売球団の補強及び従来から蓄えてきた戦力を整理する。その結果、以下のように、読売には現行のNPBにおいて、ほぼ2球団相当の戦力をもっていることがわかる。

読売Aチーム
1. 陽(中)
2.片岡(二)
3.坂本(遊)
4.阿部(一)
5.長野(右)
6.村田(三)
7.ギャレット(左)
8.小林(捕)
9.先発(菅野-マイコラス-田口-内海-大竹)
9.抑え(澤村)
9.S/U(マシソン-福森-西村-*桜井)

読売Bチーム
1.重信(左)
2.立岡(二)
3.亀井(右)
4.マギー(三)
5.クルーズ(遊)
6.堂上(一)
7.橋本(中)
8.實松(捕)
9.先発(山口俊-吉川光-*高木勇-宮國-今村-※杉内)
9.抑え(カミネロ)
9.S/U(山口鉄-田原-戸根)

*S/U=セットアッパー、中継ぎ、*入れ替え可能。※回復具合次第

投手陣は完璧に近い。単独チームでこれだけのピッチング・スタッフを保有できる球団はセパ通じて、見当たらない。先発10人は豪華すぎ。ベテランの内海、大竹、杉内がどれだけ使えるかわからないが、3人で一人分の力はある。抑えは澤村、カミネロの二枚。セットアッパーも山口鉄、マシソンの二枚。山口鉄は、昨年は悪かったが引退するほどの衰えではない。かりに、宮國、今村、高木勇が実績どおりの力を発揮したら、先発があまる。

読売の弱点

(一)登録枠で実力派外国人選手が二軍暮らしに

読売の問題点の第一は外国人枠。読売の戦力は2球団相当だから、前出のとおり契約している実力派外国人を2球団相当に分けられる。だが、現実はそれらを統合しなければならない。外国人選手登録枠は4だから、2選手は必然的に二軍行き。昨年と同様(マイコラス、マシソン、クルーズ、ギャレット)の登録ならば、マギー、カミネロは二軍。つまり、一塁の阿部、三塁の村田が昨年並みに試合出場すれば、マギーはずっと二軍。同様に澤村、マシソンが健在ならカミネロも二軍。彼らは保険にすぎなくなる。保険料としてはきわめて高額だが、読売の資金力ならではといったところ。

(二)捕手は昨年より弱体化

捕手はFA及び外国人で補強しにくいポジションのため、ベテランの實松及び相川の加齢に従い、捕手陣のパワーは昨年より弱まった。チームの要が弱いのだ。小林の成長に期待しているようだが、彼にいま以上の潜在能力があるわけではない。

(三)正二塁手の不在

二塁のレギュラー候補としては、片岡、クルーズ、脇谷、寺内のベテラン勢、外野から転向した立岡、若手の吉川尚、吉川大、山本、楽天からきた柿澤、もはや中堅となった中井と、「枯れ木も山の賑わい」状態だが、ではいっただれがレギュラーなのか――といえば、決め手がない。近代野球のキーマンである二塁手が弱い。

(四)代走・鈴木尚の穴、埋まらず

鈴木尚ほどの才能をもった選手が続出するわけもないのだが、代走で試合を決められなくなった。

(五)高橋は監督の器か

筆者は昨年、高橋が読売の監督に就任したとき、原監督がいなくなった分、読売は強くなると確信したのだが、期待は裏切られた。昨年、そして今年の補強~キャンプを見ても、高橋はチームの戦力を掌握していないし、彼なりの野球哲学、野球観を確立できないでいる。

豊富な投手力を背景として、少ない得点で競り勝つスモールベースボールなのか、豪快に打ち勝つ強打のチームなのか、いまのところ目指す方向性が見えない。たとえば、三塁の村田が打撃不振に陥ったとき、マギーが三塁に入る。マギーの守備力は村田に比して相当落ちる。

二塁のクルーズは華麗な守備をみせるが、確実性に欠けるし、故障が多い。阿部の一塁守備は疑問符がつく。小林は強肩だが、コリジョン・ルールに拘泥して本塁返球のさいにホームベースを空けすぎる。捕手小林を含めた阿部、クルーズ、マギー、坂本の内野陣は、坂本を除けば笊に等しい。

相手チームの広島、DeNA、ヤクルトは読売の守備力の弱さをついてくる。昨年、広島に大差で二位に甘んじ、CSでDeNAに競り負けたのも、読売の大味な隙だらけの野球スタイルにあった。高橋は球団から「大補強」というプレゼントをもらったけれど、それには、昨年の弱点を補強するコマが入っていなかった。球団にモノがいえない指揮官のようだ。

他球団の動向

〔首位〕
昨年の覇者、広島は黒田が抜けたが、大幅な戦力ダウンにはならないだろう。潜在能力が高く年齢の若い選手が多いから、昨年以上の実力がチーム全体に付いたと確言できる。

〔2位〕
DeNAも広島と同様、若いチーム。昨年、読売を凌駕できたのも、チーム力上昇中の証左。昨年より悪くなる要素はない。

〔3位〕
中日にはいい外国人選手が入団した。選手管理及び采配に問題のあった谷繁が監督を辞めた分、昨年以上の力を発揮する。

4位(読売)

〔5位〕
ヤクルトには昨年より上向く材料に乏しい。手薄な先発陣、抑え投手の不在、バレンティンの衰え、川端、畠山の故障…と優勝メンバーが軒並み衰えた。山田ひとりでは・・・

〔最下位〕
阪神は今年も、外国人の補強に失敗した。昨年課題だった、三塁、一塁に打てる選手がいないまま。糸井の加入はプラスだが、彼は外野手。クリーンアップとして、昨年好調だったベテラン福留以外に名前が挙がらない。若手育成を掲げているが、潜在能力の見極めも大事。選手の入れ替えに失敗したまま、今シーズンを迎えてしまった。このチームは当分、苦難の道が続くものと思われる。

2017年2月19日日曜日

『沖縄VS.安倍政権』

●宮里政玄〔著〕 ●高文研 ●1500円+税

本書の上梓はアメリカト・ランプ政権発足前だった。トランプ新大統領は、前政権の政策を悉くひっくり返す傾向が認められたため、アメリカの東アジア政策に大幅変更があることが危惧された。しかし、マティス国防長官の来日、安倍首相の訪米(日米首脳会談)等を経たいま、トランプ大統領はオバマ前政権の東アジア政策を継承したことが明らかになった。よって、本書の価値が損なわれることがない。そのことをまず明言しておく。


オフショア・バランシング――アメリカの対外政策の基本

アメリカは沖縄をどのように位置づけているのか。一般の日本人が考えるアメリカの外交・軍事戦略の常識からすると、アメリカは海外に基地をおき、敵対する勢力を直接封じ込めようとするものと考える。沖縄は、中国・北朝鮮の西太平洋(アメリカからみた)進出を阻止するための軍事戦略上の要衝だと。もちろん、そのような意味が皆無だとはいわないまでも、アメリカによる直接的な軍事行動は抑制的傾向が強まっていると著者(宮里政玄)はいう。「オフショア・バランシング」だ。本書の沖縄論は、この「オフショア・バランシング」という概念から始まる。

「オフショア・バランシング」とは、アメリカが想定する敵国(中国)がパワーを強化してくるのを、アメリカに好意的な同盟国(日本)を利用して抑制させることである。すなわち、アメリカの経済力が衰退していて覇権の維持に耐えられなくなりつつある場合、オフショア(海を隔てた地域)で起きる紛争について軍事介入を最小限にとどめ、新たな覇権国が勃興しないように、それぞれの地域におけるアメリカの同盟国のパワーを強化させることである。(P20)

オフショア・バランシングと在沖米軍基地の強化は矛盾するのか

ところがアメリカ(軍)は辺野古、高江において、新基地建設を進めている。手狭で市街地にある普天間基地を捨てて辺野古に新基地を建設するのも、北部訓練場返還との引き換えに高江にヘリパット基地を新設するのも、アメリカによる基地機能の高度化・更新であって、日本政府はアメリカの要請にこたえてきたのではないか。これらの事象の意味するのは、アメリカ軍それ自体の強化にあたるのではないか。だとするならば、著者(宮里政玄)のオフショア・バランシング論とは相反するのではないか――そうした疑問に著者(宮里政玄)は次のように答える。

・・・安倍政権の安全保障政策は、二つの理念に基づいているように思う。
その一つは、自力で自国の安全保障を保障できないことから、アメリカを東アジアの潜在的な対立構造により深く引き込むということである。・・・その背景には、中国の台頭で緊張が高まる日本周辺の安全保障にアメリカをつなぎとめたいという安倍政権側の事情がある。
・・・わたし(著者=宮里政玄)は普天間基地の辺野古移転計画も、米海兵隊の撤退計画に対する引き止め工作、または「人質」ととらえてきた。軍事的に必ずしも必要のない辺野古基地にアメリカが賛成するのは、日本以外では得られない建設資金や思いやり予算のためである。
あと一つは、日本は世界をリードする列強国でなければならないという安倍首相の強い信念である。それは「戦後レジームからの脱却」発言、活発な訪問外交などに表れている。
中韓両国の強い反発を招いている靖国神社参拝、「慰安婦」問題などがアメリカの批判を招いていることは、日米の外交が必ずしも一致しないことを示している。(P25~26)

アメリカ海兵隊は抑止力(日本を守る軍事力)ではない

ここで整理しなければいけないのは、“海兵隊”に係る日本人の誤解についてだ。沖縄には、米海兵隊の軍事基地が集中しているのだが、かれらは防衛を責務とする存在ではないということ。日本人は、沖縄のアメリカ軍が日本を守ってくれる、という漠然とした認識をもっているようだが、それは誤り。沖縄に実際に駐留するアメリカ軍(海兵隊)は防衛のための戦力ではなく、侵略的戦闘作戦を成功させるための特別な訓練を受けた特殊な軍人で構成され、そのための軍事力を有した部隊であり、侵略先における局地戦やそこに駐在するアメリカ人(大使館員や民間人等)の警備及び救出等を任務としている。つまり、在沖アメリカ軍=海兵隊は抑止力になり得ない。

米軍基地の沖縄集中は軍事的脆弱性を召致する

アメリカが地政学的にみて、沖縄を必要としているという見方も近年、否定されつつある。海兵隊が一カ所(沖縄)に集中していることは、そのこと自体がアメリカにとっての軍事的脆弱性をもつようになった、というアメリカの軍事関係者の認識が出てきた。アメリカにとって、東アジア地域に有事が発生したとき、沖縄に海兵隊が集中していることがマイナスになるという。

にもかかわらず、歴代の日本政府及び現政権は新基地を進んで建設し、「おもいやり予算」をつかってまでして、アメリカ軍が沖縄に駐留することをアメリカに要請し続ける。アメリカのオフショア・バランシング政策が不変ならば、いますぐというわけではないが、アメリカ軍はいずれ、沖縄から撤退することもあり得るというのに。

アメリカが沖縄に基地を持ち続ける理由

アメリカ軍が沖縄に基地を持ち続け、しかも、基地機能を高度化・更新し続けるのには、アメリカ側の積極的な事情があるように思う。それは、前出の日本側からの“日本以外では得られない建設資金や思いやり予算のため”だけなのだろうか。本書では、アメリカ側が沖縄に基地を持ち続ける“アメリカの事情”がいまひとつ明確ではない。

(一)アメリカの外交政策(リバランス)――中国への「関与」と「ヘッジ」

著者(=宮里政玄)は、アメリカのアジア外交の基軸は「リバランス」であり、軍事的な重心をアジア・太平洋に移すことだという(本書P73)。だからアメリカにとって、沖縄は重要だという論理構成になる。と同時に、それは“中国封じ込め”ではない。そこが安倍政権の対中国に対する姿勢との相違点だ。

アメリカは中国との経済関係・連携をより一層緊密化し、多くの枠組みがつくられている。それがアメリカの国益にもなるし、実際、中国との経済対話はかつてないほど緊密に行われるようになっている。
オバマ大統領の対中政策は、「関与とヘッジ(保険をかける)」とも言われる。その基本的な考え方は、中国がアジアの現行秩序を受け入れ、・・・「責任あるステークホルダー(利害関係)」として行動するよう関与し、インセンティブを与える。しかし、同時に、中国がアメリカ主導の秩序に挑戦することのないよう、いろいろ保険をかけておく。(P77)

トランプ大統領も安部訪米の直前、習近平国家主席との電話会談で「一つの中国」を確認し合ったことが報道されている。トランプも、オバマ前大統領の対中国政策を基本的には継続させると思われる。その観点からすると、沖縄はアメリカの対中国政策の「ヘッジ」の一つということになる。それだけだろうか。

(二)特殊なアメリカ海兵隊の沖縄一極集中

筆者は、沖縄に係るアメリカの事情の大きなファクターには、海兵隊に対する評価の問題が関与しているように思う。海兵隊基地の実態をみておこう。Wikipediaによると(この項目は現在書き直し中になっていて、見られないのだが)、アメリカ国内の海兵隊基地は66カ所。海外は28カ所。内訳は、アフガニスタン(9)、オーストラリア(1)、キューバ(1)、ジブチ(1)、ドイツ(1)、日本(13)。うち沖縄に11カ所集中していて、残り2カ所は岩国と御殿場、韓国(1)、英領インド洋地域(1)。戦下に等しいアフガニスタンを除くと、日本の13、うち沖縄の11カ所はきわめて突出した数字だ。(「資料」参照)

(三)アメリカ海兵隊の役割低下

海兵隊の軍事的役割については近年、高い評価を得ているとはいいがたい。東アジアに限定してみても、その地位は後退しているとみていい。

在沖基地に関するアメリカの立場を示す最新の資料は、国防総省による「中国の軍事的行動に関する報告」(2016年6月13日)であろう。それは中国軍の装備近代化に向けた動きは2015年で新たな段階に入ったと分析している。沖縄をはじめ在日米軍は、中国の空中発射型空対地巡航ミサイル(MRBM)の範囲内に入る。それで中国のミサイルの力の向上で、米軍基地が集中する沖縄の脆弱性が高まったと指摘する。
歴史的に見ると、アメリカでは沖縄返還が実現し、国際的な緊張緩和が進展する中で、沖縄の米海兵隊の存在意義そのものが問われていた。沖縄からの撤退は、軍事的にも経済的にも合理的だと考えられていたのである。(P109)

(四)アメリカ海兵隊のための沖縄

それが実現しなかったのは、「日本政府が海兵隊の存続を要請たからである。日本政府は海兵隊を自国防衛のシンボル、あるいは「人質」として利用することを望んだ。アメリカはこれを受け入れた」(P110)というのが、前出のとおり著者(宮里政玄)の論理だった。

ところが筆者の見方としては、アメリカ政府とアメリカ軍との、なかんずく、海兵隊との政策上の差異があり、海兵隊独自の論理がアメリカ政府の海兵隊縮小計画に「待った」をかけている可能性を推測したい。

(五)沖縄米軍基地の恒久化

海兵隊の独自論理とは以下のとおりだ。アメリカ政府が指摘する経済合理性については、日本政府が「思いやり予算」で面倒をみてくれるのだから、アメリカ政府の縮小計画に意味がなくなる。換言すれば、海兵隊が撤退する根拠は、経済合理性からみればまったくない。

さらに海兵隊にとって、沖縄の駐留環境は、世界のどの基地よりも良好だと思えること。第一に、日米地位協定のおかげで、かれらは沖縄においてかつての植民地の支配者のようにふるまえる。第二に、沖縄は安全でインフラが整備され、じゅうぶんな都市機能を備えている(たとえば歓楽街の存在)。第三に、日本側の「思いやり予算」のおかげで、基地内の諸施設の充実ぶりは、本国(アメリカ)並みかそれ以上だ。海兵隊(の幹部)にとって沖縄は、失いたくない利権の一つになっている可能性がある。著者(宮里政玄)もそのことを指摘している。

2016年7月、アジア・太平洋地域における米海兵隊の戦略や基地運用計画をまとめた「戦略展望2025」が報道された。それは次期戦闘機といわれるステルス戦闘機F35や垂直離着型輸送機MV22オスプレイの配備を念頭に、辺野古や米軍北部訓練場など一帯の整理統合で訓練環境を刷新し、兵士や家族らの生活環境についても言及している。
具体的に言うと、県内にあるキャンプ・シュワブやハンセン、伊江島など9つの基地・施設には、最大で3万人の海兵隊員とその家族、数千人の軍属らが暮らしており、アジア・太平洋地域で最も優れた最新設備を備えた海軍病院もあるなど「小さな市役所」のような役割があると指摘し、整理統合計画は「勤務地で暮らす」環境を追及する地域開発のモデルケースだと説明している。それは在沖米軍基地の恒久化を目的としている。(P105)

在沖米軍基地問題は新局面にーー安部政権が目指す、米軍、自衛隊による沖縄要塞化

在沖米軍基地に限らず、日本中の米軍基地すべては(孫崎亨、矢部宏治らが指摘するように)、アメリカ側に永年使用権がある。だから、在沖米軍がアメリカ政府の経済的負担にならない限り、自発的に基地返還を示すことはない。アメリカ海兵隊が沖縄を重要な利権だと認識し「植民地支配」しようとする限り、アメリカ軍(海兵隊)はアメリカ政府の政策をも越えて、沖縄基地を恒久的に使用する。

そればかりではない。アメリカの沖縄政策以上に危険なのが、安部政権だ。繰り返すが、在沖米軍基地の恒久化を画策してきたのは、そもそも戦後の日本政府であったのだが、安部政権の沖縄政策には、前出の孫崎亨や矢部宏治の指摘を越えて、沖縄を米軍及び自衛隊を用いて、要塞化する意図をもっている節がうかがえる。

安倍外交は対米追従だという批判もある。しかし、ここで注意すべきことは、安保法制の改訂はアメリカの圧力というよりも、日本から積極的に変更を追求してきたことに注目すべきだ。安部外交には、対米自立を模索する面もある。(P82)
最近目立つのは、自衛隊と米軍の共同訓練である。沖縄本島北部中北部の米軍基地の多くが、いずれ日米共同利用施設となり、陸・海・海を問わず、共同訓練が進むと予想されている。さらに、自衛隊の「南西シフト」が進められていることにも注目すべきだ。(略)
在沖海兵隊がローテーションのため沖縄を留守にすることから(実戦部隊の沖縄駐留期間は数カ月)、日本側は米軍の抑止力の低下を自衛隊で補うことになった。(P113)
沖縄基地問題は、これまでのような「米軍基地反対運動」や「米軍出ていけ」といったナショナリズムでは整理できない情況を迎えている。現状は、▽海兵隊の利権、植民地化といったこれまでの占領軍の在沖米軍基地恒久化、▽アメリカの財政危機を踏まえた、オフショア・バランシングの推進(=自衛隊の米軍肩代わり化)――が混在する、過渡的情況にあると結論づけられる。

基地恒久化の動きは、基地機能の高度化、更新であり、本書P105から引用したように、ステルス戦闘機F35や垂直離着型輸送機MV22オスプレイの配備を念頭に、辺野古や米軍北部訓練場など一帯の整理統合で訓練環境の刷新すること。及び、県内にある9つの基地・施設の最大で3万人の海兵隊員とその家族、数千人の軍属らの生活環境の整備――だ。

一方、自衛隊の沖縄進出については、航空自衛隊の沖縄・宮古島のレーダー能力向上、陸上自衛隊の与那国に沿岸監視部隊配置と米海兵隊共同訓練拡充である。ほかにも、警備部隊、地対艦(SSM)ミサイル運用部隊の配備計画の推進――が挙げられる。

このような動きを踏まえるならば、沖縄反基地闘争とはすなわち、ヤマト、ウチナー一体化した、安部政権打倒の闘争にほかならないのだが、ヤマトにその意思が認められるだろうか。

〔資料〕
List of United States Marine Corps Installation( Wikipediaより抜粋)

1 United States

●Marine Corps Bases
・Marine Corps Base Camp Pendleton. (Oceanside, California)
・Marine Corps Air Ground Combat Center Twentynine Palms(Twentynine Palms, California)
・Marine Corps Logistics Base Barstow(Barstow, California)
・Marine Corps Recruit Depot San Diego(San Diego, California)
・Mountain Warfare Training Center(Bridgeport, California)
・Marine Corps Logistics Base Albany(Albany, Georgia)
・Marine Corps Base Hawaii(Kāne'ohe Bay, Hawaii)
・1st Marine Corps District, Garden City, New York(Garden City, New York)
・Marine Corps Base Camp Lejeune(Jacksonville, North Carolina)
・Marine Corps Recruit Depot, Parris Island(Beaufort, South Carolina)
・Seal of Marine Corps Base Quantico(Quantico, Virginia)
・Henderson hall(Arlington, Virginia)
・Marine Barracks, Washington, D.C.(Washington, D.C.)
・Blount Island Command Logistics Base Albany(Jacksonville, Florida)
・Camp H. M. Smith, Marine Corps Base Hawaii(ʻAiea, Hawaii)
・Camp Geiger, Marine Corps Base Camp Lejeune(Jacksonville, North Carolina)
・Camp Gilbert H. Johnson, Marine Corps Base Camp Lejeune
formerly known as "Montford Point"(Jacksonville, North Carolina)
・Courthouse Bay, Marine Corps Base Camp Lejeune(Jacksonville, North Carolina)
・Stone Bay, Marine Corps Base Camp Lejeune(Jacksonville, North Carolina)
・Camp Allen, Naval Station Norfolk formerly known as "Camp Elmore"(Norfolk,Virginia)

●Air Stations
・Marine Corps Air Station Yuma(Yuma, Arizona)
・Marine Corps Air Station Miramar(Miramar, California)
・Marine Corps Air Station Camp Pendleton(Oceanside, California)
・Marine Corps Air Station Kaneohe Bay(Kāne'ohe Bay, Hawaii)
・Marine Corps Air Station Cherry Point(Havelock, North Carolina)
・Marine Corps Air Station New River(Jacksonville, North Carolina)
・Marine Corps Air Station Beaufort(Beaufort, South Carolina)

●Satellite Aviation Facilities

・Marine Corps Outlying Field Atlantic, Marine Corps Air Station Cherry Point(Atlantic, North Carolina)
・Marine Corps Auxiliary Landing Field Bogue Field, Marine Corps Air Station Cherry Point(Bogue, North Carolina)
・Marine Corps Outlying Field Camp Davis, Marine Corps Base Camp Lejeune(Holly Ridge, North Carolina)
・Marine Corps Air Facility Quantico, Marine Corps Base Quantico(Quantico, Virginia)

●Marine Corps Detachments

・Marine Aviation Training Support Group 21, Naval Air Station Pensacola(Warrington, Florida)
・Marine Aviation Training Support Group 22, Naval Air Station Corpus Christi(Corpus Christi, Texas)
・Marine Aviation Training Support Group 23, Naval Air Station Lemoore(Lemoore Station, California)
・Marine Aviation Training Support Group 33, Naval Air Station Oceana(Virginia Beach, Virginia)
・Marine Aviation Training Support Group 53, Naval Air Station Whidbey Island(Oak Harbor, Washington)
・Marine Aviation Detachment, Naval Air Weapons Station China Lake(China Lake, California)
・Marine Aviation Detachment, Naval Air Station Patuxent River(Patuxent River, Maryland)
・Marine Corps Detachment, Fort Sill(Lawton, Oklahoma)
・Marine Corps Detachment, Fort Huachuca(Huachuca City, Arizona)
・Marine Corps Detachment, Defense Language Institute(Monterey, California)
・Marine Corps Detachment, Corry Station Naval Technical Training Center(Pensacola, Florida)
・Marine Corps Detachment, Fort Gordon(Augusta, Georgia)
・Marine Corps Detachment, Fort Benning(Columbus, Georgia)
・Marine Corps Detachment, Fort Knox(Louisville, Kentucky)
・Marine Corps Detachment, Aberdeen Proving Ground(Aberdeen, Maryland)
・Marine Corps Detachment, Fort Meade(Laurel, Maryland)
・Marine Corps Detachment, Fort Leonard Wood(Waynesville, Missouri)
・Marine Corps Detachment, Fort Sill(Lawton, Oklahoma)
・Marine Corps Detachment, Naval Station Newport Naval War College(Newport, Rhode Island)
・Marine Corps Detachment, Fort Bliss(El Paso, Texas)
・Marine Corps Detachment, Goodfellow Air Force Base(San Angelo, Texas)
・Marine Corps Detachment, Fort Lee(Tri-Cities, Virginia)

●Marine Corps Reserve

・Headquarters, Marine Forces Reserve, Naval Support Activity, New Orleans(New Orleans, Louisiana)
・Marine Corps Individual Reserve Support Activity, Marine Forces Reserve(New Orleans, Louisiana)
・Marine Corps Reserve Center Indianapolis, Heslar Naval Armory(Indianapolis, Indiana)
・Marine Corps Reserve Detachment, Naval Air Station Joint Reserve Base Fort Worth(Fort Worth, Texas)

2 Overseas

●Afghanistan
・Camp Dwyer(Garmsir District、Helmand Province)
・Camp Leatherneck(Washir District、Helmand Province)
・Camp Rhino(Registan Desert)
・FOB Delhi Beirut(Garmsir District, Helmand Province)
・FOB Delaram(Delaram District、Nimruz Province)
・Firebase Fiddler's Green(Nawa-I-Barakzayi District、Helmand Province)
・FOB Geronimo(Nawa-I-Barakzayi District、Helmand Province)
・Kandahar International Airport(Daman District、Kandahar Province)
・PB Jaker(Nawa-I-Barakzayi District、Helmand Province)

●Australia
・Robertson Barracks(Darwin)

●Cuba
・Marine Corps Detachment, Guantanamo Bay Naval Base(Guantánamo Bay)

●Djibouti
・Marine Corps Security Detachment, Camp Lemonnier(Djibouti)

●Germany
・Headquarters, United States Marine Corps Forces, Europe (MARFOREUR), Camp Panzer Kaserne(Böblingen)

●Japan
・Marine Corps Air Station Iwakuni(Iwakuni)
・Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Okinawa)
・Camp Courtney, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Uruma, Okinawa)
・Camp Foster, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Ginowan, Okinawa)
・Camp Gonsalves, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Kunigami, Okinawa)
・Camp Hansen, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Kin, Okinawa)
・Camp Kinser, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Naha, Okinawa)
・Camp Lester, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Chatan, Okinawa)
・Camp McTureous, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Uruma, Okinawa)
・Camp Schwab, Marine Corps Base Camp Smedley D. Butler(Uruma, Okinawa)
・Marine Corps Air Station Futenma(Ginowan, Okinawa)
・Marine Wing Liaison Kadena, Kadena Air Base(Kadena, Okinawa)
・Camp Fuji(Gotemba, Shizuoka)

●South Korea
・Camp Mujuk(Pohang)

●United Kingdom & British overseas territories
・Camp Thunder Cove, Diego Garcia(British Indian Ocean Territory)

2017年2月6日月曜日

部屋がトロピカルに

家内が調達してきたプリント。

南国だな。



2017年2月5日日曜日

知らなかった

新御茶ノ水で地下鉄を降りて、足の調子が悪いからエレベーターで地上に。

普段は全然使っていない出口。

すると遠くに回廊のようなものがみえ、大きな建物が認められた。

ちょっと歩いて正面にまわると、派手なイルミネーション。

「WATERAS」という複合ビルのようだ。知らなかった。

気がつけば淡路町だ。

飲食もあるようだが、興味のあるテナントがなかったので写真を写して終わり。



2017年2月4日土曜日

Caさんのベトナム料理

ベトナム人留学生のCaさんが材料持参でベトナム料理をつくってくれた。

バインセオかな。オムレツのようで、野菜を巻いて手で食べる。