2023年10月27日金曜日

不忍池

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2023年10月20日金曜日

NPB/2023、パリーグCSに思うこと

 日本プロ野球(NPB)はレギュラーシーズンが終了し、クライマックスシリーズ(CS)がいまたけなわである。筆者は現行のCS制度に反対だけれど、開催中のパリーグCSの不可思議な展開に驚かされっぱなしである。

ロッテ、奇跡の逆転劇

〔一〕ミラクル・ロッテ

  NPBパリーグ、クライマックスシリーズ(CS)1st ステージ、ソフトバンクVs.ロッテ最終戦は「クライマックス(最高潮)」そのものだった。 

最初のクライマックス 

 試合内容の詳細はすでに報道済みだけれど、簡単にふりかえってみよう。延長10回裏、3点リードされたロッテが、奇跡ともいえる逆転劇を演じた場面だ。 ソフトバンクのクローザー津森宥紀は先頭打者にヒットを許した。ここまではロッテの最後のあがきかと思ったものだが、次の打者もそれに続いたことで無死1、2塁とロッテのチャンスが広がった。ここでホームランが出れば同点だとファンの気勢が上がったものの、まさかそうなるとは思っていなかったはずだ。ところが、ロッテ藤岡裕大が起死回生の3ラン。興奮冷めやらぬゾゾマリンスタジアム。まさに絶頂、クライマックスそのものである。 

クライマックス第二弾は続いてやってきた

 次の打者がヒットで出塁した。逆転の兆しではあるものの、一塁走者をホームに返すのはかなり難しい。案の定、二死を取られた。同点引き分けで1stステージ突破かなと思ったところが、二死一塁から途中出場の安田尚憲が右中間にサヨナラ二塁打を決めた。この二塁打は微妙で、右中間を抜かれたわけではない。ソフトバンクの外野が深く守りを固めたため、一塁走者は三塁で止まるかのように思えた。ところが、ロッテ三塁コーチの腕がぐるぐるまわり、三塁突入を指示、それをうけて走者はホーム突入、ソフトバンク外野手がバックホームするも間一髪セーフ。ビデオ検証をリクエストするも、判定どおり。クライマックス第二弾、ロッテは驚異の逆転劇をみごと演じきった。 

ソフトバンクのクローザーはだれだ 

 試合後、ソフトバンク藤本博史監督の投手リレーに疑問の声が上がった。筆者は、前日の試合でロッテ打線を完璧に抑えたロベルト・オスナを勝ち越しまで温存すべきだと思ったが、同点の場面で登板させてしまった。勝ち越した10回、クローザーとして残っていたのは津森宥紀だった。津森なのかな・・・と思っていたところで前出のとおり先頭打者、次の打者と連続して出塁を許した。ロッテ逆転の伏線は、オスナの先行登板にあったのかもしれない。 

〔二〕選手の流動化は望ましいことだが 

 このたびのパリーグのCSを見ていると、ロッテ球団と読売球団の不思議な縁を感じて仕方がなかった。

ロッテと「巨人」 

 CS1st、2ndステージを含め、ロッテには読売巨人軍を追われた石川慎吾、グレゴリー・ポランコ、クリストファー・クリソストモ・メルセデス、澤村拓一投手の名前が見える。石川、ポランコはクリーンアップを構成しているのである。その石川は今シーズン途中、トレードで、ポランコは昨シーズン限りで読売を退団しロッテに入団した。前者は対左投手対策の切り札的存在に、そして後者はパリーグの本塁打王に輝いた。 

 この2選手を放出した読売は、今季、外野手不足に悩まされた。ポランコはDH制のあるパリーグだから活躍できたという反論があるかもしれないが、筆者はそうは思わない。少なくとも、読売のルイス・ブリンソンよりは守備を含めてポランコのほうが上である。石川はどうか。読売の右の外野手で石川を上回る者がいただろうか。長野久義?前出のブリンソン?アダム・ブレット・ウォーカー2世?オコエ瑠偉?萩尾某?岡田某?どう考えても石川より劣る。全権委任された原辰徳の眼力のなさが証明される事例の一つだろう。なお、2ndステージ第三戦、読売球団を退団した澤村の先発が予定されている。 

メルセデス投手の実力 

 2ndステージ第三戦で先発したメルセデス投手は、今シーズン 22試合、4勝8敗、防御率3.33。勝星は芳しくないが、読売のエースと言われる菅野智之の14試合、4勝8敗、防御率3.36と比べると、メルセデスの方が登板数で上回り、勝星、防御率でほぼ同等の成績を残している。ちなみに読売の先発投手陣のうち、20試合以上登板したのは戸郷翔征(24試合、防御率2.38)、山崎伊織(23試合、同2.72)、フォスター・グリフィン(20試合、同2.75)、横川凱(20試合、同3.95)しかいないから、メルセデスは先発4番手にはいっておかしくない。これも全権監督としてチーム構成を企画した原辰徳の眼力のなさの証明の一つとなろう。 

「飼い殺し」から才能ある選手の放出に 

 かつて読売球団は選手を「飼い殺し」することで知られていた。相手の強い駒を奪ってしまえば、自然に順位が上がるという筋書きだ。読売球団はドラフト制度導入に反対し続け、逆指名制度等の抜け道を制度化するといった、不適切な過去がある。時代の流れに抗しきれなくなってドラフト制度が定着すると、FA制度を使ってFA権を行使できる有力選手を潤沢な資金を駆使して集め始めた。しかしながら、読売球団の不透明な体質(MLB移籍を認めない契約等)を敬遠する選手との契約交渉はうまくいかなくなってきた。そればかりではない。「巨人ブランド」が通用する高校野球界では育成選手を大量に入団させてきたものの、その育成ノウハウが未熟なため、短年で契約を打ち切る暴挙がアマ球界において知られるようになり、読売球団を敬遠する風潮も出始めた。

読売球団の選手育成プログラムは「カオス」

 読売球団というか、全権委任された原辰徳の育成プログラムはわけがわからない。スーパールーキーと話題になった浅野翔吾の事例である。浅野の2023シーズンの一軍での成績は24試合、41打席、打率.250。浅野が一軍に帯同した試合が何試合だったか確認できないが、7月7日に一軍ベンチ入りしたものの試合出場のないまま21日に登録抹消されたことはわかっている。有望ルーキーの一軍帯同は悪いことではないが、巨人の2023シーズンの成績に鑑みると、その一枠ははたして有効だったのかどうか。 

 甲子園のスターとはいえ、高校卒業したばかりの新人になによりも必要なのは試合経験である。長いシーズンを戦い抜ける体力、実戦における規律の中でいかなる仕事ができるのか。ヒットを打つだけではなく、状況に応じて犠打、エンドラン等への対応力、そして守備走塁の状況判断である。読売球団の悪い手本がブリンソンだ。彼は打撃だけを個別に見れば高いレベルにある。しかし、守備、走塁等における状況判断は一軍どころか三軍レベルに達しない。DH制度のないセリーグではより難しい。ウォーカーもそうだった。しかし、原辰徳は彼ら二人と契約し、使いあぐねたままシーズンを終えた。 

 浅野は甲子園のスーパースターであり、原辰徳がドラフトで自ら引き当てた選手だから思い入れがあるのかもしれないが、ロッテの佐々木朗希の育成と比較すると、差がありすぎる。 

 ロッテ球団は、2020年の佐々木のルーキーイヤー、一軍・二軍ともに公式戦登板はさせなかった。ほぼ通年で一軍に帯同したが、肉体強化を図る1年となった。2021年は3月12日に行われた中日とのオープン戦にて実戦デビュー。4月2日にはイースタン・リーグのヤクルト戦で公式戦デビュー。5月16日の西武戦でプロ初登板初先発。以下、一軍戦力として登板するようになった。開幕ローテーションに入ったのは2022年シーズンから。同シーズンでは1試合19奪三振を、そして史上16人目となる完全試合を達成した。そして、2023年シーズンではローテーションピッチャーとして自立している。 

 佐々木は投手で浅野は野手という違いがあるかもしれないが、高卒ルーキーには少なくとも3年間の育成期間を必要とする、と筆者は考えている。浅野が2026年シーズンには一軍戦力として活躍してくれることを望んではいるが、原辰徳の下ではおぼつかなかっただろう。原が辞任したことは浅野にとって僥倖となる。

おわりに 

 読売球団が率先して選手の「飼い殺し」をやめ、選手の流動化を促進したことは、球界にとって望ましい傾向である。そういえば、パリーグCS2ndステージ第二戦では、ロッテの対戦相手であるオリックスがトレードで読売球団から獲得した廣岡大志をレフトで先発起用し、廣岡は第一打席でヒットを打った。前巨人の選手が両チーム合わせてメルセデス、ポランコ、石川、廣岡と4選手にも上ったのだ。このような情景はあまり記憶にない。前出のとおり、第3戦は元巨人の澤村が先発だというから、もしかしたら巨人在籍者が5選手そろう可能性もなくはない。読売球団の前全権監督の原辰徳はパリーグCS2ndステージをどのような思いで観戦しているのであろうか。〔完〕 

2023年10月10日火曜日

ジャニーズ

  芸能人が歓び悲しみに係る受け答えをする場面をTVでみるとき、彼ら彼女らが本心からなのか、演技なのかを見通すことができない自分がいることに気づく。話題のジャーニーズ問題の記者会見でもそうだった。新しく同事務所の経営者に就任するという、同事務所所属のタレント二人の発言および受け答えだ。この二人は会見前に自らの頭の中に仕込んだセリフを発しているのであって、心のなかから湧き出た言葉で話していないのではないかと。  


 二回目の会見のとき、何度も手を挙げながらも司会者から当てられなかった取材者が怒りの抗議を発したとき、二人のうちの一人は「ルールを守りましょう、子供たちも見ている云々」とアドリブで会場の混乱を鎮めようと、沈痛な表情を浮かべてみせ、そのとき、会場にいた一部の取材者から拍手がわき上がった。「してやったり」と勝ち誇ったような表情を浮かべた彼だったのだが、後日、「NGリスト」とやらの存在が確認され、彼の一世一代のアドリブ(のセリフ)は、残念ながら迷演技、それこそ「NG」に終わった。「生放送」だから撮り直しはきかない。彼は人間性を疑われるまでに、彼のリライアビリティーは失墜してしまったのだ。
   同事務所の創業者ジャニー某は、おぞましい性犯罪者だったのだが逮捕されずにあの世に旅立ってしまった、と筆者は考えている。その罪障が発覚したいま、新会社としてその事業を引き継ごうとする彼ら二人はジャニー某のなにを守ろうとしているのだろうか。彼ら二人は操り人形にすぎないのか。 
 そればかりではない。「芸能レポーター」、日本放送協会を含むTV局、スポーツ新聞社、芸能雑誌社などの「エンタメ業界」周辺の「同業界内の従業者たち」――いまだかれらも、「ジャニーズ」と利益を一にする者たちなのだ。ほぼ半世紀にわたり、彼らはジャニー某の「犯罪」を黙認してきたのだから、いまだジャニーズと手を切ることができないのだろう。 
 もうひとつ、筆者の理解が及ばないのは、「ジャニーズ」を自らの青春に重ねようとする「ファン」の存在だ。この期に及んで、自らの青春を性加害者と性被害者に重ね合わせようとする心情が理解できない。同事務所のタレントに「罪はない」とファンは確信しているのかもしれないが、彼らが受けた心身の傷に思いを寄せることができなければファンの資格はないだろう。いまファンとしてできるのは、ジャニー某を断罪し、被害者に寄り添い、〈ジャニーズ〉および〈自らの青春の黒歴史〉と一刻も早く訣別することしかない。