2016年9月20日火曜日

変貌する谷根千

ここのところ谷根千の飲食店において、移転、閉店等の動きが目立っている。

慣れ親しんだ通りの風景が変わり、馴染みの店がなくなっていくのは淋しい限り。

なくなった店の後には新しい店が開店するのだろうが、谷根千にふさわしくない業種だとがっかり。

財産を失ったような気分になる。

この写真と本文は関係ありません。



2016年9月10日土曜日

猫は箱が好き

宅配便を開けて中の荷物をとりだして放置しておくと、

猫が必ず中に入っている。

うずくまって様子を窺っている。

隠れたつもりなのかな。


2016年9月9日金曜日

タイ戦、「勝利の方程式」はこの先通用せず

W杯アジア最終予選第2戦目、日本はアウエーでタイに2-0で勝った。初戦、UAEにホームで黒星発進した日本であったが、タイから勝ち点3を奪い、星を五分に戻した。

ハリルの選手起用(ボランチ、左サイド、ワントップ)が成功?

先発メンバーは以下のとおり。

GK西川周作(浦和レッズ)、DF酒井宏樹(マルセイユ/フランス)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、森重真人(FC東京)、酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)、MF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、山口蛍(セレッソ大阪)、香川真司(ドルトムント/ドイツ)、本田圭佑(ミラン/イタリア)、原口元気(ヘルタ)、FW浅野拓磨(シュツットガルド/ドイツ)

ワントップ(Cf)には、岡崎に代え浅野を起用。左サイド(Ls)に原口、ボランチ(Dm)には、UAE戦、不完全燃焼に終わった大島に代えてJ2の山口を入れた。原口と浅野がゴールを奪い、山口の守備力が光ったわけだから、ハリルの選手起用は結果的に成功した。

しかし試合後のハリルホジッチ監督のコメントは、「2人ともゴールというのは偶然だと思うが、それにしてもよい雰囲気をもたらしてくれた」というもの。このコメントからうかがえるのは、勝利をもたらした2得点とも、意図した結果ではないということを図らずも吐露したように聞こえる。監督が代役2人の殊勲者を絶賛していない。監督自身、勝つには勝ったが、チームは本調子でない、と思っている。

攻撃陣形のバランスを崩し続ける本田

この試合のあと、日本のネットにおいて、「本田、長谷部が戦犯」という記事が目に留まった。また、日本の攻撃の主軸といわれる、本田、香川、岡崎に対する辛口のコメントが散見された。それらの批判は大手メディアにではなく、ネットのサッカー専門サイトに掲載されたものだが、それらを再掲載したポータルサイトもあった。ようやく、本田、香川、長谷部ら海外組批判のタブーが破られつつあるのか。筆者はこうした傾向を歓迎する。

辛口コメンテーターの某氏が指摘しているように、アジア予選のスタート2試合の日本の状態は悪かった。日本の攻撃のかたちを見ると、Rsの本田が中央に入り込む形が多くなり、サイド攻撃の機会が減っている。窮地の日本を救ったともいえるタイ戦の先取点は、前出のとおり本田が中央に入り込んでそれにつられてタイのDFが真ん中によったため、日本の右サイドががら空きになり、右Ssbの酒井宏がフリーでクロスを打つことができた結果。そのクロスがゴール前をスルーしてLsの原口がほぼフリーとなり頭で決めることができた。

この得点シーンについて、Rsb酒井宏の好判断と評価するか、得点者、Ls原口の決定力というべきか・・・まあ、何といおうとすべてが結果論。それがゴールというものだ。野球でいえば、ホームランを打った打者を褒めるのか、失投した投手、サインを出した捕手を責めるのか・・・というのと同じようなもの。

クロスを放った酒井宏、ゴールを決めた原口を評価しつつも、筆者はこの得点は日本代表の狙いではないと確信する。なぜならば、ある程度のレベルのチームのDF陣ならば、Rsbの前のスペースを自由に使わせるような守備はしない。タイのように、まったくのフリースペースをつくらせることはない。タイのDF陣が本田につられたのだから、本田が囮になったというべきだろうが、それはけがの功名というやつだ。

本田がRsを「職場放棄」し続けるため、日本は相手ゴール前中央にCfの浅野、Om(トップ下)の香川、本田の3人が塊となり、チャンスをつくれない時間が続いた。ただ、救いは、とにかく日本が先取点をとれたこと、タイのチャージが甘く、日本が自由にボールを奪えたこと――タイは日本にとって与しやすい相手だったこと――だ。先取点がとれずに時間が経過したら、日本はタイとスコアレスドローを演じたかもしれない。

この試合、その本田及び香川が決定機を外したため、日本はさらに試合を難しくした。救いは山口はじめ(本田と香川を除いた)各選手が、積極的に守備をしたこと。繰り返すが、タイは体格で日本を下回り、しかも、フィジカルが弱い。日本の圧力に抗しきれなかったことが救いだった。

日本は後半30分、長谷部のロングパスに浅野が反応して裏に飛び出し、ゴールを決めた。この得点は、Cfがその仕事をまっとうした結果である。敢えてシニカルに表現するならば、後半、極端に足が止まった本田がゴール前にいなかったから、浅野が自由にプレーできたともいえなくはない。それくらい、本田のポジショニング、ランニング、判断、フィニッシュの精度は悪かった。

香川、2試合とも不調、不発

本田に負けず劣らず、香川も悪かった。決定機を外したことももちろんだが、彼はOmとして機能していなかった。コンディションの問題なのか、ドルトムントで活躍していた香川の姿とは全く別人のようである。

海外組は下り坂か?

かくして、攻撃陣の軸といわれる、▽本田がUAE戦、タイ戦を通じて攻撃陣のバランスを崩し続け、▽香川も2試合とも生気がみられず、不調かつ不発、▽岡崎はUAE戦で不調、タイ戦がベンチ。▽その岡崎の代わりにタイ戦でCfに入った浅野が得点を上げ、▽同じく、本田の反対側のポジション(Ls)の原口が貴重な先取点を上げた。守備陣では、キャプテン長谷部にミスがめだつありさま。最終予選の2試合を通じて、日本代表の海外組、主軸といわれる選手たちが年齢的、体力的に下り坂に来たことの前兆とみられなくもない。

タイ戦の「勝利の方程式」はこの先、通用しない

タイ代表は成長著しいチームだが、日本代表にはやりやすい相手だ。日本代表をダウンサイジングした感じ。だから、日本がセカンドボールを支配できたし、相手ゾーンでボールを奪えた。

しかし、このような試合展開が残り7試合=オーストラリア(A・H)、イラク(H・A)、サウジアラビア(H・A)、もちろんUAE(A)との対戦でできるはずもない。欧州リーグが進展する来月以降、海外組といわれる本田、香川、岡崎、清武、長谷部らが調子を上げられだろうか。

筆者は、本田が最も難しい存在だと思っている。彼が16-17シーズン、ACミランで出場機会を得ることは難しいと感じているからだ。代表戦以外の公式戦に1年以上出場しない選手を主力と表現できない。試合勘、フィジカル等が劣化することは間違いない。本田に代わる選手はいるのだろうか。国内組の台頭は期待できるのか。この期に及んで新戦力をテストすることは困難であるし、さらに、日本の救世主が彗星のごとく出現するとも考えにくい。この先のアジア最終予選の各試合は、日本代表及びそのサポーターにとって、苦難の連続となりそうだ。

2016年9月4日日曜日

サッカー日本代表、その現状と構造的危機の到来


日本がホームでUAEに1-2で負けた。筆者は別のBlogにおいて(2016.04.22)、この試合は引分けだと予想したのだが、それどころではなかった。もっとも、浅野の「幻のゴール」を得点と見做せば、筆者の見立てはあながち間違いともいえない。

試合内容、監督采配、戦略・戦術等における敗因追及は、前出の拙コラムで行ったので、ここではやらない。また、日本がロシアに行けるのかどうかも扱わない。本稿では、日本代表の長期停滞傾向――構造的危機について、詳しく論ずる。

代表のクラブチーム化(UAE)が日本に必要か否か

もちろん答えは否である。日本のスタメンは――

GK西川周作(浦和レッズ)、DF酒井宏樹(マルセイユ/フランス)、吉田麻也(サウサンプトン/イングランド)、森重真人(FC東京)、酒井高徳(ハンブルガーSV/ドイツ)、MF長谷部誠(フランクフルト/ドイツ)、大島僚太(川崎フロンターレ)、香川真司(ドルトムント/ドイツ)、本田圭佑(ミラン/イタリア)、清武弘嗣(セビージャ/スペイン)、FW岡崎慎司(レスター/イングランド)

先発メンバーを見る限り、海外組と呼ばれる欧州クラブに属している選手が8人を占めていて、一見すると国内組が過半のUAEをはるかに凌ぐと思えて不思議はない。UAEのサッカー事情についてはわからないものの、メディア報道によると、国内リーグの待遇がいいことから、優秀な選手は海外に出ないという。UAEについてTV映像からうかがえるのは、アラブの産油国の特徴として、アフリカ系の選手が含まれていて、体格面では日本を上回っていること。そんな選手が2カ月近くの合宿をはって初戦に臨んできた。加えて、UAEは若い年代から固定メンバーで戦ってきているといわれ、“代表というよりもクラブチームのようだ”という評価もある。先のアジア杯で日本に勝った要因として、UAEの結束力、チームワーク、コンビネーション、コンディショニングにあった面を否定できない。

UAEのような代表チームのつくり方は、かつての日本が歩んだ道そのものだった。02年日韓大会(トルシエ監督)、06年ドイツ大会(ジーコ監督)では、そのような代表チームをつくって、日韓大会ではホームという利も作用して、16強入りを果たした。ところがドイツ大会では予選で敗退。チームワークやコンビネーションだけでは勝てない現実を思い知らされたものだった。

以降、日本選手の海外移籍が活発化し、代表選手構成は海外組主体に移行した。海外移籍が代表入りの重要な指標ともなった。その反面、選手を保有するクラブの都合が優先され、日本がUAEのように長期間にわたって代表合宿することは不可能となった。海外組はせいぜい3~4日間で代表チームに融合しなければならなくなった。

日本はもはや、02~06の過去に戻ることはできない。世界のプロサッカー市場が欧州4強リーグ(ドイツ、イングランド、スペイン、イタリア)を中心にして各国を動かしている以上、日本のサッカーも同調せざるを得ない。このような傾向はどの国にも強いられている現実であって、それが代表チームの宿命だともいえる。それがサッカーのグローバルスタンダードだとも換言できる。代表選手は、欧州~日本の長期移動を強いられる。それも今大会にまったことではない。日本代表がグローバルスタンダードに組み込まれてはや10年が経過した。ややこしい条件を克服する最善手段が関係者に求められている。

代表の4つの危機

代表チーム運営の変遷を云々するのはこれくらいにして、本論に入ろう。筆者は日本代表の危機について、①若手タレントの不在、②海外組への誤解と幻想(メディアの批判精神の欠如)、③センターフォワード(CF)の不在、④日本開催代表試合の陥穽――という四つの視点で考察する。そして、日本代表再構築に果たすべきセクターとして、選手以外のセクターとして、協会、メディア、サポーターの3つを挙げ、それぞれのセクターが代表再構築に果たすべき役割を提示する。

若いタレントが出てこない――日本のフィジカルエリートは相変わらず野球界へ

日本代表の弱体化の第一の要因は、新しい才能の台頭がみられないことだ。いまのJリーグにおいて、世間が騒ぐほどの「才能」の存在が認められるだろうか。クラブユース、高校、大学を見渡しても見当たらない。ハリルジャパンに招集されるJリーグの若手選手は同じようなタイプの選手ばかり。しかも、センターフォワード(CF)の逸材が現れない。

その一方で日本プロ野球界では若手選手の大型化が進み、パワーアップ、スピードアップが順調に進捗している。日本のフィジカルエリートはサッカーではなく、野球に集中している実態は変わっていない。スポーツの質が異なるから、体格面の比較は愚かかもしれないが、ダルビッシュ有、田中将大、岩隈久志、前田健太、大谷翔平、菅野智之、筒香嘉智、山田哲人、柳田悠岐・・・といったプロ野球選手のうち、一人でもいいからサッカー界に進んでいてくれたなら、サッカー日本代表の姿もおおいに変わっていたはずだと残念に思うばかり。

才能のある選手が払底し、代表に限らずリーグが衰退化する現象は日本だけではない。前出の欧州4強リーグのなかで、イタリアが弱体化傾向にある。

「海外組」という幻想

海外組代表選手に対する幻想とは、彼らに対する評価の在り方という意味だ。このことは、日本のスポーツメディアに責任があるのだが、メディア批判は後述するとして、実態を見ておこう。

前出のUAE日本代表における攻撃陣の先発メンバーの所属クラブにおける成績を見てみよう。日本のエースと呼ばれる本田圭佑のセリエAの昨シーズン(15-16)の得点はわずか1。(30/38=38試合中30試合出場)。以下、ドイツの香川真司が9得点(29/34)、同じく清武弘嗣が5得点(32/34)、イングランドの岡崎慎司が5得点(36/38)。一番得点を上げている香川でも、1試合当たりの得点はおよそ0.3である。つまり、海外組といわれる攻撃的選手はポイントゲッターではない。

ちなみに、岡崎が所属するレスター(イングランドプレミア)のチーム得点王はジェイミー・ヴァーディーの24得点(36/38)。15-16シーズンのプレミア得点王はハリー・ケーン(23才・トットナム所属)。彼は38試合出場で25得点。1試合平均0.65の高率で、プレミアならシーズン20点超えがポイントゲッターのメルクマールとなる。余談だが、ケーンは23才だから日本なら五輪世代と呼ばれる。欧州リーグでは23歳は若手ではない。

本田が所属するACミランのチーム得点王はカルロス・バッカで18得点(38/38)。イタリアセリエAの得点王は、ゴンサロ・イグアイン(ナポリ)。35試合に出場して36得点だから、1試合平均1点超。まさに「点取屋」だ。

シーズン1得点の本田に得点を期待するのは愚か

日本のスポーツメディアは本田圭佑に何を期待しているのだろうか。昨シーズン、わずか1得点の窓際選手に代表戦で得点を期待するなんて見当違いもはなはだしい。岡崎もしかり。香川に得点を期待してもいいが、セリエAの得点王の四分の一の選手だ。過分な期待はしないほうがいい。

とはいえ、岡崎、本田、香川・・・らがダメな選手だというわけではない。彼らは所属チームにおいて、それなりの貢献があるから契約を継続していられる。岡崎の場合は、ヴァーディーの得点機会を助ける役割を全うしている。本田の場合は、おそらくマーケティング上の貢献だろうが。

大雑把な譬えをすれば、海外組は野球の打線でいえば1番、2番あたりを任せられる野手なのだろう。チームバッティングや犠打が得意で、得点機会を増やす。守備は鉄壁。真面目でミスはしない。そんな選手が代表として集まってチームをつくったとしたら、どうなるのだろうか。相手にしてみれば怖くない。決定機にバントなのだから(笑)。日本代表に必要なのは、強打のポイントゲッター、強いCFだ。

日本代表におけるCFの系譜

日本代表の選手選考において、いわゆるCF不在は恒常的なものなのか、というとそうでもない。フランス大会では中山雅史、日韓大会では鈴木隆之、ドイツ大会では高原直泰、ドーハの悲劇(フランス大会最終予選)に遡れば、アジアの大砲・高木琢也がいた。れっきとしたCF専門職が存在感を示していたのだ。

岡田の奇策――本田ワントップの成功体験

日本代表がCFを不在にして、「トップレス」(笑)になったのは、W杯南アフリカ大会だった。ジーコの失敗からバトンを渡されたオシムは、「代表の日本化」という困難な課題に取り組んだ。それでもCFに高原直泰、前田遼一、巻誠一郎を起用していた。前田、巻は国内組だが、ワントップ(CF)のフォーメーションは維持されたのだ。

オシムが病で倒れた後を受けた岡田武史は、W杯南アフリカ大会予選(カメルーン戦、オランダ戦、デンマーク戦)、そしてベスト8をかけたパラグアイ戦の計4試合に本田をワントップに起用した。それまでの強化試合では、岡崎らのワントップが試行されていたのだが、本戦になっての直前変更だ。

南アフリカ大会の日本は超守備的チームだった。岡田の守備重視を支えたのが、闘莉王、中沢祐二のCBであって、ベスト16入りの原動力は、ワントップの本田よりもDFの二人だと筆者は思っている。

ザックジャパンでは大迫勇也、大久保嘉人といったCFが起用されたが、本戦は予選敗退という結果に終わっている。さて、ハリルジャパンだが、彼は岡崎を信頼し、二番手に武藤嘉紀。終盤の切り札に浅野拓麿に期待しているように思えるが、筆者はこの3人をCFとして適正をもっているとは評価しない。

CF不在は日本に限られていない。先のW杯開催国、ブラジルもCF不在に泣いた。けっきょく国内得点王のフレッジがCFに起用されたが、本戦6試合で1得点と振るわなかった。王国のブラジルでもこうした現象は避けられない周期で訪れるようだ。

なぜ、CFの専門職を招集しないのか

日本のワントップが、レスターのCF・ヴァーディーのシャドーである岡崎に務まるのか。経験のない武藤や浅野でいいのか。日本人でCFをこなせる選手はいないのか。

そこでJリーグを見ることにする。外国人を除いたワントップの選手は、大久保嘉人(川崎)、興梠慎三(浦和)、佐藤寿人(広島)、金崎夢生(鹿島)、長沢毅(G大阪)、伊藤翔(横浜)、豊田陽平(鳥栖)、前田遼一(F東京)、指宿洋史(新潟)、野田隆之介(名古屋)、大槻周平(湘南)、金森健志(福岡)だろうか。セカンドトップの選手も含まれているのでCFと厳密にはいえないかもしれないが。

このなかで日本代表に推薦できる選手がいるだろうか。実績からみれば、豊田、佐藤、興梠、前田、金崎の5選手だろう(※金崎は素行不良により代表落選となった)が、いずれも代表経験がありながら、結果が伴わず定着しなかった。歴代の代表監督がCF(ワントップ専門選手)を招集しなくなって久しい。

海外組では、ハーフナーマイクが昨シーズンのオランダリーグADOデンハーグで16得点(31/34)をあげている。結論をいえば、日本代表のCFとして最も適性の高いと思われる選手は、ハーフナーということになる。だが、ハリルが彼を代表に招集する気配はない。ハーフナーが代表に呼ばれない理由も定かではない。

しかし、ハーフナーが日本代表を救うという立論も成り立たない。日本代表が高く強いCFを中心としたチームづくりをこれまでしてこなかったから。アジア最終予選が始まったこの時期にハーフナーを招集して、練習を開始しても間に合わない。ハリルホジッチ監督の2年間は、筆者には時間の浪費に思える。所属チームでシーズン1得点の本田と心中しようというのだから、前任者(ザッケローニ)の二の舞である。ザックを上回る成績は望めまい。

日本開催の代表試合は興行にすぎない

本田や岡崎は、代表試合で得点している、という反論が上がるだろう。だが、日本で開催される代表試合(親善試合、強化試合)はごく少数の例外を除いて、いわゆる「咬ませ犬」相手の興行にすぎない。相手はナショナルチームを僭称するものの、主力は招集されていない二軍、三軍だ。所属クラブにしてみれば、国際Aマッチデーといっても、主力をシーズン中に遠い極東まで派遣するリスクはおかせない。日本の強化のためには、相手国に出向かなければ、せいぜい調整試合で終わってしまう。二軍、三軍で、しかもコンディションが整わない相手に対して6人交代可能のレギュレーションならホームの日本代表はいくらでも得点できる。

日本サッカー界はいますぐ、代表の現状を否定せよ

日本サッカー協会が資金繰りのために代表試合を組む必要を否定しない。重要なのは、代表試合を正しく評価する目であり、その目とは、スポーツメディア及びサポーターのこととなる。代表の国内興行で日本が勝てば大喜び、W杯に優勝しそうな報道となり、本田や香川はヒーローになった。メディアもサポーターも、シーズン1得点の本田に得点を期待する。そんな見当違いをだれも糺さない。間違ったメディアの報道及び無意味なサポーターの熱狂が日本サッカー界、代表選手を狂わせ、長期的に見て大いなるマイナスとなって今日まで作用している。最終予選初戦、ホーム黒星発進は彼らを覚醒させるに十分なショックである。この敗戦を無駄にしてはいけない。

とはいえ、日本代表がこのたびのアジア最終予選を突破するかどうかは神のみぞ知る。よしんば突破してロシアに行けたら、UAEからうけた屈辱も忘れ去れるだろう。しかし、その次の日本代表はもっと困難な状態に陥っているはずだ。W杯出場を絶たれれば、日本の代表ブームは終焉する。

日本サッカー界がいまの代表のあり方を否定的に総括し、有効な方策を打ち出すことを期待してやまない。

2016年9月1日木曜日