2017年2月24日金曜日

日本プロ野球(NPB)順位予想(その1:セリーグ)

NPB(日本プロ野球)のセリーグ順位予想は以下のとおり。

1.広島
2.DeNA
3.中日
4.読売
5.ヤクルト
6.阪神

大補強した読売の戦力分析


セリーグは混戦と予想する。戦力的に見れば、大補強をした読売ジャイアンツ(以下「読売」)の独走だと思われるが、この球団の補強は戦略がない。拙Blogで指摘してきたとおり、資金力にまかせた「爆買い」である。

とまれ、読売球団の補強及び従来から蓄えてきた戦力を整理する。その結果、以下のように、読売には現行のNPBにおいて、ほぼ2球団相当の戦力をもっていることがわかる。

読売Aチーム
1. 陽(中)
2.片岡(二)
3.坂本(遊)
4.阿部(一)
5.長野(右)
6.村田(三)
7.ギャレット(左)
8.小林(捕)
9.先発(菅野-マイコラス-田口-内海-大竹)
9.抑え(澤村)
9.S/U(マシソン-福森-西村-*桜井)

読売Bチーム
1.重信(左)
2.立岡(二)
3.亀井(右)
4.マギー(三)
5.クルーズ(遊)
6.堂上(一)
7.橋本(中)
8.實松(捕)
9.先発(山口俊-吉川光-*高木勇-宮國-今村-※杉内)
9.抑え(カミネロ)
9.S/U(山口鉄-田原-戸根)

*S/U=セットアッパー、中継ぎ、*入れ替え可能。※回復具合次第

投手陣は完璧に近い。単独チームでこれだけのピッチング・スタッフを保有できる球団はセパ通じて、見当たらない。先発10人は豪華すぎ。ベテランの内海、大竹、杉内がどれだけ使えるかわからないが、3人で一人分の力はある。抑えは澤村、カミネロの二枚。セットアッパーも山口鉄、マシソンの二枚。山口鉄は、昨年は悪かったが引退するほどの衰えではない。かりに、宮國、今村、高木勇が実績どおりの力を発揮したら、先発があまる。

読売の弱点

(一)登録枠で実力派外国人選手が二軍暮らしに

読売の問題点の第一は外国人枠。読売の戦力は2球団相当だから、前出のとおり契約している実力派外国人を2球団相当に分けられる。だが、現実はそれらを統合しなければならない。外国人選手登録枠は4だから、2選手は必然的に二軍行き。昨年と同様(マイコラス、マシソン、クルーズ、ギャレット)の登録ならば、マギー、カミネロは二軍。つまり、一塁の阿部、三塁の村田が昨年並みに試合出場すれば、マギーはずっと二軍。同様に澤村、マシソンが健在ならカミネロも二軍。彼らは保険にすぎなくなる。保険料としてはきわめて高額だが、読売の資金力ならではといったところ。

(二)捕手は昨年より弱体化

捕手はFA及び外国人で補強しにくいポジションのため、ベテランの實松及び相川の加齢に従い、捕手陣のパワーは昨年より弱まった。チームの要が弱いのだ。小林の成長に期待しているようだが、彼にいま以上の潜在能力があるわけではない。

(三)正二塁手の不在

二塁のレギュラー候補としては、片岡、クルーズ、脇谷、寺内のベテラン勢、外野から転向した立岡、若手の吉川尚、吉川大、山本、楽天からきた柿澤、もはや中堅となった中井と、「枯れ木も山の賑わい」状態だが、ではいっただれがレギュラーなのか――といえば、決め手がない。近代野球のキーマンである二塁手が弱い。

(四)代走・鈴木尚の穴、埋まらず

鈴木尚ほどの才能をもった選手が続出するわけもないのだが、代走で試合を決められなくなった。

(五)高橋は監督の器か

筆者は昨年、高橋が読売の監督に就任したとき、原監督がいなくなった分、読売は強くなると確信したのだが、期待は裏切られた。昨年、そして今年の補強~キャンプを見ても、高橋はチームの戦力を掌握していないし、彼なりの野球哲学、野球観を確立できないでいる。

豊富な投手力を背景として、少ない得点で競り勝つスモールベースボールなのか、豪快に打ち勝つ強打のチームなのか、いまのところ目指す方向性が見えない。たとえば、三塁の村田が打撃不振に陥ったとき、マギーが三塁に入る。マギーの守備力は村田に比して相当落ちる。

二塁のクルーズは華麗な守備をみせるが、確実性に欠けるし、故障が多い。阿部の一塁守備は疑問符がつく。小林は強肩だが、コリジョン・ルールに拘泥して本塁返球のさいにホームベースを空けすぎる。捕手小林を含めた阿部、クルーズ、マギー、坂本の内野陣は、坂本を除けば笊に等しい。

相手チームの広島、DeNA、ヤクルトは読売の守備力の弱さをついてくる。昨年、広島に大差で二位に甘んじ、CSでDeNAに競り負けたのも、読売の大味な隙だらけの野球スタイルにあった。高橋は球団から「大補強」というプレゼントをもらったけれど、それには、昨年の弱点を補強するコマが入っていなかった。球団にモノがいえない指揮官のようだ。

他球団の動向

〔首位〕
昨年の覇者、広島は黒田が抜けたが、大幅な戦力ダウンにはならないだろう。潜在能力が高く年齢の若い選手が多いから、昨年以上の実力がチーム全体に付いたと確言できる。

〔2位〕
DeNAも広島と同様、若いチーム。昨年、読売を凌駕できたのも、チーム力上昇中の証左。昨年より悪くなる要素はない。

〔3位〕
中日にはいい外国人選手が入団した。選手管理及び采配に問題のあった谷繁が監督を辞めた分、昨年以上の力を発揮する。

4位(読売)

〔5位〕
ヤクルトには昨年より上向く材料に乏しい。手薄な先発陣、抑え投手の不在、バレンティンの衰え、川端、畠山の故障…と優勝メンバーが軒並み衰えた。山田ひとりでは・・・

〔最下位〕
阪神は今年も、外国人の補強に失敗した。昨年課題だった、三塁、一塁に打てる選手がいないまま。糸井の加入はプラスだが、彼は外野手。クリーンアップとして、昨年好調だったベテラン福留以外に名前が挙がらない。若手育成を掲げているが、潜在能力の見極めも大事。選手の入れ替えに失敗したまま、今シーズンを迎えてしまった。このチームは当分、苦難の道が続くものと思われる。