2014年3月16日日曜日

野依良治は理研理事長を辞任せよ

万能細胞と言われる「STAP(スタップ)細胞」の論文に対する疑惑をめぐり、理化学研究所の調査委員会は14日、中間報告をした。同報告に係る記者会見に出席した理研幹部は、野依良治理事長、川合真紀理事(研究担当)、米倉実理事(コンプライアンス担当)、竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター長、石井俊輔・研究論文の疑義に関する調査委員会委員長。

理研中間報告記者会見に違和感

この会見をTV映像で眺めていて違和感を覚えたのは筆者だけだろうか。壇上に上がった理研幹部たちに当事者意識が感じられないのだ。今回の疑惑はおそらく不祥事だろう。企業であれば、社員が不祥事を起こし世間を騒がせたのだ。医療に係る案件であるだけに、その実現に期待をした患者さんも多かったのではないか。科学に対する信頼を損ねたという指摘はその通りだと思う。

であるならば、理事長以下幹部たちは、不祥事を起こしてしまった自らが統括する組織=理研の管理体制・甘さ、不備、管理能力不足等、いわゆるガバナンスの欠如を反省すべきではないのか。しかるに壇上の幹部たちは、他人事のようなのだ。理事長も冒頭では謝罪をしたものの、会見が進むうちにこの案件の当事者(小保方晴子)だけに責任があるかのような発言を繰り返す。挙句は、小保方氏を“未熟な研究者”と一刀両断する始末だ。

そうであるのならば、そのような未熟者をユニットリーダーに据え、しかもその未熟者が行った研究結果を理研内部で検証もせず世に出した責任はどこにあるのか。小保方が勝手にやって勝手に発表したとでも言うつもりか。組織のトップである野依良治理事長以下、会見に臨んだ理研幹部にあるのではないのか。この中間報告で欠落しているのは、理研という組織の未熟さの検証ではないのか。そのことを欠落したまま最終報告書を作成し発表したとしても、世間に対しては説得力をもたない。理研理事長はノーベル賞受賞者だというから頭はいいのだろうが、組織を統括する能力や問題解決能力はない。あるのは権威を背景とした自己保身だけだ。野依良治は理事長を辞任すべきだ。

なぜ、理研では研究者倫理が遵守されなかったのか

会見を仕切った幹部の態度もいかがわしい。そもそもコンプライアンスというのは、組織が法令を順守するという意味だ。今回の案件は理研という組織が法令とはいえないが、少なくとも研究者としての倫理を著しく逸脱した行為の結果だろう。だからまずもって反省すべきは、自らが担当する理研のコンプライアンスのあり方、その不備、甘さだろう。中間報告という限界はあっても、自らの担当業務の怠慢を棚に上げて、あたかも第三者委員会のような態度で中間報告を行うその精神構造が理解できない。今回の案件が決着した時点で、コンプライアンス担当責任者以下、幹部も職を辞すのが妥当だ。

最終報告作成においては野依以下、理研幹部をヒアリングせよ

理研がなぜ、「STAP(スタップ)細胞」の論文の発表を急いだのか。その背景をこそ明らかにしなければならない。中間報告ではその検証の方向性が、小保方の論文の疑惑解明に偏っている。それはそれで仕方がない。まず疑惑の真相を検証することが先だろう。それが明らかになった時点で、検証の方向は理研の組織のあり方、理研(の職員=研究者)がなぜ、このような未熟な研究発表を行ってしまったのか――に向かわなければならない。

今度は、野依良治理事長以下、壇上に上がった、川合真紀理事(研究担当)、米倉実理事(コンプライアンス担当)、竹市雅俊・発生・再生科学総合研究センター長、石井俊輔・研究論文の疑義に関する調査委員会委員長がヒアリングの対象となる。 (文中敬称略)