2014年9月30日火曜日

御嶽山の噴火と火山噴火予知連絡会の無力

木曽の御嶽山が火山爆発し、登山中の多くの方々が犠牲になられた。心よりお悔やみ申し上げます。

それにしても許しがたいのが火山噴火予知連絡会という火山研究者集団。TVにその長と思われる者が登場し、ヌケヌケと、「水蒸気噴火は予知できない」という意味の発言をしていた。おいおい、そんな話は初めて聞くぞ、予知できないのならば常日頃から、そのことを広く明らかにしておくべきではないのかい――無責任極まりない。

同連絡会は気象庁の外郭か。そこにどれくらいの税金が投入されているか知らないが、水蒸気噴火が予知できないのならば、火山噴火はすなわち予知できないということに等しい。富士山、箱根山、三原山・・・関東地方に住む筆者の近くには、噴火の可能性がある火山が少なくないことを意味しないか。しかもそれらはかなり身近な存在だ。なかで富士山がその代表的存在。2013年に世界遺産に登録され、海外からも観光登山者が増加している。

登山はそもそも趣味の範疇にある。個人の趣味を強制的に奪うことはできない。登山には、悪天候、落石、滑落等に起因する事故もある。だから、登山者はそれらに対する備えをする。火山噴火が予知できないことが登山者に周知されていれば、火山に登る場合の必携品としてゴーグル、ヘルメット等が常識となっていた可能性もあるし、そんなもの要らないという登山家もいたことだろう。携行品にも強制は及ばない。ゴーグルやヘルメットを携行していても、火山爆発の規模や遭遇場所によって、死亡しないわけではない。ガスマスクというところまではいかないだろう。しかしそれでも、火山に登ることの覚悟はできた。噴火に遭遇する可能性はゼロではないのだと。

さて、今冬にも再稼働するとされる九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の近くには、頻繁に噴火する桜島がある。今回の噴火以前、桜島が噴火する可能性は、筆者の素人認識では、御嶽山より高かった。たまたま、御嶽山のほうが早くに大規模噴火したまでだ。

安倍政権と同連絡会ははもちろん、今回の噴火があっても、川内原発の再稼働を強行するだろう。噴火の予知できない火山と、事故が起きても制御不能な原発の取り合わせほど、不気味なものはない。

3.11に代表される大地震及び大津波、大型台風、局地的集中豪雨、土砂崩れ、河川の氾濫、そして火山噴火と、日本列島は災害列島と化している。気候(気象)変動と地層・地殻の変動がいま同時的に日本列島を襲っている。しかも、科学はほぼなすすべを知らない。自然に対して人間の知が及ばないのは仕方がない。が、せめて自然現象の研究に従事する者(川内原発再稼働に関しては、火山噴火予知連絡会)は、謙虚に自分たちの知の限界を語ってほしい。自然現象を予知できないことは恥ではない。予知できないことを告白しないことの方が罪が重い。科学の限界を素直に語ることが、科学者の最低限のモラルというものだ。

人間が生み出しながら、人間が制御できない原子力発電所については、人間の知(=技術)がその制御を可能とするまで、稼働は控えるべきだ。少なくとも、地震予知及び火山噴火予知ができないという前提において、それに従事する科学者・専門家と呼ばれる者は、知の限界を体現する者として、原発の再稼働については反対の立場を表明することが期待される。