2020年8月22日土曜日

阪神タイガース再生案

 

久々に投稿する。NPBが再開されおよそ半分の60試合弱を消化した。セリーグは読売が強い。その一方で阪神が読売にまったく歯が立たず、東京ドームでいまだ勝ち星がない。そんな阪神タイガース再生に必要な方策を示そう。阪神の低迷――読売に勝てない要因は複数ある。主なものとしては、①チームづくりの失敗、②監督采配、③捕手のリード――に集約できる。


攻撃陣の弱体化を放置

(一)ベテランの衰え

阪神の投手陣は健闘しているが、打撃陣がダメだ。福留、糸井のベテランに頼り切っていたまま今シーズンを迎え、2人の衰えで攻撃力が減退した。

(二)「第二のバース」を求め続ける愚かさ

打撃陣の即戦力として新外国人を毎年迎えているが、NPBに馴染まぬまま、退団させている。外国人選手獲得の仕方がそもそも時代遅れだ。中南米の若手を育成で入団させてNPB流に鍛えるのがいまの野球界の一つの傾向であるが、そのような努力はしない。NPBで活躍している外国人にキューバ国籍が多いのだが、キューバ野球界とのコネクションがない(ガルシア投手はキューバ国籍だが、中日からの移籍)。いまだに、「第二のバース」を求め続けている。

(三)和製大砲を育てられず

他球団を見ると、岡本(読売)、村上(ヤクルト)、鈴木(広島)と和製大砲が育っているが、阪神は育っていないどころか、その気配すらない。筒香が抜けたばかりのDeNAだが、すでに佐野が育ちつつある。セリーグで和製大砲が不在なのは中日と阪神だけとなった。阪神の若手投手陣は順調に成長しているのに、野手陣はまったくだめ。打撃コーチとして実績のあるコーチを招聘しなければ、この状況を打開できない。

矢野采配はカオス

(一)せめてセオリーは守るべきだろう

既に多くの報道がある通り、矢野采配はカオスそのもの。それを象徴するのが読売に3試合連続完封負けを屈したカード、無死一塁、2点差ビハインドでクリーンアップを迎えた場面で二盗失敗、チャンスがついえた。ここで盗塁のサインを出すバカはいない。

(二)打率2割に満たない野手が先発するナゾ

8番二塁で植田海を起用し続ける理由を教えてほしい。彼の打率は33試合で.163、通算.193である。打率2割に満たなければ、おそらく他球団ならば守備要員かファームだろう。二塁を守れる選手がほかにいないとなれば、阪神はプロ球団とは言えない。

ワンパターンの梅野リード

正捕手梅野の評価は高い。彼は「打てて」「走れて」「強肩」という、稀な才能を持つ捕手だという。ところが肝心な投手のリードが鈍い。弱気だ。しばしば指摘されるが、藤浪のすっぽ抜けを心配するあまり、相手右打者に対して、アウトサイドに遍在するリード。確かに、打者の頭にぶつければ、藤浪は危険球退場し、相手打者に深刻なダメージを与える。あってはならない。だが、そこを突破しなければ、藤浪はプロの投手としてやっていけない。バッテリーで腹を括るしかない。

読売戦、梅野の弱気のリードが「光る」(笑)。中日の大野をはじめとして、読売打線を封じ込めるには、左右を問わずインサイド攻め以外にない、それも強い球を使うこと。中日の捕手マルティネスは、読売戦で自軍の四番ビシエドが死球を受けた後、読売の捕手・大城とウイラーのインサイドを果敢に攻めさせた。これは報復ではない、警告である。梅野は甘い。投手陣にインサイドを投げさせる勇気がない。

人気に胡坐をかいて近代化怠る

阪神は後ろ向きの球団である。過去の栄光、過去の成功例を追い続ける体質から抜けきれない。かつて読売がそうだった。FAで選手を掻き集め、他球団を弱体化させて戦力優位を保とうとした。ダブついた戦力は有能な選手の飼い殺しとなり、ファームで燻ったまま退団していった。才能のある若手も出場機会を失い、引退していった。

読売はここ数年、その体質からの脱却を図り、近代化に成功しつつある。①積極的トレード、②FAの人的補償でのベテラン放出、③三軍創設、④育成からの登用、⑤若手外国人の発掘・育成、⑥有能なコーチとの契約――いわゆる「巨人軍の伝統」に反する施策を取り込んだ。その結果、一軍と二軍の流動性が高まり、選手層に厚みが出た。阪神のように、打率2割に満たない野手が先発起用を続けるような異常事態は起こりようがない。

読売は、シーズン中のトレードも成功している。高木京の不調、戸根の故障で左腕のリリーフが不足するとみるや、楽天から高梨を獲得した。加えて、左打者封じの変則に大江を改造して、「ダブル左殺し」の戦力整備を果たした。亀井、パーラの故障が長期化すると見越すと、ウイラーを同じく楽天から獲ったばかりか、育成出身の松原を引き上げて2人の穴を埋めている。

阪神はどうだろうか。前出のとおり、福留、糸井の衰えをカバーするため、ウイラーを獲ることだって可能だった。打率2割に満たない植田を起用せざるを得ない状況ならば、読売の二軍でチャンスを待つ山本、田中といった内野手をトレードで獲得できる可能性を追求すべきだ。もちろん、欲しいからといって同一リーグのライバル球団とのトレードがすんなり決まるわけはないが、MLBなら当たり前の商談だ。

ボーア、サンズが芳しくないようなら、次の外国人を見つけてきて、せめて2人に活を入れるべきだ。12球団のどこかと、選手交換の窓口を広げることぐらい、できないはずがない。阪神が強くならなければ、セリーグはつまらないのである。