2014年6月6日金曜日

小保方劇場いよいよ終幕か――明かされた小保方マジック(錬金術)

いろいろと話題を提供してきた、理化学研究所と小保方晴子による「STAP細胞」騒動もいよいよ終幕に近づいたい。「STAP細胞は、ありま~す」と絶叫した小保方晴子もついにギブアップ。論文取下げに同意した。

小保方の息の根を止めた遠藤高帆(理研上級研究員)

小保方の息の根を止めたのは、すでに報道にあるとおり、小保方と同じ理研に所属する遠藤高帆・上級研究員の独自の解析結果であった。解析で問題としたのは「STAP細胞」を培養してできる幹細胞に係るもので、(A)「STAP細胞」を培養してできる幹細胞の種類についてと、(B)実験に使用されたマウスの種類に関する2点である。

(A)については、「STAP細胞」の論文で、小保方らが培養し「STAP細胞」として公開した遺伝子データが、胚性幹細胞(ES細胞)と、胎盤になる能力のある幹細胞「TS細胞」の2種類の細胞を合わせて得られたデータだった可能性が高いという。小保方らは「F1」という種類のマウスから作り、胎盤にもなる能力があると論文に記載した。だが論文に付随してインターネットで公開された遺伝子の働き具合を示すデータを遠藤が解析したところ、ES細胞と、胎盤になる能力のある幹細胞「TS細胞」が混ざった特徴があった。

(B)については、もとになったマウスが「F1」ではなく、「B6」「CD1」という別の種類だった。これにより、STAP細胞の最大の特徴である胎盤に分化できる能力が「TS細胞」に由来していた可能性が浮上したという。

遠藤は5月22日、理研に解析結果を報告し「偶然や間違いで起きるとは考えにくく、意図的に混ぜ合わせた可能性がある」などと話したという。理研は「この結果だけでは「STAP細胞」の存否を結論付けることはできない」として、理研内の再現実験チームの検証結果が出てから慎重に判断する方針だという。

さて、純文系の筆者には(A)(B)の詳細はわからない。ただこの間、(A)についてはネット上で推測から断定に近い形で多くの専門家が指摘したこととかぶっている。(B)については、いち早く論文撤回を呼びかけた共同執筆者の一人若山照彦の発言が思い出される。フード付きトレーナー姿で取材に応じていた、あの若山だ。若山は「(「STAP細胞」)が信じられなくなりました」と発言し、マウスのすり替え疑惑をいちはやく指摘していた。

「STAP細胞」は理研による詐欺的プロジェクト?

それにしても気持ちが悪いのは、4月16日の笹井芳樹の会見である。笹井は、疑惑の論文の実験過程に自分は一切関与せず、実験は小保方と若山の2人が行ってきたことを強調していた。

筆者の推測では、笹井は小保方が若山を騙して、意図的にマウスのすり替えを行ったこと、および、小保方が2種類の細胞を混合して「STAP現象」を「作製」したことを、理研がメディアを集めて割烹着やらピンクの実験室の公開で「成功」をピーアールする前に知っていた可能性が高い。だから、笹井は不正発覚後、自分に非が及ばないよう、会見の場において実験過程(若山と小保方)と論文執筆過程(笹井と小保方)の役割分担をことさら強調したのではなかろうか。もちろん自分に疑惑が及ばないよう予防線を張るためであろう。

笹井の嘘を裏付けるのは、笹井が会見で繰り返し、「STAP細胞」の存在の可能性を仄めかしていたことである。笹井は「白紙に戻す」と言いながら、「STAP細胞でなければ説明できないことが少なからず存在する」と、検証実験の必要性を強調する一方で、暗にその存在を滲ませていた。

つまり、「STAP細胞」の存在可能性が残っている限り、笹井の作為=悪意=故意=嘘は発覚しない。発覚しない以上、笹井は処分される可能性が薄い。小保方は論文不正で処分されるが、自分は実験に関与していないことを根拠にして、シロだと強調したかったのだろう。

笹井の理研における立場および科学(業)界における実績は、かけだしの小保方と比べれば天と地ほどちがう。小保方がかりに「STAP細胞」を作製したと錯誤したとしても、笹井がそれを検証すれば、彼女の錯誤は発見できる。もっとも、小保方は錯誤ではなく意図的に、彼女独自のコツとレシピ(つまり先述のとおり2つの細胞を混合するなどの手法)を用いて、これまで200回近く「STAP細胞」の「作製」に成功した。小保方を取り巻く上司たちは小保方の実験結果をまるで検証せずに、それを信じた。なんとも不自然ではないか。つまり、少なくとも笹井は、小保方の作為=悪意=故意=嘘を承知で、「作製」を容認したのではないか。

「STAP細胞」騒動とは、小保方「単独犯」によるものではなかろう。少なくとも若山を除く論文の共同執筆者=小保方、笹井、丹羽(ネットではSE細胞を混入したのは丹羽仁史ではないかとの疑義が報じられている)等が関与した組織的詐欺行為、虚偽を前提とした「研究プロジェクト」であった可能性が高い。

平気で嘘をつく理研の研究者たち――理研を覆う倫理崩壊

それにしても末恐ろしいのは、理研という組織とその構成員である。小保方はもちろんのこと、彼女の上司である笹井、丹羽、そして自らの研究論文で画像改竄の疑惑を指摘されて調査委員長を辞任した石井俊輔にしても、彼らの表の厚顔ぶりは驚くべきものがある。彼らは平気で人前(記者会見)で嘘をつく。責任を逃れる発言を繰り返し、他人に罪を被せようとする。その態度にひるんだ様子が見られない。

恐るべきモラルハザード(倫理崩壊)が理研という組織に蔓延・進行している。彼らは、人前で平然と嘘をつく技術を、理研という組織で学んだことであろう。だがこともあろうに、彼らは税金で研究し、税金から給料をもらっている。理研は人前で堂々と嘘をつく技術を、税金を使って教え込む研究機関なのか。

筆者は小保方に対する厳正な処分は当然だと思う一方、やはり、理研をこのまま放置しておくことは納税者に対する裏切り、侮辱だと感じる。当然、そのトップである野依良治理事長は辞任すべきであり、「STAP細胞」に関与した笹井、丹羽等を解雇すべきだと考える。当然、理研は解体、再構築すべきである。

そして新しく生まれ変わった理研がまず研究すべきは、高性能の「ウソ発見器」であろう。理研の研究者、幹部の記者会見においては、「ウソ発見器」が重要な役割を果たす。