2017年3月5日日曜日

侍ジャパン、小久保監督更迭以外に道はなし

日本プロ野球WBC日本代表(以下、「侍ジャパン」)がうまくいっていない。調整試合の内容が悪い。主因は選手の調子がいまだに上がっていないこと。WBCに合わせてきた、と各代表選手は口々にメディアの前でコメントしてきたが、「建前と本音の…」というやつか。投打ともにいま一つ。

選手に同情すべき点もある。通常の開幕のおよそ一月前に本調子に仕上げるのは容易ではない。

そればかりではない。代表監督・小久保裕紀の力量不足が目立つ。そのことを象徴したのが、3月3日の阪神との調整試合だった。3点リードされた6回ワンアウトランナー一塁、打者9番小林誠司(読売)のときに送りバントのサイン。この場面で、小久保の無能が大衆的に暴露された。

その第一は、小林誠司が捕手部門で代表選出されていること。小林誠司は強肩で盗塁阻止率日本一の成績を残している。だが、代表選手には、総合力が求められる。とりわけ捕手の場合は、試合を読み解く洞察力及び投手のリードに係るプライオリティーがもっとも高く、以下、守備力、打力、盗塁阻止率…と続く。小林誠司は捕手に優先される能力において、代表の資格がない。小久保は盗塁阻止率という数字だけで小林を代表に招集したのではないか。観念的すぎる。

第二は、6回、3点ビハインドの局面で送りバントは絶対にない。もちろん強行しなければいけない。小林誠司の打撃は投手並みに悪いから、当然代打策だ。なぜならば、6回で1点返しても、試合に影響しない。しかも、WBCルールは投手の投球数に制限がかけられている。つまり、相手に1球でアウトを一つ献上するバント作戦はそぐわない。大会に突入したとき、日本代表が浅い回からバントを多用するようだと、相手投手を助けるようなもの。そのあたり、小久保はWBCのレギュレーションをまるで理解していない。

第三は、故障している嶋基宏(楽天)をこの期に及んで捕手枠に入れていること。この試合まで、侍ジャパンの捕手は、先発の小林誠司、嶋基宏、大野奨太(日本ハム)の3選手。ところが、小林誠司に代打を送れなかったのは、嶋基宏が故障で試合に出られる状態になかったからだという。つまり捕手として3選手を登録していながら、使えるのは2選手ということ。では、嶋基宏はなんのために侍ジャパンに同行しているのか。まったくの無駄であるどころか、マイナスではないか。小久保裕紀には、監督として勝つつもりがない、と思われても仕方がない。まったく理解に苦しむ。

しかも、なんとこの試合後に、嶋基宏の登録を抹消して、炭谷銀仁朗(西武)を入れた。呆れてものもいえない。合宿に参加していない捕手をいまごろ呼んでどういうつもりなのか。嶋基宏の故障の具合について、監督が把握していないというのは、いったいどういうことなのか。

第四に、調整試合を有意義に使えていない。壮行試合、調整試合、親善試合というのは、大会前に選手を実戦で試し、さまざまな情報を得るためのもの。大会本番で使える選手、使えない選手の見極めをすることだ。選手の入れ替え、打線の組み替え、守備位置の変更…試行しなければ、わからないことが多い。

短期戦は、リーグ戦のような長丁場でないから、修正が難しい。たとえば、坂本勇人(読売)の状態をどうみるか。彼がこの先使える選手なのかどうか――昨シーズンの成績や過去の実績に拘泥することなく、感性で采配をふるわなければならないこともある。小久保には、その感性が不足している。

繰り返すが、小久保裕紀は代表監督としてふさわしくない。▽代表選手選考→センスがなく観念的、▽采配面→点差、残りイニング数、WBCレギュレーション…等に考えが及ばない、▽選手の状態把握→使えない選手を登録、個々の選手の調子の見極めができていない、▽調整試合の利用→実行力、判断力、想像力に欠ける――と、監督の能力、資質がない。

小久保は監督業としては、いまだ素人の域。そんな小久保だが、彼は監督の経験はないに等しい、でも、そんなこと、プロ野球関係者なら、だれでもがわかっていること、わかっていながら…である。

侍ジャパンに期待できない。NPB、選手、スタッフ…は、ようするに、本気ではないからだ。今朝のTVの情報番組で、辛口コメンテーターの張本勲氏は、「8割5分、侍ジャパンに(優勝の)可能性はない」と断言したらしいが、筆者も張本氏に同意する。