- 広 島=勝率(.630)(打率.276、防御率3.35) ゲーム差
- 阪 神=勝率(.545)(打率.244、防御率3.27) 8.5
- DeNA=勝率(.526)(打率.254、防御率3.75)10.5
- 読 売 =勝率(.485)(打率.250、防御率3.51)14.5
- 中 日=勝率(.444)(打率.252、防御率3.92)18.5
- ヤクルト=勝率(.347)(打率.237、防御率4.26)28.5
開幕前の筆者の順位予想は、1.広島、2.DeNA、3.中日、4.読売、5.ヤクルト、6.阪神-であった。最下位予想の阪神が2位をキープしていて、いまから最下位に転落する可能性はゼロに近いので、筆者の予想は阪神に関しては外れた。
「絶対最下位」ヤクルト――ここまで多数の故障者続出は予想できず
「絶対最下位」のヤクルト。勝率3割4分7厘の成績は故障者続出による。攻撃面(チーム打率.237、リーグ最下位)の弱体化については、優勝(2015)したときの主軸打者=川端慎吾、畠山和洋、雄平が消え、山田哲人が低打率に喘いでいる状況から生じた。ここまでの大量故障者はさすがに予想できなかった。
投手陣では、2015年活躍した救援陣(ローガン・オンドルセク、トニー・バーネット、オーランド・ロマン、久古健太郎)、先発陣では館山昌平らが退団したのだが、その穴が埋まっていない。しかも、小川泰弘の不調、石川雅規の衰えを若手がカバーできなかったため、先発も壊滅状態。結果、この惨状を招いた。要するに、選手層が薄い。主軸と控えの差が大きく、故障者を埋める戦力がない。ヤクルトのチーム再建には相当の時間を要する。
予想どおり4位の読売――金満スキャンダル球団の面目躍如
4位の読売は予想どおり。読売は低迷する状況打開を目指してオールスター戦近くにケーシー・マギーを二塁にコンバートした。時を同じくしてFA加入の陽岱鋼が復調して、打撃陣は破壊力を増した。マギーのコンバートは、残り試合60を切ったところでの決断。これはマギーの体力を考えてのこと。三塁、一塁に比べて守備範囲が広く、併殺プレー、盗塁等の動きが多い二塁は負担が大きい。残り60試合なら、なんとか持つだろうというのが読売首脳の判断。いまのところ、マギーは二塁を無難にこなしているが、いつまでもつかの不安はある。
陽、マギー、坂本勇人、阿部慎之助、村田修一、長野久義、亀井善行と並べた打撃陣は重量感があるが、坂本を除けば、いわばDHを並べたようなもの。この打順の致命的欠陥は、走れないこと。接戦での勝負で勝ち目がなくなる。試合後半、いずれかの打者が走者になった時、代走を起用せざるを得なくなる。延長になれば、代走が打席に立つ。さらに困ったことに、8月4日の中日戦では代走の重信慎之介がサヨナラの場面で走塁ミスをする始末。走塁スペシャリスト鈴木尚広の引退が響いている。
読売に関しては、シーズン前の何億円補強も無駄だった。FAで獲得した「左殺し」の森福允彦がだめ、山口俊が飲酒暴力事件を引き起こし、登録抹消中。今シーズンはおろか、このまま任意引退、自由契約もあるという。陽もフルシーズンレギュラー出場は無理そうだから、読売は移籍金をドブに捨てた感がある。
それだけではない。山口俊はこの事件がなくとも、期待はできなかった。故障で開幕に間に合わず、しかも復帰後の投球フォームを見ると肘が下がっていて、試合後半には球威が落ち、シーズンを通してのローテーション入りは無理だと筆者は思っていた。事件があってもなくとも、先発定着はない。
トレードで獲得した吉川光も戦力外。唯一、右打者の石川慎吾が戦力になっているが、彼の弱点である内角をセリーグ投手陣が積極的に攻めれば、打たれることはない。来シーズンは研究されて成績を下げるのではないか。
重量級打撃陣のなかでは村田がおかしい。シーズン前半、変な使われ方をしたからではないだろうが、得意の守備面における反応が鈍くなっている。長野も故障持ちでフルシーズンレギュラーは無理。亀井も安定感がなく、年間レギュラーの選手ではない。
このような現象を引き起こしている要因は、選手の加齢のため。読売の主軸(坂本を除く)と、首位を行く広島の主軸(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也、安部友裕)とを比較すると、アスリートとしての資質の差が明らかとなる。<中年オヤジ体型(読売)>VS<アスリート体型(広島)>といった対比が思い浮かぶ。広島の選手の方がスピード、俊敏性、瞬発力等の運動能力が圧倒的に優れている。FAでベテランの強打者(DHタイプ)ばかり集めた読売が4位というのも郁子なるかな、だ。野球賭博事件に次いで、飲酒暴力事件を引き起こす読売球団に明日はない。
がんばる阪神――香田勲男の投手コーチ手腕を評価せよ
阪神の好成績の主因はなんとっても、投手力。防御率リーグ1位は予想できなかった。セットアッパー、クローザーの二人の外国人、メッセンジャーの好調、若手の台頭と、投手陣に関する好材料が揃っている。投手陣を再建した香田投手コーチ(元読売投手)をメディアはもっと評価すべきだ。若手打者の「成長」が大きく報道されるが、投手陣に比べれば見劣りする。完全にレギュラーの座を獲得するだけの力を有している若手打者は出てきていない。
ベテラン勢(糸井嘉男が故障のため不在)の福留孝介、鳥谷敬、上本博紀、途中加入のジェイソン・ロジャース(一塁手)ががんばり続ける一方、若手がチャンスで有効打を放ち、いまの成績を維持している。阪神の奇妙なチーム・バランスについては予想できなかった。