2022年2月15日火曜日

疑惑の人、阪神矢野監督、シーズン前に自ら退任を公表

2月中旬に差し掛かり、NPB(日本プロ野球)各球団のキャンプは佳境に入りつつある。紅白試合から他球団との練習試合も開催されている。しかしながら、各球団にコロナ感染者が続出し、順調な船出とはいかない。  

キャンプイン初日、阪神矢野監督、異例の今季限りでの退任を自ら公表

今年のキャンプで異例とも思えたのが、阪神タイガース矢野監督が、キャンプイン初日に自ら今シーズン限りでの退任を公表したことだ。指揮官が戦う前に退任を選手、ファンに公言するのは珍しい。筆者の記憶にはない。良いことか悪いことかと問われれば、もちろん、悪い。その理由は、指揮官は結果に責任を負うのであって、任期を自ら定めるものではないからだ。趣味で監督の仕事をやっているのならば、それもよかろう。しかしかりにも、阪神タイガースがシーズン途中、泥沼にはまって負け続けたときはどうなのか。そのときは辞めるしかあるまい。すなわち、プロの指揮官が自ら任期を限る意味はまったくない。辞める監督の指揮下でプレーする選手の気持ちも考えていない。この人の言動はとにかく軽すぎる。思慮に欠けるのだ。 

2021シーズン、阪神のサイン盗み疑惑発生

矢野監督は疑惑の渦中の人だ。昨シーズン、サイン盗みの疑いでヤクルト村上が抗議をした。2021年7月6日の出来事だった。村上の抗議に対して矢野は村上に対して、いかにも野卑な表現で否定した。コミッショナーもヤクルト側の抗議を無視して、事態はうやむやのままシーズンを終えた。しかし、阪神は抗議を受けたヤクルトに優勝をさらわれ、2位でペナントレースを終え、クライマックスシリーズでも3位の読売に負けてシーズンを終えている。 矢野が村上に謝罪したとは聞いていない。

物的証拠はないが状況的「証拠」はある

 サイン盗みがあったのかなかったのかは筆者にはわからない。ただ、「状況的証拠」はある。阪神の2021打撃成績を調べると、開幕から6月まで(すなわち抗議のあった7月前までの3・4月、5月、6月の71試合)の月間本塁打数合計は70本であったのに対し、7月から10月までの72試合における本塁打数合計は51本と大幅に減少している。勝率については、シーズン開始から7月6日までが45勝32敗3分、.584。それ以降は32勝28敗7分、.533とこれまた落としている。貯金(いわゆる価値と負けの差)は13から4とこれまた大幅減である。 阪神タイガースの成績は、ヤクルト村上が抗議を発した7月6日をもって下降したのである。

「驚異の新人」だった佐藤輝明の成績 

シーズン途中、新人王候補間違いなしと呼ばれた佐藤輝明の成績を見てみよう。前出と同じように、サイン盗みの抗議のあった7月以前とそれ以降の比較である。3月から6月までが278打席73安打、.262、7月から10月までが167打数、28安打、.168の低率である。本塁打数は19本から5本と大幅減となっている。

新人選手の成績であるから、他球団の投手が研究したことで成績が下がったという理屈は成り立つ。佐藤がサイン盗みをしたから成績が良かったと断言できるわけではない。その証拠がないのである。阪神タイガースも佐藤輝明も、裁判でいうところの推定無罪である。しかしながら、これだけは言えるのである--阪神タイガーズ、矢野監督、そして全選手がサイン盗みの疑惑を実績で払しょくできなかったと。

2022シーズン、阪神のみならず、全球団、フェアプレイに徹してほしい。