サッカー日本代表(森安ジャパン)が称賛されている。親善試合のホームにおけるブラジル戦およびアウエーのイングランド戦に勝利したからだ。W杯を間近(本年6月15日)に控え、優勝も狙えるとの報道もある。確かに日本代表の実力は上がっている。欧州リーグでレギュラーをはる選手も複数出ている。2002年、W杯日韓大会に初出場した時とはまったく状況が異なっている。
2006年の失敗
親善試合の2試合で実力を計るのは難しい。若い代表ファンはご存じないだろうが、ジーコが日本代表を率いていた2006年ドイツW杯直前の親善試合(5/30/ドイツ・レーバークーゼン)において、日本はドイツと(2-2)引き分けた。日本の2得点はいずれも高原が上げたものだった。
そのころドイツは日本が得点を奪うことすら不可能と思えるくらい強かった。しかもドイツは 開催国だ。親善試合とは言え、ドイツが手を抜くことはあり得ない。そんなドイツに日本代表はアウエーで引き分けたのだから、メディアは大騒ぎした。「さすがジーコ監督!」と、日本中がジーコ・ジャパンに期待を寄せた。
ところが、本番(6月12日)のグループリーグ初戦、日本はオーストラリアに1-3で負け、第二戦はクロアチアと0-0で引き分けたものの、第三戦のブラジル戦を1-4で落とし、勝点1で予選敗退に終わった。前出のドイツとの親善試合で2得点を上げた高原に得点はなかった。
本番までの調整が重要
結果論として言えるのは、ジーコ・ジャパンは本番の10月前にコンディションがピークとなり、次(6月4日)の格下のマルタ戦(1-0)から下降局面に入り、本番までに再上昇できなかった。
森安ジャパンのW杯初戦(オランダ)は6月12日(米国・ダラス)で、その直前のカードは5月31日のアイスランド戦(東京)。この試合は壮行会の位置づけだろう。ということは、森安ジャパンは本番前に北中米で試合を組んでいないことになる。第二戦はチュニジア(メキシコ・モンテレイ)、第三戦のスウェーデンがダラスだ。6月のダラスは日中は30度を超えるし、モンテレイも変わらない。東京のアイスランド戦からダラスのオランダ戦までの調整こそが重要となる。
日本代表の公式戦の成績
親善試合は練習試合なのである。昨年(2025)の森安ジャパンの公式戦の成績をみると
- 3月20日W杯アジア最終予選2-0でバーレーンに勝利(ホーム)
- 3月25日同最終予選 0ー0で サウジアラビアと引分(アウエー)
- 6月5日同最終予選 0ー1で オーストラリアに敗け(アウエー)
- 6月10日W杯アジア最終予選,6-0でインドネシアに勝利(ホーム)
- 7月8日東アジアE-1サッカー選手権 (EAFF E-1)6-1で香港に勝利(アウエー)
- 7月12日 EAFF E-1 2-0で 中国に勝利(アウエー)
- 7月15日 EAFF E-1で1-0で 韓国に勝利(アウエー)
となり、公式戦は7戦5勝1敗1引分だが、 EAFF E-1の3勝利を除くと2勝1敗1引分で終わっている。2勝のうち明らかに実力不足のインドネシアからの勝利を除くと、1勝1敗1引分の五分の成績である。W杯アジア予選を早々に勝ち抜けたあとの3試合とは言え、このことは、公式戦が親善試合と異なる現実を示している。
結論を言えば、W杯という真剣勝負の結果については、親善試合(練習試合)の結果の積み上げを参考に留め、本番までの調整具合を見ることが重要となる。調整にはフィジカル面にとどまらず、メンタル面も含まれることは言うまでもない。
過信は禁物
ブラジル、イングランドといった強豪から奪った勝利を自信にするのはいいが、過信してはいけない。この勝利は練習試合なのだということを忘れてはならない。慢心こそが危険である。日本代表のW杯における最高位はベスト16どまりなのだから。自分たちはまだまだ挑戦者にすぎないのだという謙虚さを失ってはならない。〔完〕
