2009年11月10日火曜日

類似した事件がセットで発生する不思議

似たような事件がセットで発生している。なんとも不思議な現象だ。まず、芸能人の麻薬・危険薬物事件として、「押尾学事件」と「酒井法子事件」がほぼ同時期に報道され、このたび、両事件の2人の被告に判決が出た。これを便宜上、セット1-2人の芸能人麻薬事件と呼ぶ。

■セット2-2人の女のまわりで大量の不審死発生

(1)埼玉結婚詐欺女と練炭不審死事件

10月27日、埼玉県警に結婚詐欺などの疑いで逮捕された無職の女(34)=東京都豊島区西池袋=の知人男性が相次いで不自然な経緯で死亡していたことが、県警の調べで判明し、殺人事件の疑いもあるとみて捜査しているとの報道があった。県警によると、女とかかわりを持ち、その後に不審死した男性は4人に上るという。

県警と警察当局によると、女と交際していた東京都千代田区神田神保町の会社員、大出嘉之さん=当時(41)=が8月6日朝、埼玉県富士見市の駐車場で、施錠した乗用車内で練炭による一酸化炭素中毒で死亡しているのが見つかった。大出さんの遺体から睡眠薬の成分が検出された。車内から車の鍵は見つからず、遺書もなかった。女は大出さんに「学生だからお金がかかる。欲しいものがある」などとうその話を持ち掛け、約500万円をだまし取っていたという。

また、女が出入りしていた千葉県野田市尾崎の安藤健三さん=当時(80)=が5月15日、自宅が全焼する火事で死亡。安藤さんの遺体からも睡眠薬の成分が検出された。安藤さんは息子(36)と2人暮らしで寝たきりの状態。火事は息子の留守中に発生した。

県警によると、ほかにも都内と千葉県に、女とかかわりがあり、その後死亡した男性が2人いるという。女は、インターネットで知り合った長野県の50代男性と静岡県の40代男性に「学費が3カ月未納で卒業できない。卒業したらあなたに尽くします」などと結婚話を持ち掛け、計約330万円をだまし取ったなどとして詐欺などの疑いで逮捕された。
 
(2)鳥取詐欺ホステス女と大量不審死事件

11月になると、鳥取の不審死が報道され始めた。鳥取県で男性3人が相次いで不審死した事件で、詐欺容疑で逮捕された元スナック従業員の女(35)が、10月27日に変死した無職、田口和美さん(58)に自宅アパートで前日夜に多量の錠剤を飲ませた際、一緒にいた知人の男性に「薬を飲ませたことを警察に言わないで」と口止めしていたことが9日、分かった。鳥取県警は、女の周辺で亡くなった田口さんを含む男性6人について死亡の経緯に不自然な点があるとして、殺人容疑も視野に捜査を開始。田口さんの遺体からは睡眠導入剤が検出されており、県警は女が飲ませた薬の成分の可能性があるとみて調べている。

■セット3-2人の女子大生殺害事件

(1)千葉大生放火殺人事件

10月下旬、千葉県松戸市の千葉大4年荻野友花里さん(21)が殺害され、マンション自室が放火された事件で、犯人が荻野さんを10月21日に殺害していったん逃走後、翌22日にマンションに戻って放火した疑いがあることが分かった。その後、殺された荻野さんのカードを使った男が金を引き出した映像が公開された。

(2)島根県立大生バラバラ殺人事件
広島県北広島町の臥龍(がりゅう)山で見つかった女性の切断された頭部について、広島県警は7日未明、DNA型鑑定の結果、10月下旬から行方不明だった島根県浜田市の島根県立大総合政策学部1年、平岡都さん(19)と確認し、発表した。広島、島根両県警は死体損壊、遺棄容疑で浜田署に合同捜査本部を設置。何者かが別の場所で平岡さんを殺害、遺体を切断して車で運んで捨てたとみて、司法解剖して死因の特定を急ぐ。

■日本の警察は甘すぎる

「セット」と称しても、時間、場所等において相互の関連性は何もない。ただ、被害者、実行犯、内容において、似たような属性や情況が認められるだけだ。犯罪の傾向や犯人像において、なんらかの共通性が認められるわけではない。いまのところ(11月10日現在)共通しているのは、芸能人の麻薬事件を除いて、未解決であるということだ。

「セット2」の場合、詐欺事件を起こした女性の周辺に、不審死をとげた多数の男性(被害者か)がいたにもかかわらず、いずれの警察も不審死について自殺と断定し、捜査開始が遅れた。警察が人の死を軽んじている。日本は殺人者に都合のよい国になる危険性が高まる。日本の警察はチョロイぞ、死体のそばに「遺書」でも置いておけば、疑われることはないぞ、となれば、自殺を装った保険金殺人事件や、このたびのような不審死が多発する可能性が高くなる。そういえば、相撲部屋で起った「かわいがり」事件も、当初、警察は事故で済まそうとした。遺族が遺体を新潟大学医学部に持ち込まなければ、親方逮捕に至らなかった。警察が事件を見逃し、「殺人者」を捕まえないことが新たな被害者を生む。

いま話題の英国人女性死体遺棄事件で指名手配されている犯人は、整形手術で顔を変え逃走中だ。事件当時、犯人の自宅に警察が捜査に入ったところ、犯人が逃げ出し、以来、身柄が確保されていない。どじな話だ。日本の警察は甘すぎる。モタモタするな、と言いたい。