白猫はようやく落ち着き、家の中をわがもの顔で歩き回るようになった。
名前はけっきょく、呼びやすい「シロ」「チロ」に定着した。
「ザジ」がフランス映画に因んだのに比べて、手抜きのそしりは免れない。
もっとも、「リック」(カサブランカ)、ジャン(男と女)等といった、映画の主人公の名前を提案したものの、海外映画を愛さない家人に却下され、きわめて土着的名前に収斂した次第である。
というのも、筆者は猫を飼うことに反対していた。制御できない生命がうっとおしかったのだ。
だから、一匹目の「ザジ」および二匹目の「シロ」に係る監督権もしくは保有権については、強引に猫を連れてきた家人にあって筆者にはない。