2013年8月2日金曜日

民主党の悪霊――菅、野田、岡田、前原、安住・・・

民主党が先の衆院選に続き参院選でも大敗した。小鳩体制で自民党から政権を奪取した当時の勢いはもう完全に消失した。参院選敗北の総括もできないまま、公認問題で「反党行為」をしたとされる菅元首相、はては政界をすでに引退した鳩山元首相の「尖閣発言」までもちだして、執行部批判をかわそうとしている。その姿は醜い。

そもそも、民主党が大きく後退した要因は、日本の実体的権力が仕掛けた鳩山及び小沢に対するテロ攻撃に悪のりし、旧日本新党(松下政経塾)一派が菅を挟んで党内権力を掌握したことに端を発する。民主党崩壊の主犯は、消費税率アップを政策の柱とした菅、野田、前原一派にほかならない。しかるに彼らは、先の衆院選敗退以降、敗戦処理を海江田、細野にまかせ、表から消えた。その行動は狡猾で、無責任きわまりない。野田も前原も、民主党を崩壊させた責任を取り、議員バッジを外せと言いたい。

そんなおり、あるウエブサイトが、同党OB・元参議院議員の平野貞夫氏の見解を掲載していたので紹介しておく。
民主党大物OB 党再生に菅、野田氏ら「悪霊」の「除霊式」提案

今回の参院選では27議席減、先の衆院選では174議席減という選挙結果が示す通り、民主党は堕ちるところまで堕ちた感がある。「もはや解党するしかない」という声も上がるが、ここまでくればもう守るものなんてない。ぜひ決死の覚悟で「再生プラン」をブチ上げていただきたい──。誠に僭越ながら、勝手に民主党再生プランを考えてみました。

同党の大OBである元参議院議員の平野貞夫氏が、愛憎込めて提言するのは「除霊式プラン」である。

「民主党が国民の信頼を取り戻せないのは、ひとえにマニフェストを反故にし、消費増税を決めた裏切り行為にある。主要政策のための予算16兆8000億円は“財源がない”ということになってしまったが、徹底した歳出見直しや埋蔵金探しをすれば必ず出たはず。

それなのに民主党執行部が官僚に手玉にとられて、予算作りを放棄してしまった。消費増税にしても、財務官僚や自民党にコロッとだまされて決めてしまったこと。この党が新たな道を進むには、それらを推進した民主党内の“悪霊”たちを一気に追放する“除霊式”を大々的にやるしかない。菅直人、野田佳彦の両首相経験者は当然のこと、岡田克也、前原誠司、安住淳ら元執行部は全員“悪霊”だ」

「キョンシー」に出てくるような除霊のお札を、この面々のおでこに「バチーン!」と貼れたらさぞ痛快に違いない。除霊式には民主党員のみならず相当の観衆が集まるはずだ。(『週刊ポスト2013年8月9日号』より引用)
筆者も平野氏の見解に全面的に同意する。民主党政権と一口に括ることが多いが、政権奪取当時の小沢一郎幹事長及び鳩山由紀夫代表(首相)を執行部とする第1次民主党政権と、菅、野田が首相となった第2~3次民主党政権とは、その性格が水と油ほども違う。第1次民主党政権は、普天間移転問題で「県外」を掲げてマスコミに袋叩きにあい、さらに、政治資金問題に係る検察・マスコミのテロで倒壊してしまった。鳩山の場合は、実母からの政治資金提供疑惑、小沢の場合は「陸山会事件」である。その結果、小鳩はほどなく政界から事実上、追い出された形となって今日に至っている。

小鳩を民主党の中枢及び日本政界から「追放」したのは、検察(霞が関)・マスコミであるが、その裏には米国の意向が働いたと筆者は推測している。もちろん、推測であって証明できないのだが、鳩山が進めた「東アジア経済圏構想」や「普天間基地国外・県外移転」、そして、小沢の親中国的政治姿勢は、米国にとって脅威であった。だから、マスコミが民主党政権になって日米同盟がぎくしゃくしてきた、という主張は、第1次民主党政権には当てはまる。

ところが、第2~3次民主党政権になると、TPP参加、消費税率アップ、普天間基地辺野古移転等々、米国の意向のままに政策が展開していくことになる。この時期に比べれば、今日の安倍政権の「憲法改正」「国防軍構想」等の右寄り政策のほうが、米国にとって脅威となっているように思える。そして、このたびの麻生副首相の「ナチスに学べ」発言である。この発言は、安倍政権が米国にとって危険な存在であるという思いを確信させる契機となったに違いない。

さて、そんなことより、日本国民にとって、民主党の崩壊をどう受け止めるべきなのかが重要である。

民主党は寄せ集め集団だった。
  1. “日本のネオコン”にも匹敵する松下政経塾出身者の最右派(前原がその代表)
  2. 親中派の小沢・鳩山の最左派
  3. その間の旧民社党(旧同盟系労働組合)
  4. おなじく旧社会党(旧総評系労働組合)
  5. 菅に象徴される市民運動出身者

が蠢いていた。この烏合の衆が、小鳩がいなくなった後、何をトチ狂ったか、消費税率アップに猪突猛進し、自爆したというわけだ。

だから、民主党は解党したほうがいい。それぞれが本家に帰るべきなのだ。そして、左派は、生活の党(小沢)、旧民社党系及び旧社会党系の労働団体(同盟+総評=現連合)を母体として、さらに他党――たとえば、かつて袂を分かった社民党や、環境派(緑派)、市民運動家らを巻き込んで、左派連合を形成したらいい。小沢が先に主唱した「オリーブの木」構想である。共産党との連携もあり得るかもしれない。

その一方、旧日本新党(松下政経塾出身者)及び中間派は、みんなや維新といった右派勢力に吸収されたほうがすっきりする。さらに民主党内に残存する市民運動派、日本新党出でありながら左派的である海江田グループ等は、政界引退するか、小沢の生活の党に合流するしかないだろう。そうなると、日本の政党は、
  • みんな・維新の[超右派]、
  • 自民・公明の[右派・中間派]、
  • 連合(=労働組合)、市民団体系の[左派連合]、
  • [共産党]
――の4つに分類される。

この先、収入増なきインフレの進行、消費税率アップ、円安、株安、雇用不安等を背景として、社会・経済不安が増大することから、超右派、右派・中間派が後退する局面に入っていく。そんなとき、左派連合を糾合するスーパースター的な政治家の出現が待望される。