2016年10月12日水曜日

サッカー日本代表、2010年南アフリカにタイムスリップ

サッカー、W杯ロシア大会アジア最終予選B組第4戦、FIFAランク56位の日本代表はアウエーで同45位オーストラリアと1-1で引き分けた。

日本、全員守備の超消極的サッカー

なんとも“イタイ”試合だった。日本は超守備的な戦術を90分持続させた。攻撃陣形は、本田がワントップ、Rsに小林、Lsに原口が入り、Oh(トップ下)に香川。ところが、彼らが終始、前線から徹底して守備に励んだ。Ohの香川が日本のゴール付近で相手攻撃陣の守備を務めるとは・・・おどろきの光景だった。

先制点はそんな日本が奪った。オーストラリアの右サイドが手薄になった瞬間をついて、日本のパス交換がうまく運び、原口がゴールを決めた。だが、日本の攻撃はこの場面のみといっていいくらい。先制点でヒーローとなるべき原口だったが、相手ボックス内でファウルを犯してPKを献上してしまう。原口については後述する。

 
できのわるいオーストラリア

さて、オーストラリア――前評判は高かったが、この試合のできは悪かった。前線から守備をする日本の攻撃陣に戸惑ったのかどうかしらないが、攻撃が単調。自陣に引きこもってブロックをつくる日本に対して、ボールを回してから、日本DFの背後を狙うパスか、あるいは、日本のブロックの直前に供給する速いパスでゴールに迫ろうかというもの。こうした時間帯がほぼ90分続いたのだから、緊張感のまるでない試合だった。

日本、10月のノルマ勝点4を確保

繰り返しになるが、拙Blogにおいて、今月のイラク戦(H)、オーストラリア戦(A)において日本が勝点4を上げられなければ代表監督更迭が望ましいと書いた。その結果として、ハリルホジッチ監督は合格点(勝点4)を死守した。アジア王者に対してアウエーで引分ならまずまずとなれば、ハリルホジッチの進退問題は進展しないのだろうか。

南アフリカからこの試合まで、日本は何をしてきたのか

それにしても、こんな消極的な日本代表の姿は、2010年W杯南アフリカ大会以来、久々だ。いまから6年前、発展途上の岡田ジャパン、世界の強豪がひしめくW杯本戦なのだから、なりふりかまわぬ岡田の消極策も許された。予選突破という結果も出した。しかし、その守備的戦いぶりの反省のうえ、ブラジル大会(2014)では攻撃的サッカーの完成を目指して、ザッケローニを招聘し(結果は惨敗)、そして、ロシア大会(2018)では、さらなる進化を遂げようとこの予選に臨んだはず。にもかかわらず、なんと、南アフリカに回帰してしまうとなれば、いったいぜんたい、この間、日本代表はどんな強化策を講じてきたのかが問われて当然だ。よしんば、アジア予選を突破してロシアに行ったとしても、結果については望めまい。

ハリル監督、試合のコンセプトと選手起用が極めてミスマッチ

そればかりではない。ハリルホジッチ監督の選手起用、采配、選手交代もわけがわからない。第一に、トップ下の香川を守備に使ってどうする。第二に、日本の「エース」と呼ばれる本田がまったくだめ。慣れないワントップだからという言い訳も通じない。「一対一」で簡単にボールを奪われるし、90分間、走れない。コンディション、試合勘、フィジカル面で本田は代表選手というより、サッカー選手として危機にある。このことも繰り返しになるが、ワントップが必要ならば、ワントップとして実戦で鍛えられた選手を代表に選ぶべきなのだ。

第三に、日本は右サイドの小林、右SBの槙野が2人で相手左サイドからの攻撃を封じる作戦に出た。この形がはまって、オーストラリアは得意の形を活かせなかった。もちろんその代償として、日本の攻撃も左サイドからに限定され、攻撃の選択肢が狭まった。結果、調子の悪いオーストラリに勝ち切れなかった。予選終了時、日本の勝点が足らなくなったとき、この試合の臆病な展開を後悔しても遅い。

原口が自身の思考、態度を改めない限り、日本の新たなリスクに

PKを与えた原口に苦言を呈しておく。原口のPKには伏線があった。PKの前、原口はタッチライン沿いでオーストラリア選手を押したプレーでファウルを取られたのだが、彼はそれに対して執拗に主審に抗議した。彼は正当なショルダーチャージだと主張しているようにTV画面からはうかがえた。ところがリプレーをみると、原口は上腕(肘とその先)をつかって相手を押しのけていた。主審は原口の抗議に対してイエローは出さなかったが、心証を害したことは確か。しかも、原口の抗議の表情は険しく、主審の技量のなさを軽蔑するようにさえみえた。おそらく、主審は原口が同じプレーを繰り返し、再び抗議をしたらイエローをだす腹積もりだっただろう。そして、原口は同じようなファウルをボックス内で犯した。主審にためらいはなかったはず。原口が前のプレーで何事もなかったようにファウルに従っていれば、PKはなかったかもしれない。

原口は最終予選、3試合連続得点をあげ、日本のポイントゲッターになったのだが、この試合ではゴールを帳消しにするPK献上だ。彼は90分間よく走り続け、決定力もある。だが、彼はハリルホジッチが口にするデュエル(決闘)の意味をはき違えている。闘志あふれるプレーと反則プレーはちがう。本当のデュエルは相手を潰さなければいけないものだが、サッカーはルールの下、体力、技術で相手に勝つスポーツだ。ルールを守らなければ罰がある。守備の基本をおろそかにしてはいけない。さらにいえば、審判の心証を汲む度量がなければ、一流選手にはなれない。

そもそも原口は態度に問題を抱える選手。Jリーグ時代、監督の交代にあからさまに抗議を示した“実績”もある。性格に問題がある選手なのだ。彼が今後、自身の思考、態度を改めないかぎり、彼の存在が日本代表にとって新たなリスクとなる可能性もある。

11月、ホームのサウジアラビア戦の日本代表監督はだれか

B組はサウジアラビアがUAEを破り、首位に立った(2位オーストラリア、3位日本、4位UAE)。しかも、日本を苦しめたUAEに3-0の圧勝だ。サウジアラビアをホームで迎える11月、この試合で日本が勝点3を上げられないと、同組3位で終わってしまう可能性が高まる。この試合をハリルホジッチで迎えるのか、その前に協会(JFA)が大鉈を振るうのか・・・今回の予選は楽しみが多い(笑)