2016年10月16日日曜日

日本プロ野球2016シーズン総括(セリーグ)

日本プロ野球(NPB)はセリーグのポストシーズンが終了。広島がDeNAをくだして、日本シリーズ進出を決めた。

セの順位は筆者の予想をはるかに超えた結果に

セの2016シーズンの順位等を総括しておこう。

(1)広島、(2)読売、(3)DeNA、(4)ヤクルト、(5)阪神、(6)中日

優勝した広島と2位読売のゲーム差はなんと17.5。広島の独走、圧勝のシーズンであった。

筆者の開幕前の予想は、(1)読売、(2)ヤクルト、(3)阪神、(4)広島、(5)DeNA、(6)中日であったから、最下位の中日だけが当たっただけ。しかも、筆者は読売が断トツで1位と予想したのだから話にならない。

繰り返して書くが、筆者が読売独走を予想した根拠は、▽他の5球団が戦力を落としたこと、▽原が監督を辞め、新しい指揮官が任命されたこと、▽投打とも、圧倒的な戦力を維持していたこと――であった。2016シーズンの覇者広島であるが、エースの前田健太(マエケン)がMLBに移籍。昨年の覇者ヤクルトもクローザーのバーネットが退団。阪神はクローザーのオスンファン、強打者マートンが退団。読売のライバルたちがことごとく戦力をダウンしたと思われた。

しかも筆者の見立てでは、DeNA、中日は選手層が薄く、戦力的にみて下位に沈むはずだった。つまり、読売が維持している分厚い選手層が機能すれば、相対的に読売が独走すると考えたのだ。ところが、DeNAが3位に進出し、しかも、読売をポストシーズンでくだし、ファイナルに進出してしまった。これも予想外。

読売の敗因を探る

(一)打撃は昨年を上回る成績

読売のチーム成績をみてみよう。個人部門では、坂本が首位打者、投手では菅野が防御率トップ、澤村がセーブ数トップ、マシソンがホールドポイントでトップ。投打の個人成績のうち、4部門を読売の選手が取った。

打撃成績はチーム打率251でリーグ3位。昨年が243で最下位だったから、打撃は好調だったといえる。個人成績を見ると、打率(規定打数以上)では、坂本344(269)、村田302(236)、長野283(251)、規定打数以下では、阿部310(242)、亀井252(272)、橋本233(219)、立岡229(304)・・・【※(  )内は2015シーズン成績】となっていて、主軸の阿部、村田、坂本、長野が昨シーズンの成績を大きく上回った。昨年活躍した立岡が故障で試合に出られなかったというマイナス面はあるが、読売の主軸は、昨シーズンを上回る成績を残したのである。

(二)投手陣は悪化

チーム防御率を比較すると、昨年が2.78の1位。今年は3.45と下降してリーグ3位に終わった。個人成績では、先発投手陣の内海が9勝6敗、防御率3.94(2勝1敗、防御率5.01)、大竹6-6、3.55(3-4、3.21)、高木勇5-9、4.31(9-10、3.19)、ポレタ1-3、4.00(8-8、2.94)、マイコラス4-2、2.45(13-3、1.92)、菅野9-6、2.01(10-11、1.91)、田口10-10、2.72(3-5、2.71)。

リリーフ陣はマシソンが70試合登板、49ホールドポイント、防御率2.36、(63試合登板、31ホールドポイント、防御率2.62)、山口が63、20、4.88(60、33、2.73)、澤村が63、37セーブ、防御率2.66(60登板、36セーブ、防御率1.32)であった。

先発陣では外国人のマイコラス、ポレタ及び高木勇の3投手が戦力として機能しなかった。田口が成長したが、彼だけでは3投手の穴は埋められない。内海、大竹のベテランは成績を上げた。筆者は内海「限界説」を唱えていただけに、意外な結果であった。読売投手陣の問題点は、勝利の方程式の一角、山口の不調。ホールドポイントも下がったが、防御率が大きく悪化した。澤村も同様に防御率が悪化した。しかも、澤村は大事な試合におけるセーブ失敗が顕著で、読売が躍進できなかった最大の要因の一つだろう。

読売を圧倒した広島の投打

しかし、読売がペナントを制せなかった主因は、読売の内在的要因というよりも、それをはるかに上回った広島の戦力の充実に求められる。

前出のとおり、筆者のシーズン前予想としては、エース前田の移籍により、広島が戦力ダウンしたと考えた。つまり広島の若手投手陣及び打撃陣の成長の芽を発見することに失敗した。広島の若手の急成長を予想できなかった。今シーズンの結果は、広島の各選手の成長の反映であって、それ以外にない。

読売がFA制度に依拠した補強をすれば、読売の未来は閉ざされる。読売の若手・中堅の奮起が期待される。