2016年10月6日木曜日
今月2試合勝ち点4以下ならハリル解任
明日(6日)、W杯ロシア大会最終予選イラク戦を前にして、日本のマスメディアはサッカー日本代表に対する報道姿勢を転換したようだ。ハリルホジッチ監督解任論、海外組批判、国内組不安・・・と、ロシア大会出場は絶望的なような論調になってきた。いままで、本田だ、香川だ、岡崎だ、清武だ――と騒いでいたメディアが、ようやく彼らの力量に疑問を持ち始めたのだ。この転換について筆者は「良い傾向」だと考える。遅きに失した感はあるが、海外組の実態を日本のメディアがようやく理解するようになったからだ。筆者はすでにそのことを力説しておいた。
結論をいえば、ホームのイラク戦、アウエーのオーストラリア戦で勝ち点4以下ならば、日本はロシアに行けない可能性が高く、もちろん、ハリルホジッチを解任すべきだ。年内(11月)のサウジアラビア戦を基点として、2017年からの予選後半を新監督に託したほうが日本サッカー界にとって、悪くない経験を積むことになる。
日本のマスメディアの危機報道の内実
日本のマスメディアの危機論の要旨は、第一に、「海外組」が試合に出場していないこと、第二に、それに代わる新戦力(Jリーグ選手)の台頭がないこと、第三に、ハリルホジッチの戦術が選手に浸透していないこと――等となろう。ハリルホジッチがこれまで新戦力を試してこなかった、と批判する声も圧倒的に多い。
あれあれ、これまで「海外組」を称賛し、W杯優勝も夢ではないかのように日本代表への賛辞を書きまくっていたのはどこのだれだったっけ――といいたくもなる。日本のメディアに自己検証、反省、内省、自己批判を求めても無駄だから、これ以上の批判はやめる。この期に及んで、日本のメディアを非難しても、日本代表が強くなるはずもない。
2017年に向けて「代表再構築」必要
いまさらながらの危機であるが、これを打開する道はあるのか、もはや手遅れなのか――もちろん、今月(10月)の2試合及び11月の1試合(予選前半)に限れば手遅れだけれど、それ以降(2017年3月以降の5試合の予選後半)に向けてならば、新生日本代表をつくりあげる時間はある。監督が新戦力として、広く人材を求める気があるのならば、という条件付きではあるが。
それ以外の条件としては、アジア予選を勝ち切る戦術を探求するという謙虚な姿勢を示すこと。換言すれば、対戦相手によって戦い方を変えること。日本はこれまで「自分たちのサッカー」をすれば勝てると妄信してきた。とりわけアジア相手ならば、自由自在に攻撃サッカーで勝ち切れると、自分たちの力を過信してきた。
ハリルホジッチは、速攻を旨として代表選手を選考してきたのだが、UAE戦、タイ戦では、その方針が戦い方に反映されていない。むしろ、そのことにより、日本が中盤でミスを多発し、相手に攻められる場面も散見した。つまり、ハリルの指針がマイナスに作用していた。
日本がアジア予選を勝ち抜くには、むしろボールポゼッションを高め、相手にボールを簡単に渡さない攻撃を選択するほうがいい。あるいは、相手DFの陣容次第では、サイドから高いボールを使って、(CFの頭に)合わせる攻撃があってもいい。
戦術の幅を広げて、選手選考を見直せば、停滞した現状を打開できる。ハリルホジッチの選手選考基準は、速い攻撃ができる出場機会のない「海外組」と、彼らより実力が劣る「国内組」の混成部隊という構成に限定されてしまった。その結果、同タイプの選手ばかりが招集され、攻撃が単純で相手に読まれがちであった。戦術転換を伴わない、海外組か国内組かという不毛な択一は、現状を打開しない。
アジアで勝つには、高いCFの存在が重要なのである。かつ、それにむけて、海外で試合に出場していながら、代表に招集されない選手に目を向ける必要も出てくる。
これまでハリルホジッチは海外視察と称して、しばしば日本を離れているのだが、結果として、彼の視察は結果に反映されていない。TVの仕事を兼ねたり、バカンスを楽しんでいたりではなかったのか。そんな視点からしても、今月の2試合を最後にハリルホジッチの監督更迭は必至だろう。