2強(日ハム、ソフトバンク)4弱(ロッテ、西武、楽天、オリックス)は的中
遅まきながら、パリーグの総括をしておこう。シーズン前の筆者の予想は以下のとおり。
(1)ソフトバンク、(2)日本ハム、(3)西武、(4)ロッテ、(5)楽天、(6)オリックス
実際は、
(1)日本ハム、(2)ソフトバンク、(3)ロッテ、(4)西武、(5)楽天、(6)オリックス
であった。
「ソフトバンク、日ハムの2強、4弱」と予想していたので、かすらなかったわけではない。しかも下位の楽天、オリックスは当たっている。セリーグの予想よりはましな結果だった。
パリーグについては、筆者の予想云々よりも、日ハム、ソフトバンクの2強状態がしばらく続きそうな気配が濃厚で、とても気になっている。とりわけ、西武、楽天、オリックスは来シーズン以降、ブレークする要素が見当たらない。球団経営に本気で取り組まないと、パリーグはこの先、人気凋落傾向に陥る可能性が高い。
地域活性化手段としてのプロ球団経営
日本シリーズは日本ハムが広島を4勝2敗で退け、日本一に輝いた。広島(ホーム)は初戦、日ハムのエース大谷翔平を叩いて先勝、第2試合もものにしたが、札幌で失速して3連敗。悪い流れはホームに戻っても断ち切れず、日ハムに押し切られた。
熱戦、接戦と評価の高かったシリーズであったが、筆者の見方としては、バッテリーエラー、守備エラー、サインの見落とし等、ミスの目立ったレベルの低い内容に終始した。
ただ、ホームの利が鮮明となったシリーズで、その点は評価したい。これまでの読売一辺倒のNPBの風景が急激に変容していることが見て取れた。審判の判定に「ホームの利」が露骨にあらわれたのも、特徴ではないか。
NPBが地域密着化し、MLBに近い形態になりつつある。地域経済活性化が期待できるわけだから、地場産業、地域財界などが球団経営に興味をもてば、この先、NPBの球団増が期待できる。これまでの12球団から16~20球団になれば、ポストシーズンのあり方も変わる。NPBが読売の販路拡大ツールから、地域に根付いたスポーツ文化として発展する道筋が見えてきた。
広島の敗因は緒方監督の力量不足
シリーズを決めたのは、栗山と緒方に係る監督の力量の差だった。栗山が短期決戦で即断即決して結果を出したのに対し、緒方はペナントレースの形に固執して失敗した。現在行われているMLBのワールドシリーズを見ている人はわかることだが、投手起用においては、先発を中3日で登板させたり、クローザー(チャップマン)を中抑えに起用したりと、指揮官は変幻自在の策を講じている。
第6戦、ホーム広島は、セットアッパー(SU)に不調のジャクソンを投入して失敗した。野球評論家の張本氏が指摘したように、あの場面は黒田博樹で行くべきだった。筆者は黒田もしくは中崎翔太でもよかった。中崎をSUで起用し広島リードで9回表を迎えられたならば、クローザーはもちろん黒田だ。黒田が打たれて広島の日本シリーズ敗退が決まっても、ファン、選手は納得する。勝てば、第7戦に総力全力を上げればいい。短期決戦とはそういうものだ。
3戦目以降、緒方に焦りが出た。バント失敗、盗塁失敗という最悪のパターンを繰り返した。広島(緒方)の積極走塁作戦はリスクが高い。2戦目、無謀な本塁突入はチャレンジでアウトからセーフに判定が覆ったが、無謀な走塁であることに変わりない。この「成功」で調子に乗りすぎた感がある。とにかく、野球では簡単に相手に「アウト」を与えてはいけない。