2018年7月18日水曜日

フランス、主審からの2点プレゼントでW杯優勝

2018・FIFAW杯ロシア大会は、フランスの優勝で幕を閉じた。決勝のクロアチア戦は、結果から見れば4-2という打ち合いのような点差であったが、スペクタクル性に乏しく、見ごたえの少ない内容だった。クロアチアを応援していた筆者からすると、主審に対する不信感が時間ごとに募るとともに苛立ちばかりが増した。

クロアチアに不利な判定が二度も

フランスの先制点(18分)は、クロアチアのファウルで得たFKからだった。まず、このファウルの判定が納得いかない。あの程度の接触プレーでファウルというのはおかしい。しかも運の悪いことに、FKをクリアしようとしたクロアチアのマンジュキッチュがオウンゴールしてしまい、フランスに1点を献上してしまった。なんとも後味が悪い。それまではクロアチアが主導権をとった時間帯だっただけに、よけいにこのファウルの判定には納得がいかない。

それでもクロアチアは巻き返しを狙って、冷静に着実に失点挽回に向けて稼働していた。このあたり、本大会のクロアチアの強さの象徴ともいえる時間帯が続いた。28分、クロアチアのベリシッチがゴールを決めて同点。クロアチアが互角に持ち込み、ペースをつかみ始めた。

ところが38分、クロアチアのペナルティーエリア(PA)内の混戦でクロアチアのペルシッチにハンドあったと、フランス選手が主審に猛抗議。主審はハンドのジャッジをしていなかったのだが…ここでVAR判定。結果、主審はハンドを認め、PKでフランスが再びリードを奪う。この判定もおかしい。普通、PA内のハンドならばレッドカードが出るだろうが、主審はペルシッチにイエローすら出さなかった。この状況で主審がもっとも冷静さを欠いていた証左となろう。

クロアチアの反攻を二度も削いだ主審

ここまでくるとこの主審の判定に法則性があることに気づく。つまり、クロアチアがペースをつかむとフランスに有利な判定がくだるということ。クロアチアがアクセルを踏むと主審がブレーキをかけクロアチアがノッキングを起こす。後半、クロアチアがペースをつかみかけた50分すぎに観客の中の反プーチン派の乱入者もあり、ペースを乱した。そしてフランスが2点を加点して勝負を決めた(クロアチアも1点を返すが焼け石に水の感)。粘りのクロアチアも力尽きた。

最も大事な試合に相応しくない主審を起用したFIFA

ポイントは前半のフランスの2点だろう。いずれも主審の不可解なジャッジがもたらしたものだ。フランスから見れば主審からのプレゼントであり、クロアチアから見れば主審の禍による2失点だ。筆者には、このていどの審判が決勝の笛を吹くことになったのか――その過程がわからない。

繰り返すが、この主審は試合の結節点でフランス寄りのジャッジをした。しかも2度目はVARだった。自身が認めなかったハンドをビデオで覆したことが、自身の審判技術と品格の欠如を世界中に知らしめてしまった。もっとましな審判が複数いたと思うのだが。

魅力に欠けるフランスのリアクション・サッカー

この試合にはスペクタクル性が乏しい、と前に書いたが、その事由はフランスの前半の2点が主審によってプレゼントされたからだけではない。フランスの試合運びが王者らしからぬものだからだ。よくいえば堅守、悪くいえばリアクション・サッカー。短期戦のW杯にはかなった戦い方だが、見ている者にはおもしろみに欠ける。

結局のところ、準決勝でフランスがベルギーに勝ったところで優勝は決まった感があった。結果はともかく、筆者にとってロシア大会のナンバーワン・チームはベルギー、次がクロアチア、そしてフランスがナンバースリーという位置づけになる。

3位決定戦はベルギーが順当勝利

決勝の前日に行われた3位決定戦はベルギーがイングランドをくだした。罰ゲームともいわれる3位決定戦だが、ベルギーの3位については、だれからも文句は出まい。前出のとおり、優勝者フランスよりもベルギーのほうが王者に相応しいサッカーをした。世界に誇るタレント軍団であることを証明した。

ティキタカの終焉

本大会でベルギーが代表してみせたサッカースタイルが、今後のトレンドとなっていく。オシムはロシア大会について「ティキタカ(Tiki-taka、tiquitaca)の終わり」と評したそうだが、まったく同感だ。南アフリカ大会優勝を頂点としたスペイン(バルセロナ)のポゼッション・サッカー、パス・サッカーが後退し、フィジカル重視のサッカーが本筋となった。

日本代表についてのまとめ

(一)本田圭佑の就職活動は不発か

最後に日本代表についての蛇足(をつけ加えておく)。まず、本田圭佑の今後について。ロシア大会を通じての彼の就職活動は、残念ながらうまくいかなかったように思える。18-19シーズン、本田にオファーを出す欧州のクラブは少ないのではないだろうか。というよりも、昨シーズン(本田はメキシコ入り)においてすら、イングランド、イタリア、スペイン、ドイツのどのクラブからも彼はオファーを受けなかった、と筆者は想像している。その下のオランダ、ベルギー、オーストリア、スイス、トルコ、スコットランド…あたりからはどうだったか不明だが、本田が納得する金額でのオファーはなかった、と推測する。マーケッティング主導でアメリカ(MLS)、オーストラリア(AL)、日本(JL)あたりからは、あったと思うのだが…本大会で巻き返しを図るつもりの本田だったが、不発により、彼の現役生活が終わる可能性もある。

(二)株を上げた香川、柴崎、乾

日本代表のなかではMF香川、MF柴崎、MF乾が大いに株を上げた。DF酒井宏、DF長友、DF吉田麻、DF昌子、MF長谷部、MF原口、FW大迫が現状の地位の維持もしくはやや上昇を果たした。反対に、GK川島、MF宇佐美、MF武藤、MF本田、FW岡崎は評価を下げた。MF大島、MF遠藤、DF植田、DF槙野及びGK二人(以上不出場)並びにDF酒井高については、評価に値しなかった。

試合中に乱入した反プーチン派(警官のコスプレが笑える)