2018年7月12日木曜日

異次元の戦い―決勝はフランスVsクロアチア

W杯ロシア大会準決勝が終わり、決勝はフランスとクロアチアの一戦となる。フランスはベルギーを、クロアチアはイングランドを下しての決勝進出だ。準決勝2試合の試合経過や批評・批判はない。この段階の戦いはギリギリのものだから、勝因・敗因・戦術等を云々してもはじまらない。大げさないい方だが、人間の限界、もしくはその対極の極限を超えた能力発揮とかの表現が相応しい。

日本人からすると、準決勝2試合は、まさに異次元のサッカーだ。2メートル近い大型選手が90分間いや120分間走りまくる。肉弾相打つデュエルでのボールの奪い合い。スピード、スタミナ、いわゆるフィジカルの強さが最低限の試合出場の資格となっている。フィジカルの弱い選手は試合に出られない。一方、クロアチアのモドリッチのように日本人と変わらない体格の選手がプレーメーカーとしてゲームをコントロールしつつ、守備・攻撃の基点となって活躍する。世界のサッカーの現在がここにあるという感じだ。

日本代表が4年後、W杯カタール大会に出られるのかそうでないのかはわからない。だが、いまのレベルの延長線上で日本サッカーをイメージしていたのではベスト16は難しい。とにかくフィジカル強化を図らなければ世界から遅れる。W杯開催直前に更迭されたハリルホジッチが常々口にしていた「縦に速い攻撃」があたりまえだったことを目の当たりにした。皮肉なもので、ロシア大会の一次リーグから準決勝までのおよそ全試合、ハリルホジッチの指針に則った試合ばかりを見せられた。スペインの凋落は、ポゼッション・サッカー、パス・サッカーの終焉の証明にほかならない。メッシやCロナウドのようなスーパースター頼りでは、決勝トーナメントで勝ち上れない。全員守備、全員攻撃の現代サッカー、まさに、フィジカル・サッカー全盛の時代の到来だ。

ロシア大会において日本がベスト16入りしたことは忘れたほうがいい。初戦のコロンビア戦の勝利は「カミカゼ」が吹いたのだから。前出のとおり、日本もハリルホジッチが目指していた世界標準に軌道を戻し、フィジカルの強い日本代表につくりかえをしてほしいが、さて、現在の日本のサッカー界に4年後に世界を相手に闘える素材がいるのだろうか。高さがあって俊敏なGK、高く強いCB、長友、酒井宏に代わるSB、強力なワントップ、香川に代わるトップ下、ロシアでブレークした左サイドの乾の4年後は34歳。右サイドの原口も4年後は走れないだろうし…ロシア大会の後の日本代表の風景は、焼野原という表現がぴったりなのが悲しい。