2024年3月26日火曜日

NPB2024シーズン順位予想

 


 *2024/03/26、読売ジャイアンツのオドーア選手が急遽、契約解除。
 *よって、内容を訂正した。 

 いよいよNPBの開幕である。まずは恒例の順位予想から。

(1)セリーグ順位予想 

 1.阪神、2. 広島、3. 読売、4.ヤクルト、5.DeNA、6.中日 

 大雑把なランクづけとして、阪神がA、広島・読売 がB+、ヤクルトがB-、DeNA・中日がCである。 

 昨年日本一に輝いた阪神だが、オープン戦の成績は良くない。岡田監督を筆頭に気の緩みならば二連覇は難しかろうが、安定した投手力、中心選手の退団もなく、投打を総合した戦力は揺るがない。広島は西川龍馬が退団したが、発展途上の選手が多いので、攻撃陣の戦力については、昨年と同等だろう。先発投手陣が弱いので優勝はない。読売は熱心な補強を試みたが、新戦力は未知数。先発投手陣が安定しているので、昨年よりは順位を上げる。なお、読売については後述する。

 ヤクルトは昨年とほぼ同じ陣容。オスナ、サンタナは昨年より成績を落とす。DeNAはバウアー、今永昇太 の先発二本柱が抜けた。中日はベテランの補強で戦力アップを狙ったが、攻撃陣の柱が見当たらない。中田翔がどのくらい試合に出られるのか。いまの体型ならば、シーズン途中で故障する可能性が高い。 


(2)パリーグ順位予想 

 1.オリックス、 2. ソフトバンク、3. 楽天、4. ロッテ、 5. 西武、6. 日ハム 

 オリックス・ソフトバンクがランクA、楽天・ロッテ・西武がランクB、日ハムがランクCとなろう。 

 優勝争いはオリックスとソフトバンクの2球団に絞られる。どちらが優勝してもおかしくない。エース山本由伸が抜けたオリックスだが、生きのいい豊富な投手陣を擁するので、その穴は埋まる。この2チームの差は小さく、どちらが優勝してもおかしくないが、チームのバランスという観点において前者が後者を上まわるとみた。

 評価しにくいのがロッテ。スター選手不在で派手さがないが、クライマックス・シリーズ(CS)の常連である。楽天とロッテのどちらを3位にするかは非常に難しい選択である。 西武は山川穂高が抜けたその穴が埋まらないままだ。日ハムは一昨年が勝率.421、昨年が同.423と厳しい数字に終わっている。成長を見せている選手がいないわけではないが、チーム全体のパワーがいかにも不足している。

(3)読売「巨人軍」を考える 

 読売は主力選手の退団がなく、大幅な戦力補強をしたおかげで、昨年よりは戦力がアップしている。監督が阿部慎之助に替わり、新生「巨人」となるのか、興味深い。

(投手陣) 

 先発候補6人の名前(戸郷翔征、山崎伊織、グリフィン、メンデス、菅野智之、赤星優志)がスラスラ出てくるくらいだ。この先発陣はかなり強力である。 

 彼ら6人を除いて投手陣全体を見とおすと―― 

 ・新加入=【ケラー(阪神)、馬場皐輔(阪神)、高橋礼(ソフトバンク)、近藤大亮(オリックス)に即戦力の新人・西舘勇陽(中大)】

 ・既存戦力=【船迫大雅、バルドナード、中川皓太 、高梨雄平】、

 ・成長期待=【直江大輔、松井颯、菊池大稀、堀田賢慎、井上温大、横川凱、田中千晴、平内龍太】 

 ・復活もしくは停滞=【*大勢、高橋優貴、大江竜聖、今村信貴】 

 と多彩だ。(*大勢については、阿部監督がクローザーに指名した、という報道もあるので、既存戦力に変更してもいいが、復活するかどうかの判断を保留する。) 

 その中から先発予備としては、高橋礼、井上、平内あたりか。ブルペンについては、投手陣のベンチ登録数は概ね8(うち先発1)だから、7投手がリリーフ役となる。変則の高橋礼が先発という声もあるので、彼を除くと、勝ちパターンは、7回中川→8回バルドナード→9回大勢がほぼ固定。残り4枠がケラー、松井、西舘、菊池(高橋礼)か。田中千の調子が分からないのでベンチ外とした。 

 なお、トレード等による新加入選手はいわば、前の所属球団では余剰戦力と評価された者である。環境が変わって大化けする選手がいないとは言えないが、前年から始まった現役ドラフト制度で活躍したのは大竹耕太郎(ソフトバンク→阪神)、細川成也(DeNA→中日)の2選手にとどまった。確率からいえば2/12(17%) 、読売の移籍組のうち1選手が戦力になるか、ならないか、ということになる。

(野手陣) 

 野手新人の佐々木俊輔、泉口友太に注目が集まっている。とりわけ佐々木はオープン戦で打率4割超えの大活躍をした。走攻守そろった一番打者として期待されている。

 さて読売の外野陣は、ベテラン組(丸佳浩、長野久義、梶谷隆幸)、中堅組(オコエ瑠偉、重信慎之介、松原聖弥、オドーア)、若手組(萩尾匡也、岡田悠希、佐々木、浅野翔吾、*秋広優人)と分けられる。先発は3人だから、3/12すなわち残り9選手は控えか2軍落ちである。開幕先発は相手がサイドの青柳だから、丸(LF)、オドーア(RF)、梶谷、佐々木(CF)だろう。秋広は二軍に落ちたのでおそらく先発はない。(*秋広は内野手登録)

 内野は岡本和真(1B)、吉川尚輝(2B)、坂本勇人(3B)、門脇誠(SS)は不変だろうが、彼らの内の一人が故障欠場した場合、即座に非情事態に陥る。控えとしては、湯浅大、増田大輝、泉口、中山礼都、菊田拡和、増田陸。彼らとレギュラーとの力の差が大きすぎる。秋広は1Bしか守れない。日ハムから急遽トレードで獲得した郡拓也は才能あるユーティリティープレーヤーだが、打撃は期待できない。

 開幕戦先発オーダーは、相手先発投手=青柳晃洋(阪神)と確定しているので、左打者が優先される。

1.佐々木(CF) 

2.門脇(SS) 

3.坂本(3B) 

4.岡本(1B) 

5.丸(LF) 

6.大城(C) 

7.オドーア 梶谷(RB) 

8.吉川(2B) 

9.戸郷(P)


(阿部野球とは) 

 阿部新監督の野球はどうなるのか。筆者の感覚では阿部の現役時代のプレースタイルとは正反対の野球を目指そうとしているように感じる。攻撃面ではスピード重視の細かい野球、守備面では投手力に重きをおいた、要は1点を取り、1点を守りにいく、野球となるだろう。現役時代の阿部は捕手というポジションゆえに、どっしりと構えた強打長打の非凡な打者だった。その一方で、自身にない才能への憧憬の念もあるような気がする。一発ホームランではなく、ダイヤモンドを駆けまわるようなスピード感のあるアスリート・タイプに対する憧れであって、それは内外野手を問わない。それが彼の理想の野球ではないか。

 ところが、理想と現実を実態に即してみてみると、相当な開きがある。阿部は、佐々木、門脇、吉川、松原、重信といったスピードスターに期待をかけるが、彼らが必ずしも良い成績を残せるとは限らない。オープン戦と一軍公式戦では相手の本気度が違うし、分析・研究もされる。彼らが挫折したとき、丸、長野、梶谷といったベテラン勢の力を必要とする。阿部の理想とする野球と現実の乖離がはじまる。 

 今シーズンは球団創設90周年という節目にあたる。リーグ優勝が最低限のノルマとなろう。スピード派の若手が壁にぶち当たったとき、阿部の理想は崩壊し、昨シーズンと変わらない野球に戻ってしまう可能性が残る。いわゆる「原野球」への復帰である。阿部の理想が崩れた時、彼のメモリーに残っているのは、ノーアウト1、2塁でクリーンアップに犠牲バンドのサインを出したり、ブルペンの状況を無視して先発を早々に後退させるような「焦り」の野球、すなわち「原野球」となる。 

 筆者の予想では、オープン戦で躍動した攻撃陣の新戦力は、本戦では不発となるような気がする。新人佐々木も序盤で壁にぶつかる可能性が高い。門脇は昨年より成績を落とすだろう。けっきょくのところ、岡本、大城、坂本に、丸、長野、梶谷を加えた打線にもどる。オドーアが日本野球に早期に順応すれば、打線は昨シーズンのレベルを維持するだろう。投手陣は昨年より安定しているので、Bクラス落ちはない。 〔完〕