2010年9月30日木曜日

尖閣は日本領土、だから検察判断しかないではないか

東シナ海の尖閣諸島沖で中国漁船と石垣海上保安部(沖縄県石垣市)の巡視船が衝突した事件で、那覇地検は24日、同保安部が公務執行妨害の疑いで逮捕した中国人船長、せん其雄(せん・きゆう、せんは憺のつくり)容疑者(41)を処分保留のまま釈放した。

同地検の鈴木亨次席検事は24日の記者会見で、巡視船側の被害が軽微だったことなどに加え「わが国国民への影響と今後の日中関係を考慮すると、これ以上、身柄の拘束を継続して捜査を続けることは相当でないと判断した」と説明した。

このような検察の措置について、日本国内の一部「民族主義者」(自民党及び与党の一部を含む)が政府批判を繰り返している。愚かである。彼らの批判内容は、「政府」が中国側の圧力に屈して、中国人船長を釈放したにもかかわらず、その判断・結果責任を検察に委ね、官邸、外務省はこの事案から逃げ、応対しなかったことを指摘しているようだ。検察に下駄を預けた、と。

日本と中国の関係を考慮すれば、中国人船長を釈放する以外の選択肢はない。しかし、釈放の判断について、官邸・外務省が関与したことが明らかになれば、尖閣に係る領土問題が日中間に存在することを政府が認めたことになってしまうのである。

日本は中国人船長を国内法で逮捕した。このことは、尖閣に日本の法律が施行されていること=尖閣が日本の領土であること、の主張である。ところが、それを認めない中国側が、日本政府に政治的(不当な)圧力をかけてきた。そのことの延長線上に起る最悪の事態は、日中間の武力衝突である。しかし、そのような事態はなんとしても回避しなければならない。

日本政府の筋論は、日本の国内法をあくまでも尖閣で実現することである。政府の介入があったかどうかというのは、ナイーブ(うぶ)な議論である。国内法の番人は検察であって、首相、外務大臣・・・ではないのだから。

繰り返すが、釈放は、「検察の判断」以外ない。 中国人船長の釈放に、首相や官房長官の介入がありました、なんて馬鹿なことをどうして、中国側に示す必要があるのだろうか。政府介入を公的に認めれば、尖閣に領土問題が存在することを日本政府が認めたことになる。それは絶対に避けたい。

尖閣という日本の領土で起った犯罪は、日本の法律で裁く。中国人船長の処分保留→釈放は、あくまでも、国内法の執行機関である検察の判断で決定されるのであって、首相や外相が関与するべき事項ではない。そんな当たり前のことが、どうして、国会で議論になるのであろうか。自民党の某議員は、「政府」の検察介入を認めろと、国会で繰り返し迫っている。愚かな日本の「民族主義者」のほうが、中国を結果的に利そうとしている。質問に立った自民党の議員は、議員である資格がない。