2014年4月11日金曜日

小保方劇場の閉幕――会見で論文不正がより明確に

小保方問題を楽しんだ国民

STAP細胞の論文が不正と認定された問題で、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー(30)が9日に大阪市内で記者会見した。この問題についてはずいぶんと楽しませてもらった。小保方の不正はもちろん、理研のいい加減さ、研究機関としてふさわしくない実態が暴露され、そのことも人々を楽しませた。小保方と男性上司との不倫報道まであって、“研究所というと固そうだが、なんだ、うちの会社と変わんないな”なんて面白がった人も多かったかもしれない。

だが、理研はエンターテインメント・コンテンツを国民に提供する機関ではない。税金で科学的研究を行い、研究成果をもって世に資することが求められている。だから、このたびの不祥事における理研の責任は追及されるべきだ。税金を返せ、こんなことやっているのなら廃止しろというのが重税にあえぐ国民の声だ。

筆者も理研小保方騒動を楽しんだ者の一人だが、今回をもってこの問題に関する発言を打ち止めにする。昨日(9日)の会見にサプライズはなく、小保方の強度の思い込み、はったり、願望、希望を再確認したからだ。小保方は人間性に著しく欠陥を抱えた、思い込みが激しく、善悪の判断及び倫理性に欠けた人格を有した者であることが明確になったからだ。その小保方は理研に未練たらたらで、会見内容は筆者の予想したとおりだった。

会見は異端審問のような様相

会見風景は、あたかも西欧中世の異端審問所審査の様相を呈していた。小保方はSTAP細胞作製の方法として、コツとレシピだという。中世の錬金術師か魔術師のようだ。科学の実験なのだからその方法も客観的に記述するべきだろうが。「私にしかできない」STAP細胞というのは、いったいなんなのだ。秘伝の味か?あるTV番組で、「小保方一人を魔女狩りにしてはならない」とコメントした知識人がいたが、小保方信者のお一人だろうか。小保方は「STAP細胞」をあやつる、現代の魔女ともいえるのだ。

さらに小保方は「STAP細胞は存在しま~す」と悲痛な叫びをあげた。この絶叫はガリレオが異端審問にかけられたときに発した「それでも地球は回っている」を自己に投影させたものか。自分は無知な宗教者(理研)によって理不尽な審判をくだされたけれど、ガリレオがそうであったように、真理は私にあるのよ、というつもりだったのか。

STAP細胞の存在の有無と論文不正は別の問題

小保方はSTAP現象の「真実性」を無媒介に訴えた。しかも以下のとおり、見え見えの虚言を吐いた。▽その作製には200回以上成功していること、▽複数の研究者がその存在を認めていること、▽別の研究者が再現実験に成功していること――を公言した。一方、論文の不正については故意(悪意)ではなく不注意によるミスだと強調した。つまり、不正については一切口をつぐみ、ことさら「STAP細胞」の発見と作製の成功を強調する戦術だ。小保方の「発見し製作したもの」については後述する藤沢数希のBlogの説明が筆者にはわかりやすい。

けっきょくのところ、小保方及びその弁護団は「STAP細胞」はあるぞ、だから、論文不正を見逃せ、見逃さなければ法廷闘争だぞ、と理研を暗に恫喝し、涙の小保方を見せメディアを味方にし、小保方にこの先も理研で研究活動を続けさせる戦術のようだ。

小保方の研究については、管見の限り前出の藤沢数希のBlogがきわめて的確で、純文系の筆者の参考となった。小保方は本人が言うとおり研究者として未熟で、思い込みが激しく、思い込みを論文にする過程で研究者としては信じられない不正を働いた。研究者としては技術的にも倫理的にも欠格だ。だから、この件に関しては、理研が理研の規程に基づき、粛々と小保方を処分することを要望する。再調査の必要もない。その結果、訴訟に至るのならば受けて立って、シロクロをつけてほしい。不正を見逃すような妥協だけは困る。

なお、小保方が主張する「STAP細胞」の発見と作製の真偽については、小保方側は国民の前に、STAP細胞研究に係るすべての研究ノートを提出すべきであろう。小保方は理研の調査では手元にあった2冊の実験ノートを調査委に渡しただけだ、といった。ならば入手可能なすべての実験ノートを提出すべきだ。いまからでも遅くない。また、小保方が言うSTAP細胞を確認した第三者の存在を公にし、その証言も公表すべきだ。もちろん、そのときの実験ノートの記載が裏付けとして必要だ。

理研を舞台とした小保方劇場はあの会見をもって閉幕した。STAP細胞は仮説であり、日本の科学界は、STAP細胞という仮説を証明する努力を続けることとおなじくらい、日本の科学史上最大・最悪の不正事件である小保方を許容しないよう、声を上げていただきたい。STAP細胞があるかないかわからないのだから、小保方はシロだという小保方弁護団及び日本のマスメディアの誘導を科学的見地から阻止してほしい。

この先、他の研究者がSTAP細胞の作製に成功したとしても、それは小保方の功績ではない。小保方の「STAP細胞」は、論文に不正があった時点で、アウトなのだ。このことを日本のマスメディアははっきりと報道してほしい。

成果の上がらない研究者を税金で雇用し続けることは不可能

若い研究者に研究機会を与えることは重要だ。だが、成果の上がらない研究者を長期間、税金で雇用し続けることはできない。それは研究者に限らない。ましてや研究不正を働いた研究者を税金が投入された研究機関が雇用し続けるのは、著しいモラルハザードに当たる。小保方弁護団と小保方擁護のメディアの連合軍の恫喝に、理研は屈してはならない。筆者は、理研については廃止・解体が筋だとは思っているし、理研の肩を持つ気にはならないが、理研はこと小保方の不正についてだけは妥協しないで闘い続けてほしい。“小保方、理研で研究続行”という、理研と小保方の談合に至らないことだけを祈っている。