またまたネットが、注目すべき研究論文に係る疑惑を指摘した。疑惑を指摘されたのは、なんと、人工多能性幹細胞(iPS細胞)の開発者でノーベル医学生理学賞を受賞した京都大の山中伸弥教授。山中が、2000年に欧州の専門誌に発表した論文の画像に不自然な加工した形跡があるという。
これを受けて山中教授が所長を務める京大iPS細胞研究所が調査したところ、山中教授の実験ノートなどから、実験は1998年ごろ行われたことを確認した。論文で発表した細胞は現在も使われており、再現性に問題がない点から「論文の内容が正しいことは明らか」と判断。切り貼りの跡がないことも確認した。
しかし、調査を担当し、その結果を公表したのが京大iPS細胞研究所の森沢真輔副所長。部下が上司の不正を問題視するはずもなく、この調査が公正に行われたかどうかは疑わしい。しかも、実験の生データは山中教授のノートでは確認できなかったという。共に研究の中心となった中国出身の研究者のノートに記録されている可能性もあるが、連絡が取れないという。
あれあれ、山中といえば、あの小保方の論文不正について、「実験ノートが重要・・・」とかなんとかご高説を垂れた者ではなかったか。
山中は会見で論文と同様の結果を示す実験の生データと図を示し、「学生に厳しく指導している私と昔の自分(の違い)を思い、恥ずかしい」と話したという。また、山中は不正を否定した上で、論文共著者の実験ノートが手元に保管されておらず、自分のノートにも実験の生データがなかったとして「日本の科学に対する信頼が揺らいでいる状況でこのようなことになり、誠に申し訳ありません」と陳謝したという。
ここで小保方の論文不正問題である。小保方は先の記者会見でも「論文に不正はない」を繰り返していた。そういえば、小保方の理研の上司で、小保方の論文不正の調査委員長を務めた石井にも論文不正が発覚したばかり。山中、石井といった小保方を上回るキャリアと実績をもった研究者が論文不正を行っていたことから「画像の差し替え、加工は不正に入らない」というコードが日本の科学界に常態化していると想像できまいか。
山中の疑惑は時効だという説もある。だが、山中の研究者倫理はどうなのだ、ノーベル賞をもらい、論文の正しさが証明されているから、山中はシロなのか。ならば、小保方も、「STAP細胞」の実在が証明されれば、シロということになる。となると、理研の調査と調査結果は無効に近い。つまり、「STAP細胞」の実在が証明されるまで小保方は処分されないでよいことになる。
となれば、論文に不正があっても、仮説の正しさが結果において証明されれば、不正を問わないでいい、というコードが科学界を出発点として、社会に敷衍することになる。科学者、研究者の退廃はとどまるところを知らない。小保方劇場は、ドロ沼ならぬ底なし沼状態に陥った。