2019年1月9日水曜日

お次は長野か!読売の不可解プロテクト外し

FAで広島から読売に移籍した丸佳浩外野手の人的補償が長野久義外野手(34)と決まった。先の内海哲也投手(36)に次ぐ連続の驚きだ。まさかまさかである。筆者の予想は左のワンポイント戸根千明投手(26)だったから、これまた大外れ。

相次いだ「ドラフト破り」選手のプロテクト外し

このたびの内海、長野の人的補償による放出には共通点がある。内海は2002年ドラフトでオリックスの指名を受けたが拒否、東京ガスに入社して一浪の末、翌年の自由枠にて読売に入団した。長野は2006年ドラフト(日本ハムからの指名)、2007年ドラフト(千葉ロッテからの指名)を拒否して二浪、2008年ドラフトで読売(の単独指名により)に入団した。つまり、内海、長野の共通点は、2人とも「ドラフト破り」の過去を持っているということだ。このことは、「巨人入り」を熱望して浪人までした選手をあっさりと、プロテクトから外したことを意味する。

読売の「ドラフト破り」は江川卓を初代にして、球界に黒歴史を刻んできた。その江川にはコーチ・監督の声がかからず、内海、長野がFAの人的補償で放出されたとなれば、読売が「ドラフト破り」の黒歴史の清算を図っているとも考えられる。大新聞社を親会社とするプロ野球球団がルール破りの歴史をもつということは、よろしくない。もし読売が過去の清算に乗り出したとするならば、「ドラフト破り」で読売に入団した現「エース」、菅野智之投手もいずれは放出されることになるのだろうか――

もちろん、筆者のこの「推論」は皮肉でありジョーク。読売グループに良心はない。「読売巨人軍」は、常勝軍団、球界の盟主、紳士たれ・・・らしいが、読売新聞の拡販を使命とした、時代遅れのスポーツ媒体にすぎない。

原辰徳(出戻り)監督の決定事項

内海、長野のプロテクト外しの意図はなにか――複数のスポーツコメンテーターがこのテーマに取組んでいて、色々な見解を発表しているが、管見の限り、しっくりしない。いうまでもなく、当事者である読売球団がプロテクトを外した選手名を公表するわけがない。だから真相はわからない。

ただいえるのは、監督に復帰した原辰徳の決定によるということだけだ。原が監督に復帰したと同時に、球団GMを兼ねることが報道されており、そのとおり、前GMの鹿取義隆が読売を去っている。つまり、内海、長野のプロテクト外しを決めたのは原辰徳だということ。

若手投手放出は読売のトラウマ

読売は近年、FAによる人的補償のみならず、トレード等による若手投手放出でミスを重ねている。その代表例が一岡竜司投手(2013年)のプロテクト外しだ。この件は先の拙blogでも書いたし、多くの報道があるので繰り返さない。

一岡に次いでFAの人的補償で他球団に移籍した結果活躍したのが、2017年、山口俊投手(31)の人的補償でDeNAに移籍した平良拳太郎投手(23)だ。平良は読売に在籍した2014~2016年、一軍登板1試合で1敗の成績だったが、DeNA移籍2年目、先発13試合で5勝3敗の実績を残し、2018年にはローテーション入りが確実視されている。

そればかりではない。2016年にトレードで日本ハムに移籍した公文克彦投手(26)も移籍先で活躍している。公文の読売在籍中(2013~2016)の一軍成績は14年に3試合登板、3イニング、16年に12試合登板で、3年間通算、勝利、ホールド等0だったのだが、日本ハムに移籍した途端、2017年には41試合登板、3ホールド、18年には57試合登板、11ホールドの実績を残している。

読売は同球団で実績の上がらなかった若手3投手(一岡、平良、公文)を放出したが、3投手とも移籍先で頭角を現したという次第。これら3事例から、読売には、若手投手の素質を見抜く力がなく、育成もできなかったことがわかる。読売の指導者(とりわけ投手コーチ)の無能ぶりを如実に示している。

原辰徳の編成能力に疑問

読売が内海、長野のベテランをプロテクトから外した一方で、中島宏之野手(36)及び岩隈久志投手(37)を獲得したことが話題になっている。中島は米国球団経験者だが、MLBに昇格していない。岩隈はMLBで実績を残したが、故障でほぼ2シーズン登板していない。つまり、内海、長野の放出が即ち若返りには通じていない。さらに不可解なのが、中井大介内野手(29)、廖任磊投手(25)を自由契約に、橋本到外野手(28)を金銭で楽天にトレードしたこと。中井はDeNA、廖は西武が獲得した。
(※なお、辻東倫内野手(24)が引退しているが、その理由は不明。致命的な故障があったのかもしれないので例外とする。)

2019シーズン、中井、廖、橋本が活躍し、中島、岩隈がダメだったら、原辰徳の編成能力が疑われて当然だろう。

優勝すれば、すべて忘れ去られる

丸、炭谷、中島、岩隈が仮に2019シーズン、鳴かず飛ばずであったとしても、他の選手の活躍で読売が優勝すれば、“原辰徳の編成能力がどうの、育成方法がどうの・・・”という批判は忘れ去られる。他球団に移籍した内海、長野、中井、廖がそれなりに活躍しようが、大した話題にはなるまい。それが「巨人」中心でまわり続ける、日本のプロ野球界の実態であり、スポーツメディアのスタンスなのだ。