2019年1月27日日曜日

優勝候補、韓国の8強どまりは意外

アジア杯2019、筆者が優勝と予想していた韓国がカタールに負け、前回優勝国のオーストラリアが開催国UAEに負け、優勝候補の一角と目された2チームが中東勢によりベスト4進出を拒まれた。

韓国の戦力はアジアナンバーワンだと思われたが・・・

大会前、筆者は韓国の戦力はアジアで群を抜いていると思っていた。ベテランのキ・ソンヨン(ニューカッスル)、脂がのり切っているソン・フンミン(トッテナム)と、イングランド・プレミアリーグでレギュラーをはる2選手に加え、ファン・ヒチャン( ブンデスリーガ・ハンブルガーSV)ほか、欧州でプレーする選手を複数擁する韓国代表は現時点でアジア最強だと思っていた。

予選リーグではチームとしてのまとまりが見られず、攻撃のかたちが見いだせない試合が続いたが、グループCを3連勝で首位通過、貫録を見せた。危険信号が灯ったのがラウンド16のバーレーン戦。延長までもつれこんでの辛勝だった。やっぱりうまくいっていないのか、と思いつつも、だんだんと調子を上げてくるだろうと考えていた矢先の敗退だった。ベスト8をかけたカタールとの試合では、スピードある攻撃が見られず、相手の堅い守備に決定機は少なく、カタールの一発に泣いた。

ポゼッション重視のベント監督は時代遅れ

韓国の敗因としては、キ・ソンヨンの負傷離脱、3試合目から合流したソン・フンミンの過労による調整不足などが挙げられているが、代表監督のベント(ポルトガル)の指導、采配の責任を追及する声が韓国国内で強まっているようだ。

ベントの目指すサッカーはポゼッション重視。そのため、韓国の伝統的強みとされる速さ、力強さが消えてしまった。チーム全体に停滞感がひろがり、韓国の特徴である闘志あふれるプレー、たとえば球際の強さ、深いタックル、速いサイド攻撃、ペナルティーエリア内での反応の速さ…が影をひそめてしまった。

ベントが代表監督に就任して以来、韓国は負けなしだったらしいが、日本代表と同様、親善試合の結果はあてにならない。親善試合では相手の状態を考慮し、勝敗ではなくサッカーの質をしっかり見極めないと、公式戦で取り返しのつかない結果に終わる。代表監督の評価については、韓国代表で起きたことを日本も他山の石とすべきだ。韓国はベントを躊躇なく解任できるから、2022に向けてはよかったかもしれない。

ポゼッションサッカーは堅守に対応できない

今日の世界のサッカー界におけるトレンドは、W杯ロシア大会が示した堅守速攻、フィジカル重視で変わっていない。本大会における中東勢を中心とした各国の台頭は、堅守速攻、とりわけ規律の高い守備、相手が守備体形をつくる前にゴール前に攻め込む速攻を武器とするチームが増えたことによる。

堅守速攻の土台となるのは強いフィジカル。韓国のエース、ソン・フンミンが精彩を欠いたのは、年始のイングランド、プレミアリーグの過密日程による疲労からだと思われる。しかし、代表戦ではそのことは理由にならない。エースがコンディション不良ならば、代替選手がその穴を埋めなければならないし、代表監督は調整期間を設けるような選手起用を心掛けなければいけない。

韓国代表が持ち前の強いフィジカルを生かしたサッカーを捨ててしまえば、相手は脅威を感じない。韓国は原点に帰るべきだった。さて、日本はどうなるのだろうか。