2025年8月23日土曜日

映画『教皇選挙』

 ●エドワード・ベルガー〔監督〕 ● ピーター・ストローハン〔脚本〕 ●キノフィルムズ/amazon prime〔配給〕 


カトリック教についてしっていることは少ない。全世界14億人以上の信徒を誇るキリスト教最大の教派であり、ローマ教皇と呼ばれる宗教上の最高指導者が教団のトップにいて、信徒ばかりか世界にそれなりの影響力を与えていることくらいか。教皇は、神と信徒のあいだいにあり、神の代理人のような存在なのかもしれないし、イエスのそれかもしれない。カトリック教においては、神-イエス―教皇-信徒という垂直的位階があるのかどうか・・・ 


東京カテドラル

カトリック教についてもう一つ、その財力が桁違いに大きいことを知っている。プロテスタントの教会を預かる牧師は、とりわけ教会員が少ない日本では、教会を維持することは難儀だという話を聞いたことがあるが、カトリック教会にはその心配がないという。同派の総本山ローマから潤沢な支援金が送られてくるからだと。カトリック東京大司教区の司教座聖堂・東京カテドラル(聖マリア大聖堂)は荘厳な建築で知られている。

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さて、この映画は、カトリック教の最高指導者教皇が亡くなり、次の教皇が選ばれる過程を描いた物語だ。新教皇を決める教皇選挙「コンクラーベ」に世界中から100人を超える候補者たちが集まり、新教皇は投票で決められる。投票は別名、選挙である。つまり、選挙ならば、「コンクラーベ」も例外ではなく、選挙のシステムが稼働する。新教皇を目指すもの、多数派に属して、新教皇から受けられる利益を追求するもの、いくつかの派閥が形成され、票が割れる。陰謀、差別、スキャンダルを互いに暴き合い泥仕合となる。

「コンクラーベ」は、選挙を執り仕切る者(ローレンス枢機卿/映画の主人公)が候補者であることもできるという不思議な選挙制度である。「民主主義」の選挙ならば、中立の立場にある選挙管理者が選挙事務を取り扱うのが普通であるのだが。

「コンクラーベ」は厳格な選挙規約があり、候補者は外部から遮断された建物に宿泊し、夜間は厚い壁で仕切られた部屋に缶詰め状態にされる。もちろん携帯電話等は取り上げられ、世間の情勢、情報は遮断される。だが、ローレンス枢機卿は選挙の仕切り屋という立場から、派閥の仲間と密談ができ、前教皇が残した秘密文書にアクセスすることができ、恐るべき陰謀等を知る・・・結末はネタバレになるから書けない。 

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ローマ法王庁は組織であり、それを構成する教皇、枢機卿等も私利私欲にかられたただの人間。神の代理人という権威・権力を求めつつ、世間(全世界)からのスキャンダルをおそれる俗人であることを映画を通じて知ることができる。〔完〕