2026年9月4日金曜日

巨人は与死球が多すぎる

 NPBはシーズン終盤に入り、2026/09/03時点で残り試合23で首位阪神がM18、2位の読売(以下「巨人」)とのゲーム差は5ゲームと優勝に近づいている。ここまでのところ、筆者が気になるNPBの現状について書いてみた。


(一)巨人の与死球が激増

今シーズン(8月29日現在)、巨人投手陣が与えた死球(デッドボール)は57個(111試合消化時点)と12球団最多を記録している。昨年は47個(143試合)だったから、30試合を残してすでに8個上回っている。NPB最低が西武の27個だから巨人の異常さが際立つ。チーム別では、巨人が阪神に与えた死球数は15個で阪神の被死球数56個の27%を占めている。巨人と阪神の対戦成績は巨人7勝、阪神16勝と阪神が巨人を圧倒している。死球数と対戦成績の相関性が疑われても仕方がない。端的に言えば、巨人は阪神に勝てない腹いせから、阪神の主力打者にたいしてデッドボールを投げているのではないかと。

阪神と巨人の対戦成績の詳細をみると、阪神は対巨人戦203安打、21本塁打、打率.269、防御率2.38で、一方の巨人は148安打、20本塁打、打率.203、防御率4.31と悲惨な成績となっている。巨人投手陣は阪神に打たれ、巨人打線は阪神投手陣に抑えられているというわけだ。

この成績を踏まえ、筆者は巨人の与死球増は、投手コーチの影響に起因しているのではないか、と推測する。昨年から巨人一軍の投手コーチ体制は、投手チーフコーチ・杉内俊哉、投手コーチ・内海哲也の二人だ。巨人の投手コーチふたりは、自軍の投手陣にたいし「当ててもいいから、思い切って内角を攻めろ」と指示しているのではないかと思う。巨人の投手たちは自軍コーチの指示を受けて、死球にたいするリミッターが外れ、自分の内角コントロール技術を度外視して、思い切った内角攻めを敢行しているのではないかと。

TVに出演する野球評論家諸氏は「強打者を抑えるためには内角攻めが必須」と解説する。それがまちがいとは言えないが、投手を指導する立場の者は、未熟な投手にたいし、技術を伴わない無謀な内角攻めを指示する前に、コントロールをいかにつけるかを教えるべきだと思う。投手は投手で、強気イコール内角攻めではないことを自覚すべきだ。気の弱い投手ほど、打者の近めを攻めて強気の投球をしたと錯覚する。

頭部や手首等の弱い骨部への死球は選手生命を奪いかねない。そこまでいかなくとも、長期離脱は打者の生活を奪いかねない。この先、投手の球速はより早まるだろうし、変化球の曲がり幅も大きくなると思われる。「死球を避けるのも打者の技術」などど、呑気なことは言っていられない。野球のようなスポーツでは法的に過失を問われないから、当てたほうは謝罪で済ますようだが、当てたほうになんらかのペナルティーがあってしかるべきだと思う。

(二)主砲が抜けた巨人・ヤクルトが昨年の勝率を上まわる

ここまでのところ、筆者の予想を覆した事象は、巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆と主砲がMLBに移籍したにもかかわらず、巨人は昨年の3位から2位へ、ヤクルトは6位から4位と順位を上げていることだ。

シーズン直前、巨人はBクラス、ヤクルトは最下位と予想した評論家が多かったと記憶している。彼らがまちがったとは言え、筆者もそのように予想したから、責められない。

順位を上げた要因と思われるのは、監督交代ではないか。巨人は2025(阿部監督)シーズンの勝率は.504、今シーズンは阿部・橋上体制で.538と3分以上、勝率を上げている。内訳では 阿部体制で.522、橋上体制で.556となっている。数字上では、阿部が監督を続けていたとしても、2位をキープしていたことになるが、橋上体制になってから、若手を中心とした新戦力の台頭が目立っている。

阿部から橋上の交代は球団が意図したものではなく、阿部の家庭内暴力による辞任によるものだったから、いわば怪我の功名による。

ヤクルトは2026シーズンから池山体制で臨み、昨年の勝率.419から今シーズン.445と2分ほどアップした。とりわけ序盤、首位を独走し、イケヤマジックと称賛された。

この2チームが勝率を上げた理由は筆者にはよくわからない。補強についてみると、巨人は野手で米国AAAのボビー・ダルベック(内野手)、NPB日ハムからFAで松本剛(外野手)を獲得。投手では米国MLBレッズのフォレスト・ウィットリー、楽天からスペンサー・ハワード、米国AAAのブライアン・マタ、楽天からFA移籍で則本昂大を獲得。さらにシーズン途中で米国AAの小笠原慎之介を獲得した。

巨人は豊富な資金力を基盤として投手をそれこそなりふり構わず獲得した。その結果としては、2026シーズンは.2.95で2025年防御率.2.95と同程度の成績を維持しているにすぎない。その一方、チーム打率は.235となりリーグ4位となっている。昨年は.250リーグ1位だった。

ヤクルトは米国MLBエンゼルスからホセ・キハダを獲得した。メジャー通算142登板の実績を持つ救援左腕。米国AAAのヘスース・リランソを獲得。野手については、目立った補強は行っていない。ヤクルトの防御率は今シーズンは3.54で昨年の3.59で0.05ポイント下がった。チーム代率は.236(昨年.234)と0.02ポイント上昇した。

この数字からは、巨人・ヤクルトとも補強が功を奏したとは言いがたい。筆者の憶測を言えば以下のとおりだ。

NPB各球団は出場機会に恵まれない才能のある選手が多数眠っている。彼らは、球団数が12と少ないため、二軍暮らしを余儀なくされている。主力が他球団や海外移籍で不在となったところで、チームはその穴を埋めるため、二軍で調子のいい選手を状況に応じて一軍に昇格させる。それによって出場機会を得た選手がチャンスととらえて好成績をあげるが、調子が長続きせず二軍に逆戻りする。その代わりに他の選手が一軍に上がり、好成績をあげる・・・そのような循環のなかでレギュラーを獲得する選手が現われるようになる。巨人の浦田俊輔はレギュラーを獲得し、平山功太、中山礼都、佐々木俊輔らがその途上にある。

ヤクルトでは岩田幸宏、長岡秀樹、赤羽由紘らが思い浮かぶ。彼らは必ずしも群を抜いた成績とは言えないが、村上が去った後を埋めているような気がする。

NPB2026シーズンを踏まえるならば、主力の選手の移籍をおさえ込むような球団運営を控えるべきだ。ポスティングでもなんでも使って、MLBを含めた他球団に売り込んだほうがいい。そこで得た原資を使って、無名の才能のある選手を獲得する、もしくは自軍の若手戦力を分析の上積極的に起用し、戦力として活用すべきだ。そのような積極的球団運営(経営)に舵を切れと言いたい。「NPBが育てた選手を米国MLBに取られてさびしくなる」なんてコメントする昭和の球界OBのたわごとなど聞くことはない。NPB球団経営者には、選手を育てて売るくらいの気概が欲しい。

日本のサッカー界(Jリーグ)ではこのようなクラブ運営は常道となっているし、日本サッカーのレベルも上がった。今シーズン、世界のサッカーリーグ最高峰と言われるイングランド・プレミアリーグに在籍する日本人選手は10人に達している。〔完〕