2026年11月3日火曜日

薄汚れた読売巨人軍

  NPB2026年クライマックスシリーズ終了後におけるドラフト会議から日本シリーズ開始前における読売巨人軍(以下「巨人」)の動きは許しがたいものがある。リーグ優勝を逃し、クライマックスシリーズで横浜にスイープで敗退した巨人だが、「ドラフト会議」と「松井」という話題性で、2026年の「覇者」となった。

(一)読売球団は若者の選択の邪魔をするな


 
 読売球団は、2026年ドラフト会議において、MLB行きを公表していた横浜の高校生を1位指名した。読売のドラフト破りには前歴がある。古くは江川卓の「空白の一日」、近年では菅野智之のドラフト1位指名の辞退、その間にも指名した球団の入団交渉に応じず、一年間の浪人生活をした選手がいたはずだ。
 かつてドラフト会議前に、二刀流の大谷翔平がMLB行きを公表した中、日本ハムが1位指名し、交渉の結果、入団にこぎつけたことがあった。日ハムは大谷に対し、NPBでプロ野球を経験し、実績を残したうえでMLBに移籍したほうがメリットがあると説得したと伝えられている。当時は、日本におけるMLBの実態は広くいきわたっておらず、大谷もただ行きたいという思いだけだったような気がする。日ハムの高校生大谷に対するアプローチは間違っていなかったし、結果的にも、NPB→MLB入団は正解だったことがいまになってわかる。
 しかし、あれから14年が経過したいま、MLBの実態等を知る日本の野球ファンは爆増した。プロアマを問わず、野球関係者が入手できるMLBおよび北米の球界事情に係る情報量はあふれんばかりだろう。そのような状況をふまえて、横浜の高校生がNPBを経ずにMLBに直接入団を決意したというのは、新たな挑戦を選択したことを意味する。前人が通らなかった道を選ぼうということだ。異なる言語・生活習慣といった日常的困難性はもちろんのこと、マイナーリーグでは、世界中から集まった若き天才たちとの競争が待ち受けているはずだ。それらの困難を承知で未踏の茨の道を選択しようとする高校生に栄光あれ!と筆者ならエールをおくる。
 だが、「巨人軍は紳士たれ」をモットーとするはずの読売球団が、「大人の常識」をふりまわし、高校生の決意に水を差そうとしている。巨人軍がほしいのは、人気も実力も凋落したいま現在のチームの惨状の〈救世主〉であり、新聞部数もTV視聴率もふるわない読売グループの〈収益〉だけなのだ。なぜ、人生の大転換を決意した高校生に雑音を吹き込もうとするのか。それが「紳士」のすることなのか。

(二)松井新監督フィーバーにあきれるばかり



 日本シリーズ開幕直前、読売グループは「巨人新監督に松井秀喜」とぶちあげた。この報道で〔ソフトバンク VS 横浜〕の決戦への興味はうすまったどころではなかった。巨人ファンにとって松井新監督は待望の人事なのかもしれないが、アンチ巨人にとってはどうでもいいことだ。なぜならば、野球は選手がやるものだからというあたりまえの前提があり、しかも、監督経験のない松井は監督一年生にすぎないからだ。巨人ファンが期待するのはかまわないが、一球団の監督人事――監督としては実績のないルーキー監督の就任――に、大騒ぎするプロ野球界を筆者はどうしても理解できない。

(三)来シーズンの巨人は優勝するだろう


 監督の手腕で勝てる試合がいちシーズンにどれくらいあるかを知らないが、戦力的に来シーズンをみると、ライバル阪神の主砲・佐藤輝明がMLBに移籍するので、巨人にとって優勝しやすい条件のひとつは整った。だが、岡本和真の穴が埋まらなかった2026シーズンの課題を克服するには、新監督よりも、主砲となるべき若手の台頭であり、それが不可能ならば、スーパー新外国人選手の獲得となろうが、いまのところ目途がついたとは思えない。このさき、FA制度の活用や、トレードなどで、チーム力の即席的アップは期待できるものの、巨人が他球団を圧倒できるとも思えない。来シーズンの巨人の戦いぶりは、2026シーズン同様、野手はベテランと若手の一軍~二軍の往復で賄いつつ、豊富な投手陣で僅差の勝利を積み上げる「しょっぱい巨人」が続くと思う。DH制の導入があろうとも、つまらない野球であることに変化ない。
 それでも力の落ちた阪神はじめ、他球団に戦力アップの材料が見当たらないので、「松井巨人」が優勝候補であることは疑いようがない。かわりばえのしない凡庸なセントラル・リーグがパリーグのマイナーリーグであることに、来シーズンも変化がなさそうだ。〔完〕