2017年11月29日水曜日

相撲協会とその周辺に巣食う時代遅れの愚者たち

横綱日馬富士暴行事件については、本日(11/29)日馬富士が引退届を提出したことでヤマを越えた。そもそも日馬富士は暴行の事実を認めているのだから、警察の捜査が進み、書類送検をして、それを受けた検察が起訴、不起訴を決める。それだけのことだ。日馬富士が引退したことで、不起訴となる可能性が高まったともいう。

バンザイ・ノーテンキ横綱

事件としては単純にみえる一方、昨日、事件現場となった飲食店で加害者・被害者と同席していた横綱白鵬が警察から、7時間を超える事情聴取を受けた。白鵬の聴取時間が加害者である日馬富士より長かったとは異常だが、白鵬に共同謀議の疑いがかかったと推察すれば、納得できる。日馬富士が貴ノ岩に一方的に暴行を加えたとき、同席していた白鵬が止められなかった理由はない。白鵬が日馬富士の暴行を容認したのではないか、という素朴な疑問が払しょくされていない。

暴行を容認した疑いがあることを知ってか知らずか、白鵬は千秋楽、自らの優勝表彰後に観客に万歳を求めた、観客もそれに応じた、相撲ジャーナリストの杉山某はTVのワイドショーで白鵬を称賛した。狂っているとしかいいようがない。

おバカなのか、それともおバカを装う、公益財団法人日本相撲協会評議員会議長

相撲協会の評議委員会議長である池坊何某は、日馬富士引退についてのコメントを求められて、「残念」を連発した。この人の発言はこれまでも常軌を逸していて、自分が務める公益財団法人の不祥事(暴力事件)について反省する言葉がない。事件を公にした被害者側(貴ノ岩、貴乃花親方)を責めるばかり。池坊何某は暴力事件を協会より先に警察に届けた貴乃花親方に瑕疵があるとして、理事失格だという。困ったものだ。なぜならば、相撲協会には「蒼国来事件」という忌まわしい過去をもっているからだ。この事件のあらましは、蒼国来という中国内モンゴル出身の力士に八百長の疑いがあるという情報(デマ)を信じた協会が、独自調査の結果、蒼国来を解雇処分した。これを不服とした蒼国来側が訴訟を起こし、結果、協会は敗訴、解雇を取り消した。つまり、相撲協会は「冤罪」で蒼国来を処分した過去をもっている。

巷間言われている相撲協会の「調査力」とはしょせんこの程度、とても信用・信頼できるものではない、とこのたびの被害者側(貴ノ岩・貴乃花親方)が思ったとしても不思議はない。協会に事件を上げれば、被害者にとって不利益になる確率は高くなる、と考えるのはむしろ当然、まずは警察と考えて何が悪いのだろうか。

なお余談だが、池坊評議員会議長は、過去(2011年)に財団法人『日本漢字能力検定協会』の理事長を途中解任されたという忌まわしい過去がある。

カルト的相撲ファンの元ロックバンドヴォーカル

池坊何某、カルト的相撲ファンのお化けタレント、杉山某も被害者である貴ノ岩が説明しないのがおかしい、という趣旨のコメントを連発する。このコメントも筆者には理解できない。このたびの事件を、異国で活躍する日本人アスリートに仮構して考えてみよう。ドイツでプレーする日本人サッカー選手は14名ほどいる。彼らがオフタイム、「日本人会」と称して食事や酒を飲むため集まったとしよう。その席上、日本人選手の中でもっとも知名度の高い兄貴分の香川真司(ドルトムント)が若手の浅野拓磨(シュツットガルト)に今回と同じような暴行を加えたとしよう。シュツットガルト側が被害届を警察に提出し、捜査段階だと仮定しよう。ドイツのマスメディアがこのような事件をどのように報道するのかは想像できないが、連日連夜、TVが当事者にコメント求めることはない――周辺の者がメディアに不確実情報を流すこともない――と確信する。粛々と警察が捜査し、起訴または不起訴が決まるものと思われるし、社会も粛々とそれを見届けるだろう。

この段階で、被害者である浅野がTVに出てきて事件について語ることは絶対にない。浅野が、香川から一方的に暴行を加えられた状況をTVで語ることはあり得ない。浅野は事件を理解できないし、肉体的と同時に、いやそれ以上に心的に傷を負っているはずだからだ。同郷(日本)の先輩がなぜ、自分に暴力を振るったのだろうかと。

内面の問題にとどまらない。警察が捜査をしている段階で自分が口を開けば、警察捜査にも影響する。事件について具体的にメディアに語ることは捜査妨害にもなる。ドイツの社会が浅野に対し、メディアに出てコメントしろ、と求めることがあるだろうか――筆者は、そのようなことはあり得ないと確信する。浅野がTVに出てきて、「香川にこんなふうに殴られました、そばにいた日本人選手はだれも止めませんでした・・・」と説明することがあるはずがない。

無責任横審委員長に相撲協会御用達「ジャーナリスト」

日本のTVがこの事件を連日取り上げるのは、視聴率が稼げるからだろう。前出のとおり、捜査段階では、被害者・加害者は立場上、表に出られない。協会(及び協会と利害を一致する関係者)は、“事件はなかった、穏便に済ませたかった”から、被害者不利のデマ情報を流しまくる。公益財団法人評議員会議長という公職にある者が、“巷の相撲ファン”なみのコメントで、協会への責任追及を回避させようと誘導する。横審とかいう老人会が自分たちの任命責任を棚に上げて、協会に「厳正な処分」を求める。

こうして見てみると、TVは相撲協会とその関係者に利用されていることがわかる。コメンテーターの中に一人として、相撲協会の暴力体質を批判する者がいないことがそのことの証明となる。だれもが、被害者(貴ノ岩)と加害者(日馬富士)がなにもなかったように、初場所に出場できることを願っているかのようなコメントが平然と電波にのって日本中(いやモンゴルまで)流されていくことをだれも止められない。その代表的存在が、元NHKの相撲中継アナウンサーで、現在「相撲ジャーナリスト」である杉山某であろう。

残念なのは、暴力事件発生の根源に目を向けない相撲協会及び相撲業界

相撲協会は暴力を追放しようと努力してきたという。だがそれこそ残念ながら、その努力は足りなかったのだ。実行犯の日馬富士はもちろんだが、相撲協会こそが責任をとるべきなのだ。評議委員会議長なのか、理事長なのか、日馬富士が所属する部屋の親方なのか、横審委員長なのか、そのすべてなのか――だがここでも誠に残念ながら、いまのところ、ここに挙げたうちのだれもが責任を感じているようには見受けられない。それこそ残念きわまりない