2021のNPB(日本プロ野球)のペナントレースは予想を超えた結果となって幕を閉じた。セパ両リーグで昨シーズン最下位球団が優勝をさらったのである。第1回目はセリーグから。まずは順位を見てみよう。
〈順位表〉
1ヤクルト(73勝52敗18引分、勝率.584、打率.254、防御率3.48)
2阪神(77勝56敗10引分、勝率.579、打率.247、防御率3.30)
3読売(61勝62敗20引分、勝率.496、打率.242、防御率3.63)
4広島(63勝68敗12引分、勝率.481、打率.264、防御率3.81)
5中日(55勝71敗17引分、勝率.437、打率.237、防御率3.22)
6 DeNA(54勝73敗、16引分勝率 .425、打率.258、防御率4.15)
筆者の開幕前の予想
1.読売、2.阪神、3.DeNa、4.中日、5.広島、6.ヤクルト、であったから、まったく外れた。以下、弁明を書く。
順位予想の手順
(一)既存戦力
順位予想に係る確定要素としては、まず既存戦力の見極めがある。既存戦力をみるには、前シーズンの実績があり、新たに台頭する戦力の予測が加わる。前者はわかりやすく、前シーズンに活躍した選手は次のシーズンも活躍すると見なしがちである。だから、前シーズン上位の球団はそのままスライドしがちである。一方、後者を予想するのは難しい。どの選手が力をつけて公式戦に参入するのか。6球団に目を向けるのはそうとうの労力を要す。
(二)新規加入戦力
新規加入戦力としては、新人と移籍がある。新人は難しい。2021は新人豊作の年で、新人王候補が目白押しである。シーズン前、これほどの新人の活躍を予想することはできなかった。それに比べれば、移籍はわかりやすい。入団した選手の力量と移籍したそれとを比べれば、球団の戦力アップ、ダウンの判断は容易である。
(三)補強が実を結ばなかった読売
たとえば筆者がセリーグ首位と予想した読売の場合、新人を除いた新戦力としては、FA=井納翔一:5試合 0勝1敗 防御率14.40、同=梶谷隆幸:61試合 64安打4本塁打23打点11盗塁 打率.282、MLBからシーズン途中=山口俊:14試合 2勝8敗 防御率3.56、日ハムからシーズン途中=中田翔:30試合 12安打3本塁打7打点 打率.150、MLBから新入団=テームズ:1試合 0安打 打率.000、同=スモーク:34試合 31安打7本塁打14打点 打率.272、ヤクルトからトレード=広岡大志:75試合 17安打3本塁打9打点2盗塁 打率.175、AAAからシーズン途中=ハイネマン:10試合 4安打0本塁打2打点0盗塁 打率.160。
これだけ新戦力を集めた読売なのだから、首位で終わって当然である。ところが、期待され入団した外国人2選手がシーズン途中で退団、怪我のためとはいえ、テームズがわずか1試合しか出場できなかったのは大誤算。FA移籍してきたDeNAの2選手も戦力にならなかったし、シーズン途中の補強も実を結ばなかった。難しいものだ。
既存戦力の底上げにも失敗した。昨年より実力を上げた既存戦力は松原ただ一人。野手の坂本、丸、大城、ウイラー、吉川も成績を落とした。投手陣も先発陣では、菅野以下成績を落としたし、ブルペンもシーズンをとおして安定しなかった。しかも、読売はチーム打率でリーグ5位、防御率で同4位であった。これだけ数字を落としながらCS出場を果たしたのは奇跡に近い。
ヤクルトの躍進
反対に最下位からリーグ優勝したヤクルトの場合は、攻撃面における外国人2選手の活躍がチームを引っ張った。中村捕手の打撃開眼、トップバッター塩見の成長、脅威の8番打者・西浦、チームリーダー・青木の健闘、不動の四番に成長した村上――と、攻撃の破壊力は昨シーズンを大幅に上回った。驚異的な成長を見せたのは投手陣である。中継ぎ陣の成長、抑えのマクガフがシーズンを通して安定して活躍した。ここまでたて立て直した監督・コーチに敬意を表する。
残念な阪神
阪神はチャンスを逃した。2位に甘んじたのは、9回延長なしの「コロナ禍ルール」である。Jリーグが採用している勝点制度(勝3点、引分1点、負0点)ならば、阪神は問題なく優勝していた。不運というほかない(ヤクルト=73勝×3+18引分×1=237、阪神=77×3+10引分×1=241)。筆者は、勝者をリスペクトする立場から、NPBも勝点制度を採用すべきだと考える。