2021年11月19日金曜日

まだまだ続く、大谷翔平の冒険

 

大谷翔平がMLBのMVPに満票で選出された。シーズン当初、筆者は拙Blogにおいて、大谷のシーズンを通しての「二刀流」は難しい旨のニュアンスをにじませた予想を立てたが、まちがっていた。2021シーズンの投打の実績はすばらしいものであった。大谷にはこの先、1年でも永く、現役を続けてほしいものだ。

気になるのは、所属するエンゼルスの成績だ。アメリカン・リーグ西地区(5球団)中4位とふるわなかった。アリーグ15球団の成績としては、チーム打率.245(6位)、本塁打数190(11位)、打点691(7位)、防御率4.67(12位)、勝利数77(10位)、セーブ39(8位)と低迷している。大谷の個人成績の偉大さと比べれば、とてつもなく劣っている。

大谷の「二刀流」だけが原因ではないが、彼の活躍がチームを活性化するまでには至らなかった。エンゼルスの試合をすべてチェックしたわけではないけれど、チームとしての、▽まとまり、▽リズム、▽つながり、▽落ち着きが、大谷の「二刀流」によって阻害されているような気がしてならない。このあたり、大谷というよりも、「二刀流」という変則体制をチームメイトが理解し、慣れることが課題となろう。

大谷の本塁打数が前半戦に比べ、後半戦で少なくなったのも気がかりの一つだ。オールスターゲーム前に行われる本塁打競争で打撃フォームを崩したという分析もあるが、それよりも、ポストシーズン出場を目指す他球団が勝負に気を遣う後半戦では、大谷へのマークが厳しくなったからだろう。

2022シーズン、だれもが気遣う事項は、①ケガの心配、②極端な内角攻めを含めた厳しいマーク、③蓄積疲労、④外野守備による負担増―—だろう。MLBの各球団、各選手が2年連続で大谷にしてやられるわけにはいくまいと、前半戦から、大谷に対して気合を入れてくるだろう。

1903年に始まったMLBベースボールが長年にわたって築き上げた投打分業スタイルが正常なのか、それとも大谷がその常識を一人で覆し続けるのか、いわば、「大谷の後ろに大谷なし、大谷の前に大谷なし」という歴史をつくり続けるのか。

「二刀流」が可能な選手が勝負に有効なのかどうかについての結論は、筆者においてはまだ出せないままだ。