2013年6月5日水曜日

サッカー日本代表に構造改革必要

サッカー日本代表は4日、オーストラリアとホームで引き分け、W杯ブラジル大会出場を決めた。ザッケローニは、代表監督として、最低限のミッションを果たした。

試合内容は、全体として日本やや優位で試合を進めたものの、後半36分、相手クロスがゴールインという不運な失点でオーストラリアに先行された。しかし、タイムアップ直前、相手選手のハンドの反則でペナルティーキックを得、本田が落ち着いて決めドローとした。日本は1998年フランス大会以降、自国開催の2002年日韓大会を含め、5大会連続のW杯出場を果たした。

日本はW杯アジア予選B組において1試合を残しているが、日本のW杯出場決定により、少なくともアジアでベスト4に入ることを証明した。A組では韓国、ウズベキスタン、イランがしのぎを削っていて、3チームのうちどこが勝ち残るか予断は許されない状況だ。一方、B組の残り1枠は、勝ち点2差で2位オマーン(18日・アウエーでヨルダン戦)、3位オーストラリア(11日・ヨルダン戦、18日・イラク戦いずれもホーム)の争いになっている。残り2試合をホームで戦うオーストラリアが優位にあることは間違いなさそう。オマーンがアウエーのヨルダン戦に勝って勝ち点3を積み上げても、最終の勝ち点は12までしか伸ばせない一方、オーストラリアは2勝すれば勝ち点を最終13まで伸ばすことができる。

日本はアジアの4強にすぎない。課題は多い。第一に、オーストラリアとは2試合戦って2試合ともドロー、つまり勝っていない。当コラムで何度も書いていることだけれど、オーストラリアはドイツ大会の代表選手がいまだ主力を構成する、ロートルチーム。若手育成に失敗していて、どの試合も後半、運動量がガクッと落ちる。それでも、日本は勝てない。パワーで劣る相手に、日本は勝ちきれない。オーストラリア戦の前の親善試合に0-2で負けたブルガリア戦からもその傾向は明らかだ。ブルガリアはW杯欧州予選では2位を確保できない欧州の中堅クラス。このクラスとアウエーで五分に渉りあえるくらいでないと、W杯ベスト8の常連国にはなれない。

課題の第二は、アウエーにおける試合の進め方がうまくないことだ。アウエーではオーストラリアと引き分け、オマーンに勝ち、ヨルダンに負けた。格下のヨルダンに競り負けるようでは、この先、アジアでベスト4の地位を確保できるとは限らなくなる。日本には、ここ一番のアウエー戦に負けないような自力はついていない。

課題の第三は攻撃力の弱さだ。パスサッカーが日本の進む道だとは思うが、ゴール前で相手を完全に崩し、GKと1対1をつくって決めるというイメージが強すぎるのではないか。世界レベルのサッカーでは、とにかくまず、“シュートありき”ではないか。強いストライカーの不在が日本の最大の弱点の1つだ。

課題の第四は、とにかく“本田頼み”の日本代表だということ。課題の四にしたけれど、第一番目かもしれない。精神的にもボールキープという面でも、本田不在の日本代表はあらゆる面での「弱さ」が目立つ。

ザッケローニは、W杯予選の全過程を通じて、固い選手起用をしてきた。それが、予選突破という最低限の目標達成の最善手だったことを否定しない。結果が示す通り、ほかに打つべき手はないかのように思える。グローバルに選手が分散する今日のサッカー状況においては、代表チーム強化の手法としては、これしかないのかもしれない。しかし、日本代表が海外から呼ばれて試合ができるようになれば、いろいろな選手を起用できるのかもしれない。キリン(カップ)に縛られた国内親善試合を消化するだけでは、代表選手の発掘も実戦において果たされないのではないか。日本代表のあり方、進め方を構造改革する時期に来ている。