筆者は柳宗理のデザインに興味はない。
また、柳宗悦、柳田国男らが主導した「民芸」運動については一時期、興味を覚えたものの、最近では覚めた。
さて展示物はというと、宗理が遺贈した濱田庄司の茶碗等を除くと、エスニックな品々が主流であった。
それらの展示物は、ファインアートとは異なる、生活・民族・民俗・伝統・土着宗教等の持つ素朴さ、力強さが認められるものの、民芸品~土産物と紙一重の隔たりであり、それぞれの評価は各人の好みに帰す。
※館内は撮影禁止です。
いま世界で進行している出来事は、単なる新自由主義や社会主義を超えた、ポスト資本主義の新しい枠組み、「コーポラティズム」(政治と企業の癒着主義)にほかならない。(略)本書にはコーポラティズムに基づいて、多国籍企業がアメリカ政府に働きかけた規制緩和及び規制の数々の「成果」事例が紹介されている。たとえば、遺伝子組み換え作物(GM作物)に関する法規制をアメリカ国内において換骨奪胎させる手口だ。開発企業を守るため、規制緩和と称して、GM作物の表示義務を撤廃する一方、一般の科学者がGM種子を実験に使用することですら、特許法を盾に許可されない。開発企業に不利な表示義務は、規制緩和の名の下に撤廃され、また、開発企業にとって不利となる実験行為等は、特許という法規制によって守られる。消費者の選択する権利は規制緩和によって奪われ、GM作物の安全性を解明しようとする科学的行為は特許法という合法によって阻止される。これがアメリカ流の「新自由主義」の実態だ。どこに「自由」があるというのだ。
グローバリゼーションと技術革命によって、・・・無国籍化した顔のない「1%」とその他の「99%」という二極化が、いま世界中に広がっている。
巨大化して法の縛りが邪魔になった多国籍企業は、やがて効率化と拝金主義を公共に持ち込み、国民の税金である公的予算を民間企業に移譲する新しい形態へと進化した。ロビイスト集団が、クライアントである食産複合体、医産複合体、軍産複合体、刑産複合体、教産複合体、石油、メディア、金融などの業界代理として政府関係者に働きかけ、献金や天下りと引きかえに、企業寄りの法改正で、“障害”を取り除いてゆく。
コーポラティズムの最大の特徴は、国民の主権が軍事力や暴力ではなく、不適切な形で政治と癒着した企業群によって、合法的に奪われることだろう。(P274)
これ(=ISD条項)はたとえば韓国に投資したアメリカの投資家や企業が、韓国の国内政策によって経済的に損害を被るかその恐れがある際に、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できるという内容だ。世界銀行はアメリカ支配が最も強く、裁判は密室で行われ上訴は不可、そして判決の基準は公益ではなく、「投資家にとって不利益があったかどうか」になる。(P160)アメリカがTPPを積極的に推進しようとする背景には、世界最大規模の市場であるEC内においては、アメリカを本籍とする多国籍企業が思うとおりの経済活動ができない実態があるためではないか。ECは、社民主義の伝統が根強く、アジア・太平洋地域よりも厳しい経済規制をしいている。アメリカ政府は、人口増及び経済成長を続けるものの、ECに比べて社会の成熟度が低いアジア・太平洋圏の経済支配を狙って、TPPを梃にした外交を展開しようとしているように思える。そのことは無論、多国籍企業の意に沿ったものだ。TPPの恐怖はそこにもある。
オバマ大統領は今回新しく、議会の承認が不要なUSDA(合衆国農務省)直属機関である食糧農業国立研究所を政府内に設立、所長にはモンサント社が出資するダンフォース・プラント科学センターのセンター長だったロジャー・ビーチを指名した。ビーチは大統領選挙の際、オバマ陣営の選挙資金に大きく貢献した一人だ。「TPPのことはわからない」のではない。本書のこのくだりを読めば、多少の想像力を働かすまでもなく、TPPとは、アメリカを本籍とするバイオ関連の多国籍企業による、世界的規模の農業・穀物支配戦略の一環であることが明白となろう。ではなぜ、日本のマスメディアは、このくらいのアメリカ政府のTPPシフト人事について報道しないのだろうか。
TPP交渉における要職である、USTR(合衆国通商代表部)農業交渉主任には、以前クリントン政権下のUSDAでバイオテクノロジーを推進したイスラム・シディキが任命された。彼は世界の農薬市場の四分の三を占めるモンサント他五社を代表するロビー団体「クロップ・ライフ・アメリカ」の副社長でもある。
USDA総合担当弁護士にはラモーナ・ロメロ。モンサント社についで世界トップの農薬・種子企業デュポン社の元顧問弁護士だ。
最高裁判所の裁判官には、GM小麦アルファルファと有機農家が戦った訴訟で、モンサント社側の弁護士を務めたエレナ・カーデンが選ばれた。
モンサント社といくつもの共同事業を進めるバイオテクノロジー研究の「ビル&メリンダ・ゲイツ財団」で農業開発管理者だったラジプ・シャアは、オバマ大統領によってUSDA教育研究所次官に指名されている。(P81~82)
「レーガン政権のEPA(合衆国環境保護庁)長官とFDA(合衆国食品医薬品局)長官は、どちらもモンサント社の役員でしたし、ブッシュ政権のアン・ベネマン農務長官は元バイオ企業役員でした。クリントン政権の通商代表は元モンサント社の役員、内政アドバイザーとFDA局局長代理はその後モンサント社の役員と子会社役員にそれぞれ就任しています。こうして挙げていけばきりがありませんが、アメリカの食に関する規制緩和が、信じられないようなスピードで進められていった背景には、こうした政府と業界の癒着があったのです」前出のとおり、アメリカは変わった――にもかかわらず、アメリカ国民はそのことを知らない。そして、アメリカで起こったことが、いま日本に起こりつつある。もちろん、日本国民もそのことに気づくことがない。
「国民はこうした変化に気がついていたのでしょうか」
「・・・未だに多くの国民は、こうした事実を知りません。彼らにとって、FDAやEPA、USDA神話は、まだ強固なままなのです」
「それはどんなイメージですか」
「自分たちの食の安全や、環境と農業を誠実に守ってくれる政府の専門機関。FDAはアメリカ国民にとって最も信頼される機関の一つだと言われ、諸外国からも信用されています。近年大きなブームとなっているオーガニック食品は、USDAの認証ラベルがひとつの安心めやすになっていますからね」
かつてリンカーン大統領は、国民のいのちの元である食を守る「人民の省」としてUSDAを設立した。そのイメージは、今も消えていないのだ。
「こうなった原因はどこにあると思われますか」
「独占禁止法の規制緩和と寡占化で企業規模が大きくなりすぎたこと、そこに1999年の〈グラススティーガル法(金融規制法)〉撤廃が想像を超えた儲け方を可能にしてしまった。勝ち組になったウォール街と企業がタッグを組んで、途方もない資金力でマスコミや政府を買うようになってしまったのです」
「国民の多くが知らないうちにですか」
「大半は何が起こっているのかさっぱりわかっていないでしょう。国民が法律そのものに関心をまったく払わないことに加えて、企業はその資金力で政府だけでなく、必ずマスコミも一緒に押さえるからです。こうすれば国民に気づかれずに都合のいい法改正を行える。一日の平均視聴時間が8時間以上のテレビ社会アメリカでは、国民の思考は番組制作者が形成するのです」(P83~84)
80年代から加速した規制緩和と民営化、垂直統合、政府・企業間の回転ドア、ALEC(米国立法交流評議会)、そして市民連合判決といった動きが、アメリカを統治政治から金権政治へと変えていった。寡占化によって巨大化した多国籍企業は、立法府を買い、選挙を買い、マスメディアを買うことでさらに効率よくその規模を広げてゆく。アメリカの二大政党制は――繰り返し述べることになるが――マスメディア、とりわけ大手テレビ局がつくりあげたイメージの産物でしかない。民主党もしくは共和党のどちらの候補者が大統領になっても、多国籍企業、投資家・株主、一部のIT企業といった「1%」の側の利益となる政策が遂行されるだけだ。
「最大の問題は、こうした動きが国民の知らないところでスピードを上げていることです」そう言うのは、2010年の中間選挙でカリフォルニア州の第三党から州議会議員に立候補したジル・スタインだ。
「大企業は吸収や合併を繰り返し巨大化するにつれ、無駄がなくシステマティックになってゆきます。この動きは年々加速しているにもかかわらず、あまりに洗練されているので国民の意識がついていけない。その時差をマスコミがさらに利用するのです」
「どんなふうに利用するのでしょうか」
「たとえば、選挙の時期になるたびに、マスコミはこの国にまだ二大政党制が機能しているかのようなイメージを振りまいてきました。保守対リベラル、共和党対民主党、赤い州対青い州、といった具合です。大衆は分かりやすい構図を好みますし、CMも二つの対立軸を煽るように作られている。国民を高揚させるようにデザインされているのです」
「そのことの弊害とは何でしょうか」
「国民がマスコミと政治家によって見せられるイメージと、実際に起きていることのギャップの大きさです。2012年の大統領選挙では、「1%」の代表であるロムニーが金権政治の象徴で、オバマがその逆であるかのようなイメージが、テレビ画面を通じてリベラル派の間に広がりました。反ロムニー感情を煽られたリベラル派の多くは、あっという間に忘れてしまったのです。オバマ大統領が2008年に就任した直後に、いったい国民の税金を何に使ったのかを」
2008年、政治資金監視団体の「オープン・シークレット(Open Secrets.Org)」は、オバマ大統領が公的資金注入を実施した大手保険企業であるAIG社から、選挙の際に10万4332ドル(約1043万円)の献金を受け取っていた事実を公表している。
「税金から1730億ドル(約17兆円)もの公的資金を受けて経営破綻を逃れたAIGは、その後幹部に1億6500万ドル(約165億円)、従業員に2億3000ドル(約230億円)のボーナスを支払い、国民の怒りを買いました。国内の失業率が10%を超えているのに、救済金は一般市民や中小企業ではなく金融機関幹部に流れた。その行く先はオバマ大統領の選挙スポンサーリストとピッタリ合っているのです」
たしかに政治献金の内訳を見ると、当選後の政策と明らかにリンクしているのが分かる。2008年のオバマへのトップ献金元リスト上位に並ぶのは大手金融機関だ。AIG社が受け取った公的資金の半分が流れた同社の大株主で最大債権者のゴールドマン・サックスは、オバマ献金リストの第二位にいる。(P234~236)
民主党大物OB 党再生に菅、野田氏ら「悪霊」の「除霊式」提案筆者も平野氏の見解に全面的に同意する。民主党政権と一口に括ることが多いが、政権奪取当時の小沢一郎幹事長及び鳩山由紀夫代表(首相)を執行部とする第1次民主党政権と、菅、野田が首相となった第2~3次民主党政権とは、その性格が水と油ほども違う。第1次民主党政権は、普天間移転問題で「県外」を掲げてマスコミに袋叩きにあい、さらに、政治資金問題に係る検察・マスコミのテロで倒壊してしまった。鳩山の場合は、実母からの政治資金提供疑惑、小沢の場合は「陸山会事件」である。その結果、小鳩はほどなく政界から事実上、追い出された形となって今日に至っている。
今回の参院選では27議席減、先の衆院選では174議席減という選挙結果が示す通り、民主党は堕ちるところまで堕ちた感がある。「もはや解党するしかない」という声も上がるが、ここまでくればもう守るものなんてない。ぜひ決死の覚悟で「再生プラン」をブチ上げていただきたい──。誠に僭越ながら、勝手に民主党再生プランを考えてみました。
同党の大OBである元参議院議員の平野貞夫氏が、愛憎込めて提言するのは「除霊式プラン」である。
「民主党が国民の信頼を取り戻せないのは、ひとえにマニフェストを反故にし、消費増税を決めた裏切り行為にある。主要政策のための予算16兆8000億円は“財源がない”ということになってしまったが、徹底した歳出見直しや埋蔵金探しをすれば必ず出たはず。
それなのに民主党執行部が官僚に手玉にとられて、予算作りを放棄してしまった。消費増税にしても、財務官僚や自民党にコロッとだまされて決めてしまったこと。この党が新たな道を進むには、それらを推進した民主党内の“悪霊”たちを一気に追放する“除霊式”を大々的にやるしかない。菅直人、野田佳彦の両首相経験者は当然のこと、岡田克也、前原誠司、安住淳ら元執行部は全員“悪霊”だ」
「キョンシー」に出てくるような除霊のお札を、この面々のおでこに「バチーン!」と貼れたらさぞ痛快に違いない。除霊式には民主党員のみならず相当の観衆が集まるはずだ。(『週刊ポスト2013年8月9日号』より引用)
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| Zazie |
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| Nico |
表面的には彼女は、進化論と心霊主義の両者を、截然と否定した。すなわち、進化論に対しては、生命の物質的側面のみに着眼した誤った理論であると批判し、心霊主義に対しては「夢魔」のような低級霊に憑依されることによって生じた幻の現象にすぎないと断じたのである。
とはいえ、ブラヴァツキーの真意が、この両者を単に否定し去ろうとすることであったとは思われない。むしろ彼女は、進化論と心霊主義の構想を巧みに融合させ、人間の生きる目的は、高度な霊性に向けての進化にあることを明らかにしようとしたのである。(P33)
原初においては、「永遠の親」という女性の神格が存在し、彼女は「処女卵」を抱いて眠り込んでいた。するとあるとき、そこに一条の光が差し込み、処女卵は「世界卵」に変容する。やがて世界卵は孵化し、そこから「子なる神」と呼ばれる宇宙意識が誕生する。子なる神は、宇宙を創造するために、「七大天使」や「十二星座天使団」と呼ばれる天使たちを生み出す。そして神と天使たちは、光線を降り注がせることによって、太陽系の惑星霊たちを創造する。
太陽系の創造者である宇宙意識としての神は、「デミウルゴス(ギリシャ語の「創造者」)」や「ロゴス(ギリシャ語の「言葉」)」、あるいは「太陽系」と称される。そして神は太陽系に7つの周期(ラウンド)を設定することにより、その進化を促進しようとする。(P35~36)
先に述べたように太陽系においては、進化に関する「七つの周期」が設定された。そしてSDによれば、地球に霊が誕生したのは、七周期のうちの第四期に当たる。そして七つの周期は、地球上での人類の進化においても反復される。すなわち、地球においては人類は、7つの段階の「根幹人種」を経て進化してゆくのである。(P36~37)地球は最初自らの力のみによって生命体をつくりだそうとしたが失敗し、結果として誕生したのは半漁人、有翼人、山羊人間といった半人半獣の奇異な怪物たちばかりであった。天使たちはその肉体を嫌悪し、そこに霊を住まわせようとはせず、炎によって彼らを絶滅させたという。それを見た地球は太陽神に対して、知恵を備えた霊的生命体を授けるよう祈念する。太陽神はそれに応えて七大天使たちに人間を創造するよう命じた。その結果、天使たちがそれぞれ人間の原型を作成し、それをもとに、地球に生み出されたのが7つの根幹人種ということになる。根幹人種の概念は、今日のオカルト思想にしばしば応用されるものなので、少し長いが全貌を見ておこう。
地球における最初の人類、すなわち第一根幹人種は、北極周辺に存在する「不滅の聖地」に出現した。しかしその場所は、不可視の非物質的領域であり、そこに現れた人間も、天使によって与えられた「アトラス体(星気体)」という霊的身体をもつにすぎなかった。不滅の聖地は、地球における人類発祥の地であると同時に、人類が第七根幹人種にまで進化した際に再び回帰する場所とされる。(P38)以下、その名称(及び出現した場所)等を記す。
- 霊性進化――人間は、肉体の他に「霊体」を持つ。人間の本質は霊体にあり、その性質を高度なものに進化させてゆくことが、人間の生の目的である。
- 輪廻転生――人間は、霊性を進化させるために、地上界への転生を繰り返す。地上での行いは「カルマ」として蓄積され、死後のあり方を決定する。
- 誇大的歴史観――霊体を永遠不滅の存在であるため、個人の歴史は、天体・人種・文明等の歴史全体とも相関性を持つ。これらの集合的存在もまた、人間と同様に固有の霊性を有し、円環的な盛衰を繰り返しながら進化を続けている。
- 人間神化/動物化――人間は霊的な成長を遂げた結果として、神のような存在に進化しうる。しかし、霊の成長を目指さず、物資的快楽に耽る者は、動物的存在に退化してしまう。
- 秘密結社の支配――人間の進化全体は「大師」「大霊」「天使」等と呼ばれる高位の霊格によって管理・統括されており、こうした高級霊たちは、秘された場所で結社を形成している。他方、その働きを妨害しようと目論む悪しき低級霊たちが存在し、彼らもまた秘密の団体を形成している。
- 霊的階層化――個々の人間・文明・人種は、霊格の高さに応じて階層化されている。従来の諸宗教において「神」や「天使」と呼ばれてきた存在の正体は低級霊である。
- 霊的交信――高級霊たちは、宇宙の構造や人類の運命など、あらゆる事柄に関する真実を知悉しており、必要に応じて、霊媒となる人間にメッセージを届ける。
- 秘教的伝統・メタ宗教――霊性進化に関する真理は、諸宗教の伝統のなかに断片的な形で受け継がれている。ゆえに、それらを総合的に再解釈し、隠された心理を探し当てる必要がある。
「現代の危機」から霊的脱出路を求めている・・・西欧と北米の人びとは、伝統的宗教組織に心の支えを見出しているのでもないし、世界を解明し、改革し得ると主張する世俗的組織(いわば政治的イデオロギーと科学的世界観)によってこうした問題を解決できるとも思っていない。だから、彼らのうちには意味の空白を満たしてやろう、と呼びかけてくる秘教的、あるいはオカルティズムの教えに惹かれる人たちもいる。いわゆるニュー・エイジ運動は、これらの教えを受け容れる貯水池となっている。
この運動を正確に述べるのは、難しい。というのは、この運動は統一的組織をもたず、拘束的教義もなく、世界観の共通性も僅かしかないからである。この運動を結び付けているのは、ある種の強い帰属感情である。したがって、ニュー・エイジ運動とは、「合理的に伝達されて、広い範囲に影響を及ぼす拘束力よりも、並列している諸傾向の感情的結合を強調する、新しいタイプの社会《運動》である。」(Pilger/Rink)
こうした諸傾向には、神秘主義、秘教、オカルティズム、現代の西欧自然科学、すなわち心理学(とくにW・ライヒとC・Gユングのそれ)の諸要素、心理療法のさまざまな流れ、ある種の再生思想という西洋宗教の概念装置、それに前キリスト教、あるいは非キリスト教の種族宗教もしくは自然宗教のインパクトがある。とくに、後者には「シャマニズム」「新魔女(ノイエ・ㇸクセン)」、それにケルトとゲルマンの「叡智の教え」がある。
(略)
この運動は、現代社会が生存の危機に陥り、破滅の淵に瀕している、という意識をもち、調和に満ちた、新しくより高度な時代――ニュー・エイジの名称も、ここに由来するのだが――の到来に備えて、「転換期」に生きる思想に革新する。
この「転換期」は占星術的解釈を取り入れた天文学のモデルによって説明されている。「地軸が徐々に回転することによって、天の赤道と黄道の交点は黄道の獣帯(黄道十二宮)上を逆向きに移動してゆく。」今日、この交点は黄道十二宮の魚座と水瓶座の間にあり、それゆえ新しい時代はニュー・エイジ運動では「水瓶座時代」と呼ばれている。
危機意識から生じた意味喪失感から、多くの人びとは宗教問題に対し関心をもつようになっている。現代の産業社会の、絶えず増大している現世志向と世俗化傾向は――マックス・ヴェバーはこれを「世界の脱呪術化」と特徴づけた――多くの現代人にはいまや自明の事柄であるし、あるいはまさにこの傾向こそが、現代の体制危機の原因だと考えられている。かといって伝統的な教会に戻ることもできない。教会こそが現代の危機を招来した共犯者である、と時には考えられているのだから。
これに対してニュー・エイジ運動は、「世界の再呪術化」と呼びうるような、そして前近代的で神秘主義的――呪術的世界像の諸要素を復権させるような、一種のパラダイム転換を要求しているのである。
さらにニュー・エイジ運動は、現代社会の方向喪失現象に対して、秘教思想の入り混じったさまざまな心理療法の技法によって、「自己の根源と根底」を再発見することを提唱する。こうすることによって、合理的・直線的思考とは異なる、水瓶座時代への移行にふさわしい、全体的・循環的な「新しい意識」も人間のうちに目覚めさせられるのだ、と云う。
結局のところ、彼らは、支配的な科学にある自然科学の一面的な合理的見方に代わって、現代自然科学の成果と宗教的・神秘的内容を混ぜ合わせることによって、「全体的世界観」を生み出そうと望んでいる。この点で、とくにエコロジーの傾向が重視されている。
ニュー・エイジ運動の歴史的基盤と資源は神智学である。神智学はすでに一世紀以上も前に、当時の人びとのオカルティズムや仏教・ヒンドゥー教の宗教の装置と、当時流行していた自然科学理論、とくにダーウィン主義・ヘッケルの一元論を、ニュー・エイジと似たようなやり方で綜合していた。神智学とニュー・エイジの親近性は、たんに世界像と個々の思想が似ている点だけでなく、ニュー・エイジの主導的支配者らが、かつて神智学運動に加わっていたし、現在も参加している、ということでも示されている。(前掲書P2~4)