2018年5月10日木曜日

高桑常寿写真展(5/10~16)

「高桑常寿写真展 アフリカ・ミュージシャンの肖像2018」のオープニングパーティーに行ってきました。

アフリカ民族音楽の演奏などあり、盛り上がりました。

高桑常寿さん







2018年5月9日水曜日

NPB、30試合を消化

大谷翔平の「二刀流」の成功、イチローのアドバイザー就任(事実上の現役引退?)と、ここのところアメリカ・メジャーリーグ(以下「MLB」と略記)の「ビッグニュース」が日本の野球界を席巻している今日この頃。

大谷の評価はまだ早い

前者については、いまは評価する時期でないと筆者は考える。いまのところ大谷の挑戦は順風満帆のように見えるが、シーズンは長い。広大な北米を戦場とするMLB、大谷が順調なままシーズンを終えるとは考えにくい。過労、体調不良、故障がないことを祈っているが、筆者の予感では、大谷の「二刀流」挑戦はシーズン半ばで頓挫する。

イチローの身柄は来年日本開催試合まで凍結か

後者については、MLBが来年予定している日本開催試合(マリナーズVsアスレチックス)にイチローを利用しようという目論見が見え隠れする。マリナーズ及びMLBは、彼を興行的成功のための担保としたようだ。

イチローは現段階では戦力外だが、来年、日本に選手として凱旋すれば、MLBの日本開催は興行的に成功する。だから彼に引退してもらっては困るし、他球団(NPBのどこか)と契約してもらっても困る。イチローにとっては、マイナーに落とされる屈辱を回避できるし、今シーズン、マリナーズに故障者が出れば、選手復帰も可能となる。現役引退は来年日本開催のMLBの試合となれば、イチローのプライドも満たされる。

セリーグ順位は筆者の予想どおり

 さて、日本プロ野球(以下「NPB」と略記)は各チームとも概ね、30試合を消化した。この段階で今シーズンの行方が読み通せるというのが球界の常識となっている。5月8日時点のセリーグ順位を見ると、①広島、②阪神、③読売、④DeNA、⑤中日、⑥ヤクルトとなっていて、筆者が開幕前に予想した順位とぴたりと一致する。このままの順位で行ってもらいたいものだ。

想定外は読売の岡本和真、吉川尚輝、小林誠司の打撃の好調ぶり。岡本が打率3割以上を維持しているのは驚きだ。吉川、小林はここにきて下降傾向にあるが、岡本は好調を維持している。

この好調ぶりの主因は、他球団の岡本対策の誤りにある、と筆者は考える。開き気味の岡本に対して、相手投手が遅い変化球(スライダー、カーブ等)を真ん中から外角高めに投じて打たれているケースを散見する。岡本は速球が苦手で、とりわけインハイ、インローはほぼ打てない。そのかわり、遅い変化球の高めは多少外側でも強引に叩いて、ヒットするパワーがある。彼は、読売から日ハムに移籍した大田泰示に似たタイプ。

パリーグ、楽天最下位とは想定外

パリーグはまるで予想外の展開。①西武、②ソフトバンク、③日ハム、④オリックス、⑤ロッテ、⑥楽天で、しかも楽天は勝率2割5分8厘、と驚きの低率だ。

筆者の予想は、楽天2位だった。楽天には頑張ってもらいたい。首位西武だが、エースの菊池雄星が故障して黄色信号が灯った。筆者の予想では西武の弱点は先発投手陣だったから、菊池の故障は痛いだろう。


イギリスからお客様

娘のイギリスの友達が婚約者を連れて来日。

拙宅に遊びに来てくれた。

彼の仕事はシェフとのことで、日本料理に興味津々。



2018年5月5日土曜日

ジャックと谷根千

今宵はイングランドのミュージシャン(ドラマー)、Jackを谷根千にご案内。

根津の路地にて

REN(根津)

オーナーご夫妻と記念写真

2018年5月1日火曜日

ハリル解任の深層

サッカー日本代表監督を解任されたバヒド・ハリルホジッチ氏(以下「ハリル」と略記)が27日、都内の日本記者クラブで会見した。この会見で解任のすべてが明らかになったわけではないが、ハリルの発言及びJFAに忖度する必要のない良心的ジャーナリストの記事から、解任劇の真相らしきものがうかがえるに至った。

続出するスポーツ団体(公益財団法人)の不祥事と同類

今回の解任騒動というのは、ここのところ続出しているスポーツ団体の不祥事と変わらない。パワハラ、セクハラ、金銭トラブル、権力闘争・・・その多くが公益財団法人でありながら、情報公開は不十分なまま。公益法人の認可を行う内閣府にはそれら団体の資質を見抜く力や管理する力もないことを実証している。内閣府から認可権を剥奪して、新たな委員会を設置したほうが良かろう。

ハリル解任の3つの因子

さて、JFAがハリルを解任するに至った因子は一つではない。複合的ではあるが、どれも純粋スポーツ的見地からではない。もちろんサッカー日本代表強化のためのものでもない。

その因子は(一)JFA内の権力闘争、(二)代表選手の一部が解任をJFAに申し入れたこと、(三)は(二)と関連するが、前出のハリル解任を望んだ代表選手と代表スポンサーとが、ハリル解任で利害を一にしたこと――と要約できる。田嶋幸三JFA会長(以下「田嶋」と略記)は先の解任発表会見で、“解任理由は監督と選手とのコミュニケーション不足”と説明したが、ハリルは会見で、そのことをきっぱりと否定している。

ハリルをロシアに行かせたくなかった田嶋

(一)については、サッカージャーナリスト宇都宮徹壱氏(以下「宇都宮」と略記)のコラム「ハリルが去り、われわれに残されたもの」に詳しいので、そちらを参照してほしい。

宇都宮の見解を大雑把に抽出すると、ハリルを代表監督に招聘した霜田正浩(当時)技術委員長(以下「霜田」と略記)は、田嶋と会長選挙(2016年1月)の座を争った原博美(当時)専務理事(以下「原」と略記)の片腕だった。つまり、ハリルは、原―霜田ラインが決めた代表監督であり、田嶋の政敵が執行した人事だった。

かりに、ハリルがロシアW杯でベスト16入りを果たしたとしたら、田嶋の政敵、原―霜田の執行の正しさが証明され、田嶋は選挙に勝ったものの、会長の正当性は継続しない。田嶋にしてみれば、絶対にハリルをロシアに行かせるわけにいかなかったのだ。

ハリルを更迭せず、日本代表がW杯で惨敗したらどうなるのか。当然、現会長である田嶋の責任が問われることになる。なぜ、ハリルをW杯前に代えなかったのかと。田嶋の立場としては、ハリルで勝っても負けても、せっかく得たJFA会長の座は怪しいものとなる。

ではなぜ、田嶋はハリルをせっせと解任しなかったのか、土壇場での解任に至ったのか。それはハリルがW杯アジア予選を勝ち抜いた実績があり、しかも、ハリルが会見で反論したように、最近の日本代表チームにおける監督(ハリル)と選手の関係が概ね、良好だったからだろう。つまり、ハリルを解任する決定的理由が見つからなかったのだ。

ハリル解任を決定づけたベルギー遠征

ところが、昨年12月のE1における韓国戦惨敗、今年3月ベルギー遠征におけるマリとの引分、ウクライナ戦の負けが状況を変えた。この間の代表戦は試合内容が最悪に近く、加えて、マリ、ウクライナがW杯予選敗退国だったことも重かった。予選敗退国に負けたのだから、本戦で勝てるわけがないと。ここで田嶋はハリル解任の決断に至ったと推測できる。

反ハリル派代表選手、スポンサーからも解任の圧力が?

それだけではない。ベルギー遠征前から、田嶋の耳にはハリル解任の内外から圧力は感じていたはずだ。代表選手とスポンサー契約を結んでいる大企業、代表戦視聴率を気にするテレビ等が大手広告代理店を介してJFAに圧力をかけていたはずだ。それらの声が最大ボリュームとなったのは、前出のベルギー遠征の第二試合、ウクライナ戦ではなかったか。この試合で先発したある選手(以下「H」と略記)が、反ハリル派の頭目とされる。そのHが低調な動きで途中交代したことを記憶している方も多いと思う。つまり多くのスポンサー契約を抱えるHが、ハリルにより、ロシアW杯代表選手から外される可能性が高まったのだ。もう一人、JFAの有力スポンサーであるA社と契約している選手(以下「K」と略記)も、ハリルの構想外だったから、KはHと同調した可能性が高い。

監督と一体のはずの技術委員長が後釜とは呆れてものもいえない

状況は煮詰まっていたが、それだけでハリルを解任することはできない。ポストハリルをだれが務めるのか?田嶋がハリル解任を決断できたのは、西野朗技術委員長(以下「西野」と略記)から、代表監督就任の了承を得たからだろう。これもまた、田嶋にとって好都合だった。西野がロシアで結果を出せば、功績はハリルを解任した自分と現場の西野が共有すればいい。負ければその責任は前任のハリルと西野が負えばいいことになる。西野は技術委員長在籍中、ハリルとあまり交流がなかったという。これも奇怪な話で、本来ならば、技術委員長(西野)と監督(ハリル)は一体であって、ハリルが辞めるならば西野も辞めるのが筋。西野がハリルの後を引き継ぐのは、西野の技術委員長としての瑕疵を放免することになる。

このたびのハリル解任は権力闘争とスポンサー対策の結果である。ハリルと西野の新旧代表監督は、田嶋の権力欲の犠牲者にほかならない。この解任騒動によって、田嶋は日本代表がロシアで勝とうが負けようが、しばらくの間、JFA会長の座を安定的に維持できる。ハリルを追い出した田嶋のおかげで、本来ならばW杯代表メンバーから外された可能性が高いH及びKのロシア行きも確約された。代表スポンサー、テレビ、大手代理店からもその功績が認められることとなろう。

西野はたとえ、ロシアで結果を出せなくとも、期間が短かったという言い訳がたち、責任論は噴出しない。本人のやる気次第では、次のW杯まで代表監督の座が約束される。日本サッカー界における邪魔者はハリルただ一人だった。

ハリル解任のアシストをした多数のサッカージャーナリスト

ハリルを代表監督から外すには、JFA会長、代表選手、スポンサー、テレビ、大手広告代理店といったステークホルダーの圧力だけでは実現しない。彼らの意思を、メディアを介して大声で叫び続けたサッカー解説者(元代表選手)、同コメンテーター、同ライターらの存在を忘れてはならない。彼らは、表向きサッカー戦略及び戦術の面でハリルを批判したかのようにみえるが、すべて見せかけである。プロのサッカージャーナリストならば、日本が惨敗したブラジル大会(2014)以前の「自分たちのサッカー」に戻ってみたところで、ロシアで勝てる可能性は低いと考えるのが自然だろう。

ハリルの会見の後を受けて、醜悪な発言でハリル再批判を行ったのは田嶋であったが、JFAの太鼓持ちのサッカージャーナリストも同様に、ヒステリックに「ハリルでは勝てない」を繰り返すばかり。ならば、「西野で勝てる」根拠を示してもらいたいものだ。

加えて、解任騒動前から、ハリルと選手との「コミュニケーション不足」を記事にしたサッカーライターも多かった。彼らは取材で得た情報ではなく、JFA及び代表選手の一部がリークした話を記事にした可能性が高い。

ハリル解任の不自然さを冷静に伝えた少数のライターの存在が救い

前出の宇都宮を筆頭に、少数ながらハリル解任の不自然さを記事にしたサッカージャーナリストがいたことが救いである。熱烈な代表サポーター及びナイーブ(うぶ)な代表ファンがいまいちど、彼らの記事を読みかえし、彼らが展開したJFA批判に同調してくれれば、日本代表のガラパゴス化は回避できる。

2018年4月27日金曜日

『昭和維新試論』

●橋川文三〔著〕 ●講談社学術文庫  ●972円(キンドル版)

宣伝文にはこうある――“本書は忌まわしい日本ファシズムへとつながった〈昭和維新〉思想の起源を、明治の国家主義が帝国主義へと転じた時代の不安と疎外感のなかに見出す。いまや忘れられた渥美勝をはじめとして、高山樗牛、石川啄木、北一輝らの系譜をたどり、悲哀にみちた「維新者」の肖像を描く、著者、最後の書。(講談社学術文庫)”

本書最終章「国家社会主義」の終わり方のあまりの唐突さに、著者(橋川文三/1922-1983)の書き続けたかったはずの強い意志の反転をみた。

日本人は〔革命〕ではなく〔維新〕に共鳴する

〈昭和維新〉とは、一般に「1930年代(昭和戦前期)の日本で起こった国家革新の標語である(Wikipedia)」と考えられている。それは流動的かつ情況的ムーブメントでありスローガンである。インシデントとして挙げれば、「五・一五事件」(1932、昭7)「二・二六事件」(1936、昭11年)となろうが、両事件が示すように、〈昭和維新〉が成就されたものなのか、されなかったものなのかについては明確でない。

日本では、閉塞的情況の打開の動きを「〇〇維新」とするのが常である。革命と同義のようだが、日本人は「維新」の方に親和性を覚える者が多い。そのことは日本人の明治維新に対する郷愁であり崇拝の念であり、国家・人心の一新は、明治維新のようであってほしいという願望の現れである。

新しいテロリスト像の出現

本書は朝日平吾について触れることから始まる(「序にかえて」)。朝日は当時の金融資本家で、東大安田講堂の寄贈者として知られる安田善次郎を暗殺(1921、大10)したテロリストであるのだが、彼を「大正デモクラシー」の陰画的表現と評し、朝日平吾の人物像に当時の右翼、左翼、アナーキズムへ奔った青年たちと共通する、感傷的な不幸者の印象を認める。それは明治維新直後に起こった士族反対派が抱いたテロリズムの心情とは異なっていた。朝日の心象は、「不可解」と遺書に記して(1903、明36)華厳の滝に飛び込んだ藤村操と共通するものだともいう。本書によれば、“〈昭和維新〉というのは、そうした人間的幸福の探求上にあらわれた思想上の一変種であった”ということになる(テロ・自殺が人間的幸福の探求なのかどうかについては疑義を挟む者もいるかもしれないが)。

このことの情況的説明は次のとおりとなろう。明治維新(1868)からおよそ30年間の日本が近代国家としての第一段階を歩んだ時代――牧歌的近代国家建設期だとするならば、日清(1894、明27)・日露(1904、明37)という2つの大戦を経験した後の日本は、第二段階――帝国主義国家への移行とその完成に向けた時代に該当するということだ。〈昭和維新〉は、その変容を契機として産み落とされ、いくつかの屈曲を経て成長した、(思想・運動の)妖怪といえる。

明治20年代から始まった維新国家の変容

本書は〈昭和維新〉の思想を論評するにとどまらず、そこに至るまでの日本のさまざま思想的潮流を明らかにする。前出の、「神政維新」「桃太郎主義」を唱えた渥美勝(1877-1928)――彼はその粗末な身なりと風貌と思想性から、第一次世界大戦後のワイマール(ドイツ)に出現した、インフレ聖者を彷彿とさせる。高山樗牛、石川啄木からは、明治青年の疎外感、不安感がうかがえる。

そうした明治後期から大正初期の日本人に対して日本国が発出したのが「戊辰証書」(1908、明41)であり、後の「癸亥詔書」(1924、大13)である。これらは日本人のあるべき姿を国が示したものであると同時に、当時の日本人は国が望む人物像から逸脱し、制御不能な様態を呈していたことを逆証する。では、当時の日本人はどんな価値観を持っていたのだろうか。

日清日露大戦後の日本の若者は、国家主義から個人主義、本能主義、官能主義に傾倒する者が少なくなかった。その結果として、宗教的神秘主義への傾斜も認められたというが、いかに成功すべきかの立身出世の世俗主義も世を覆っていたという。

当時、帝国主義国家を目指す日本政府から見れば、このように著しく後ろ向きの風潮は好ましくなく、早急に糺すべき対象であった。そのようなとき、日本国が思想的・道徳的な核として据えるのが日本化された儒教思想であることは覚えておいていい。そしてその場合、維新は弁証法的な革命としてではなく、神代への復古を目指した改革運動として現れる。明治維新がその祖型であり理想とされる。もちろん、それは天皇を頂点とし、日本化された儒教思想によって下位に位置づけられた従順な臣民という構造をもち、同時に野蛮な尊王攘夷と淡麗な日本的美意識で飾られたものとなる。

〈昭和維新〉の推進母体=国本社の創設

日本は第一次世界大戦(1914、大3)を境として、深刻な閉塞状態に陥る。ロシア革命(1917、大6)、関東大震災(1923.9、大12)、虎ノ門事件(摂政暗殺未遂事件/1923.12)等により社会は騒然となり、共産主義(日本共産党結党/1922、大11)、社会主義、無政府主義が台頭する。

そのような情況下、〈昭和維新〉は民間、官界、学界、政界を巻き込んだ最強のムーブメントへと成長していく。その萌芽は、「老壮会」、「猶存社」を経て結成された国本社(創始者は平沼騏一郎)の誕生(1924、大13)であろう。同会の構成員は軍人19名(陸軍10、海軍9)、官僚(司法関係8、内務6、外務3、大蔵2)等と多岐にわたり、同社が目指したのは政治と道徳の一体化であった。それは前出の日本的儒教と日本的美意識が融合した民族主義の哲学にほかならない。同会は前身の猶存社に北一輝が参加するに至り、〈昭和維新〉遂行の強力な思想性を獲得する。

北一輝の思想

北一輝は今日、彼を教祖的指導者として担ぎ上げ、「二・二六事件」等を起こした陸軍皇統派のイデオローグとして否定的評価を受けているが(実際に統制派により処刑された)、本書(14章:北一輝の天皇論)において、北と皇統派の思想的差異が明確に整理されているので、この章はぜひとも読んでいただきたい。

北の天皇論は、明治憲法の正統的解釈とされてきた天皇と国民の関係――主権者天皇の統治対象としての国民という関係(=天皇の国民)を転倒し、天皇を民族社会の有機的統合と発展を代表する「国家の一分子」としてとらえ(=国民の天皇)、国民は天皇とともに国家の最高機関を形成すると考えるものであった。

その特徴は次の通り。
  • 天皇論としては、明治期の伝統的な国家論の全面的否定の上に組み立てられていること
  • 天皇存在の根拠を何らかの古い伝統的信条もしくは「迷信」の援用に頼ることなく、基本的には西欧近代の国家哲学にもとづいて弁証しようとしたこと
  • 国民論としていえば、それを「臣民」としてではなく、近代的な意味での「ネーション」と同じものとしてとらえようとした。

北一輝を誤読・単純化した皇統派

一方、陸軍青年将校・士官学校生らは北一輝の思想について、天皇を頂点とし、その下に臣民を直接的に配置することが必要だというふうに単純に理解した。「一君万民」である。皇統派は、社会の諸悪の根源は、天皇と国民(臣民)の中間に巣食う政治家、官僚の悪政であると。それゆえ、自分たち(皇統派)が中間に位置する政治家・官僚を暴力的に一掃すれば、(明治維新がなしえたような)天皇の善政に復古すると考えたのだ。皇統派の維新を目指した一連の蹶起を〈昭和維新〉とするならば、それは頓挫した。

しかしその終息にあたったのは軍部の反対勢力、すなわち、皇統派と対立していた統制派であった。〈昭和維新〉は陸軍内部の主導権争いとして始まり、皇統派の排除により、新たな生命を与えられ延命した。その延命は、日本を悲劇へと導くものとなった。〈昭和維新〉の第二幕である。

統制派が推進した総力戦体制

皇統派を鎮圧したのは統制派とよばれる陸軍幹部、上層部であった。では統制派とはどのような勢力なのだろうか。のちに日本を破滅的危機に導いた統制派について、現在の日本人は多くを知っていない。

本書によれば、統制派とは「高度な総力戦に備えて軍の統制を制度と人事によって強化し、その組織的圧力によって国家全体を高度の国防国家に止揚しようとするもの」だという。統制派のイデオローグは永田鉄山(陸軍中佐)。永田が唱える高度な総力戦とは、欧州を主戦場とした第一次世界大戦が国家と国家の総力をあげた戦争であったとの認識から出発した国家観である。戦争とは、軍事はもとより、経済・物流・思想・文化・メディア・・・といった国家の総力が激突する戦いだという認識である。こうした認識は間違ったものではない。第一次世界大戦後の欧米の帝国主義諸国は、戦争をそのように認識していたのだから。

そして統制派が軍部のみならず、政治の実権を握った時、日本は総力戦体制を整え、国防から無謀無策の侵略戦争への道を進んだ。そのとき国民を統治したイデオロギーは、統制派が鎮圧した皇統派のスローガン、「一君万民」であったことはいうまでもない。国民は天皇の赤子として、天皇のための戦争で死ぬことが名誉とされた。〈昭和維新〉は1945年(昭20)、およそ320万人の戦死者を出して終わった。

2018年4月26日木曜日

JAKE BUGG Solo Acoustic Tour

JAKE BUGGのコンサートに招待され、恵比寿のリキッドルームに行ってきた。

ギター一本のソロコンサートなので、彼の曲をじっくり聞けたかな。

アフターショーでは知人のジャックのおかげで、ジェイク直筆サイン入りCDをプレゼントしてもらった。




後ろで写真撮影しているのがジャック

ライブ終了直後のジェイク

ジェイクが目の前でサインしてくれたCD

2018年4月23日月曜日

サルデスカ(スペイン・バスク料理)

娘のちょっと早めの誕生日会。

鶯谷(東京・台東)のサルデスカにて開催。

日本では珍しいスペインバスク料理のお店です。










2018年4月11日水曜日

非常識な監督交代 JFA、ハリル日本代表監督を解任

 日本サッカー協会(JFA)が9日、都内のJFAハウスで会見を開き、田嶋幸三会長がバヒド・ハリルホジッチ(以下、「ハリル」と略記)監督の解任と、西野朗技術委員長を新監督とする人事を発表した。解任理由は、ハリルと代表選手とのコミュニケーション不足、摩擦などだという。ウクライナ戦の後、監督と選手の状況が悪化し、解任の決定打になったという。



ハリルの方針は日本代表に定着せず

今回のハリル解任劇を端的にいいあらわせば、〝JFAが一部選手の私利と企業利益の追求に屈した、悲しくも非常識な「惨劇」であった”といえる。それはサッカーというスポーツとは乖離した茶番ともいえる。このことの詳細を以下に示す。

筆者は直前の拙Blogにおいて、「ハリルの4年間の仕事は失敗」と書いた。アジア予選を突破したという実績がありながら、なぜ、失敗なのか。その回答は、先のベルギー遠征の2試合(3月23日マリ戦・3月27日ウクライナ戦)を見れば自明なこと。相手はアフリカ地区、欧州地区におけるW杯予選敗退国。ハリル率いる日本代表は、その2チームに対して、サッカー全般で劣っていた。ハリルのチームづくりは4年間、空転していたことは明らかだった。

日本のメディアに巣食う「反ハリル」の代弁者たち

ハリルの「縦に速い攻撃」が日本人には合わないとか、「パスを回せ」とかのメディアの騒音は一貫して日本のサッカーメディアの内側に存在し続けていた。サッカー評論家(元代表選手)、フリーライターがその発信元。彼らは明らかに、反ハリル勢力の代弁者であり、その筋の者、その筋のポチである。彼らは、ハリル解任に尽力した代表の一部の選手及びJFA、電通(アディダスを筆頭とする日本代表のスポンサー各社及びテレビ局の代理人)の意図を汲んだ発言者である。

ハリルの解任理由は、選手と監督の戦術面のディスコミュニケーションだというが、筆者にはそう思えない。監督と選手の関係は緊張に満ちたもの。監督の好みが選手起用を左右することは珍しくない。力がありながら、招集されない選手もいる。それが、代表サッカーである。監督の方針によって、W杯で招集されない選手、リーグ戦で試合に出られない選手・・・を数えたらきりがない。

商業的利益が優先するW杯メンバー

田島幸三JFA会長が解任理由として、監督と選手の関係が「こじれている」という意味の発言をしていたが、この発言は解任理由の核心を象徴しているように思える。つまり、解任がチーム強化やW杯ベスト16入りを果たすためといった、純粋スポーツ的見地でなされたわけではないということ。解任の真の理由は、ハリルの選考によって、W杯メンバーから外れる選手と、彼らとスポンサー契約をしている者が共同して、ハリルを追い出したという意味に聞こえる。かれらの利益を確保するために仕組んだ、反ハリル・クーデターだと考えるとわかりやすい。

「パスサッカー」は2010年を頂点に退潮傾向に

筆者は、ハリルの方針は間違っていないと確信している。前出の「サッカー評論家」が主張するパスサッカー、ポゼッションサッカーは、2010年W杯南アフリカ大会(スペインが優勝)をピークとして後退し、いま現在、モダンサッカーの主流はフィジカル重視、単純化していえば、「縦に速い攻撃」が世界標準になっている。その土台となるのが、「デュアル」である。

ハリルはその流れを日本代表に定着しようと、およそ4年間、指導を続けてきたが、残念ながら、モノにならなかった。前出の「ハリルの失敗」という意味は、指導理念は正しかったにもかかわらず、その実践がかなわなかったということである。ベルギー遠征の2試合、ハリルの苦悩がTV画面から伝わってきていたではないか。彼は本番直前まで自分の戦術に合致した選手を見つけようとテストをくりかえし、そのたびごとに勝利に結びつけることができなかった。「勝利ナシ」とシンクロして、「ハリル解任」の声がチーム内外で沸騰し、ついにウクライナ戦の敗戦で「ハリルの砦」は決壊した。

だが皮肉なことに、解任の引き金となったベルギー遠征において、中島、柴崎という2選手を見出したことは、ハリルにとって少しの光明ではなかったか。その矢先の解任なのだから、彼の心中が穏やかであるはずがない。

ハリルの甘さ


ベルギー遠征後、ハリルは苦境に立たされていたのだが、彼はそのことに気づかなかった。ベルギー遠征はハリルにとっては練習試合つまりテストにすぎない2試合だったのだ。しかしながら、このハリルのこの位置づけ及び見通し・認識は正しくない、本番(6月19日コロンビア戦)まで3カ月を切った遠征試合において、本番に向けた戦列整備がなされていなかったことを大衆的に明らかにしてしまったことは、ハリルにとって致命的なミスであった。その甘さは厳しく問われて当然である。ベルギー遠征に向けたハリルの姿勢は間違ったものであり、計算違いであり、彼は自ら「解任」の墓穴を掘ってしまった。

ベルギーの2試合の内容及び結果が惨憺たるものだったから、「反ハリル派」に解任の口実を与えてしまった。いまのハリルを取り巻く状況なら、解任はだれからも文句が出ないと見たのだろう。「反ハリル派」の目論見はみごと成功した。解任後の報道は、「仕方がない」「新しい出発に期待する」「巻き返しが始まる」「これで日本らしいサッカーができる」・・・と。メディアからは勇ましい「進軍ラッパ」が鳴り始めた。敗戦を転進と言い換えた「大本営発表」を報道する戦時中のメディアと同等の野蛮さが満ち満ちている。

この時期の監督解任は代表サッカーにおける非常識

ロシア大会で日本がベスト16に入るか入らなかは神のみぞ知るところ。しかし、この監督更迭のドタバタぶりを見てしまった以上、日本代表に期待するものはなくなった。そもそもJFAは、ハリルホジッチのサッカー観を理解して監督に迎え入れたのではないのか。それが4年間で達成できなかったならば、次の4年間を待つまでではないのか。4年間で日本にモダンサッカーが定着されなかったからといって、8年前に逆行してどうする。

今日の日本代表がモダンサッカーの流れに乗り遅れたのは、ハリルだけの責任ではない。南アフリカ大会(2010年)が終わった段階で、JFAは世界のサッカートレンドを読み違い、ザッケローニを招いてしまったことで、フィジカル重視の世界のサッカーの潮流から取り残された。その結果、ブラジル大会(2014年)で予選敗退した。ブラジル大会直前、当時の日本代表の主力選手は、「自分たちのサッカーをすれば(W杯で)勝てる」「(W杯で)優勝を狙う」と豪語していた。結果はどうだったのか。

いま時計は8年前に逆行しようとしている。そして、逆行のリーダーは、なんとブラジル大会惨敗の戦犯である。そんな輩がロシア大会出場を目論んでハリルの方針に反旗を翻し、スポンサー(大手広告代理店)、JFA、スポーツメディアを巻き込んで、クーデターを敢行し、それが成功したのが4月9日の「解任劇」の真相であろう。

代表のサッカーが日本サッカーの質を決定する

ロシア大会で日本がベスト16入りしたらハリル解任は成功と評価され、予選敗退すれば間違っていたと、総括されるだろう。サッカーが「代表監督」に還元されて、次の代表監督探しで日本中が騒がしくなるというわけだ。

もちろん、代表監督選びには、日本のサッカーの方針が象徴されるという重要な側面があるのだから、おろそかにしてはいけない。だが、それだけに一元化されてしまえば、日本サッカーの質の向上が問われなくなってしまう。代表のサッカーの方針が定まっても、Jリーグを頂点とする日本サッカー界がそれと異なる動きをしていたのではおかしなことになる。こう書くととてつもなく壮大な日本サッカー改革が必要だと思われるかもしれないが、大げさなことではない。世界で勝てるサッカーを日本代表が示せば、下は自然にその流れに同化し従属するものなのである。

JFAはどうすべきだったのか

ハリルの方針は代表に定着せず、ロシア行きから外されそうな選手は造反を煽り、チームの「実情」をメディアにリークする者もいたかもしれない。本番3カ月前でチーム状態は最悪だったことも事実だろう。このまま放置しておけば、ロシアで惨敗するのは目に見えている云々・・・

筆者ならば、最後までハリルに任せる。結果はどうあれ、ロシア大会はハリルのサッカー集大成なのだ。ハリルのサッカーを良かれと判断して代表監督に招致したのだから、その結果を待つしかない。ハリルに課されたの最大のミッションであるアジア予選突破は果たしたのだから、彼にはロシアに行く権利がある。彼が最終的に見極めた素材(代表選手)で戦って、結果を問えばいい。なにが足りなかったのか、負けても得るものはあったのかなかったのか。そうすれば、次の大会までの目標や選手選考の基準、日本サッカー界全体の指導指針も出てくるはずだ。

ハリルを更迭してしまった結果、いまの日本代表はまさに空虚である。指針があっての4年間の努力であり、それがあっての結果であり、その総括も可能となる。よしんば空虚なチームが勝ったとしても、それは偶然の勝利にすぎない。負ければさらに空に虚を重ねるばかりである。

2018年4月2日月曜日

水元公園(2018/04/02)

東京23区の外れ、埼玉県との境にあるのが水元公園。

自然豊かなところで桜の名所の一つ。

今年は満開が例年より早く、ピークを過ぎてのお花見となってしまった。














2018年3月28日水曜日

日本代表に失望

ベルギー遠征中の日本代表は27日、リエージュでウクライナと親善試合を行い1―2で敗れた。日本代表が海外組を招集して行った試合は5戦未勝利。一方のウクライナ代表は、W欧州地区予選I組で、アイスランド、クロアチアに次ぐ3位で敗退したチーム。W杯出場を決めている日本だが、予選敗退のウクライナに力負け。実力においては、得点差以上の開きがあった。欧州とアジアのサッカーの力の差を再認識させられた。

いいところなしの本田圭佑

右サイドで先発出場した本田圭佑はまったくいいところがなかった。「得意」のキープ力、「ため」が期待されたが、ウクライナの選手に寄せられてボールを奪われるシーンが散見された。本田にボールをわたすと、ウクライナ選手が複数で奪いにかかり、失う場面が多かった。アジアの試合では相手は自陣深くまで引いて守る場合が多いが、世界標準の相手ならば、そんな戦い方はしない。日本が本田にボールを集める作戦だと認識した段階で、奪いにかかる。“ボールを本田に集めて、本田からのパスで攻撃の形をつくり、本田が決める”なんて試合展開は「アジアの幻想」であって、欧州中堅国との親善試合でも、実現はほぼ困難なのだ。「ポゼッション」「ため」がモダンサッカーで無意味とまではいわないが、それを基軸・基本にする戦い方では立ち行かない。

ところでその本田だが、彼はロシア・リーグでプレーした経験(2010-2013)がある。ロシア開催のW杯に本田の経験が生かせるのだろうか。まったく初めての国で試合をする選手よりも、そこに定住しリーグ戦を3年経験した選手の方にアドバンテージがあるのは当然だが、5年近く前の話。筆者が代表監督ならば、若手にチャンスを与える。

この期に及んで「勝利」を欲しがるハリルに落胆

ハリルホジッチ監督は速い縦の攻撃を日本代表に徹底させようとしたが、「ハリルの4年」は残念ながら、失敗に終わりそうな気配が濃厚だ。ロシアで日本が予選リーグを勝ち抜ける可能性がゼロだとはいわないが、かなり困難な仕事だろう。

ハリルホジッチ監督の采配の難点は、6人交代制の親善試合において、後半、相手のスタミナが切れるころを見計らって「高速ドリブラー」といわれるスピードが持ち味の選手を起用して勝利を得ようとするところ。3人交代枠の本番では使えない。代表選手の「テスト期間」はとっくに終わっているはず。勝利が欲しい気持ちは理解できるが、この時期ならば、W杯本番を想定して3人交代枠の試合をしてもよかった。

「テスト」と称して、この期に及んで勝利を欲しがるハリルホジッチが嘆かわしい。本来ならば、信頼できる攻撃的エースが育っていなければならない時期。その選手を中心に先制点を狙う試合ができていなければおかしい。アルゼンチン代表でメッシが後半限定で出場なんてことはあり得ない。ハリルホジッチはジョークで日本にはCロナウド、メッシ、イブラヒモヴィッチ・・・がいないというが、欧州で得点を上げている中島翔哉、乾貴士らを代表でもっと早くから使い続けていたら、彼らが得点源として代表に定着した可能性もあった。

中島は新星となる?

ベルギー遠征の2試合(1敗1引分)がW杯前の日本代表の到達点だとは思いたくない。唯一の希望は中島だろう。彼こそ、日本代表の窮状を救うべく新星となる可能性がある。本番H組、日本代表(FIFAランキング55位)が、コロンビア(同13位)、セネガル(同27位)、ポーランド(同6位)を相手に2位以内に滑り込むのには、中島の活躍がなければ困難ではないか。

2018年3月26日月曜日

2018年3月25日日曜日

21世紀のサッカーはアフリカの時代か

サッカー国際親善試合、日本―マリ共和国は1-1のドローで終わった。マリは日本がW杯ロシア大会を見据えた相手。予選リーグで日本と同組のアフリカ勢、セネガルを仮想したものだ。一方のマリはW杯アフリカ予選で敗退したため、この試合には4年後を想定して、若い選手構成で臨んだという。

モハメド・マガッスバ・マリ代表監督
マリ共和国のサッカー?

筆者はマリも含めて、アフリカのサッカー事情について何も知らない。試合実況中のアナウンサー氏や、試合前のメディアから提供された情報及び常識的知識から得たものとしては、サハラ以北と以南ではサッカーの質が全く違うことを前提として、以南に属するアフリカ勢の特徴は以下のとおりだろうか。①身体能力が高いこと、②組織よりも個中心、③経済状況を反映して、代表チームに対する協会等のバックアップ力が弱いこと、④有力選手は国内から欧州に移籍していること、⑤マリは前出のセネガルの隣国同士でサッカーの質が近似していること。もっとも④については、アフリカ勢に限ったことではないが。

この試合に臨んだマリ代表の特徴は、①主力が外れて若手中心だったこと、②若手といっても、試合出場メンバーはことごとく欧州各国のリーグに所属し(ビッグクラブではないが)ていて、レギュラークラスであること――だという。なお、この親善試合、客席は閑散としていたが、欧州各国リーグのスカウトが集合していたという情報が実況アナウンサー氏から提供された。若手のマリ代表選手のモチベーションは日本選手よりも高かったかもしれない。

日本代表に見るべきものなし

試合結果は1-1のドロー。PKでマリに先制された日本だったが、試合終了間際(ロスタイム)に同点に追いついた。6人交代枠(W杯は3人まで)の親善試合では結果を云々しても意味がない。内容を云々するならば前半45分を重視するべきだろう。その前半45分の序盤、日本にも得点を予感させる場面もあったが至らなかった。序盤以降、失点からロスタイムの中島の得点まで、日本はまったく好機をつくれなかった。結果はドローだが、W杯出場を決めている日本のほうがはるかに格下に見えた。

日本代表選手に覇気なし

ベルギー遠征ということでアウエーというわけではないが、応援はない。欧州リーグ所属選手以外は時差がある。慣れないピッチに気候等々、力を出しにくいかもしれないが、この試合でいいパフォーマンスを見せれば、W杯メンバーに近づける。だが、頑張ったのは日本人選手ではなく、欧州クラブのスカウトの目を意識したマリの選手のほうだった。スカウトたちも中島(途中出場)以外の日本人選手は気に留めなかったのではないか。中島は、得点を上げたからではなく、ドリブルで局面を開ける力を示したように思う。同じく途中出場の本田はいいところがなかった。メキシコリーグでの活躍が嘘のようだ。スピードがない、他選手との連携もとれていない、キープ力もない・・・筆者は拙Blogにおいて、本田は「過去の人」といい続けてきたが、それが現実になりつつあることを実感できた。

この遠征における次の試合は27日のウクライナ戦。W杯グループリーグの相手、ポーランドを仮想したものだという。ウクライナもロシアW杯予選で敗退している。ウクライナの選手にマリと同様のモチベーションが働けば、日本は苦戦を免れない。

異次元のサッカー

さて、最後にマリ代表の印象を書いておこう。日本代表が苦しんだのは、マリの選手のボールに触れるスピードだった。日本のメディアは、アフリカ勢というと即“身体能力の強さ”と反射的に形容する。しかし、サッカー(プレー)における身体性はボールを媒介したもの。さらに“相手選手”という条件の下でのものだ。

速く走れる、ジャンプ力がある、競り合いに強い、ボールを強く蹴ることができる…のだとしても、相手に妨害される状況で、ボールをコントロールできなければサッカーではない。相手選手と対峙しながら動くボールに触るスピード及びタイミング――それがサッカーにおける身体の強さということになる。日本がPKを与えたシーンが象徴的だった。DFの宇賀神がペナルティーエリア内で蹴ったのは、ボールではなく相手選手の脚だった。宇賀神はボールを蹴ったつもりだったのだろうが、マリの選手の脚が既にボールにタッチしていたのだ。

マリの選手からは相手との競り合いにも非凡さが認められた。体格はアフリカ勢の中ではそれほど大型ではない。しかし、日本選手から簡単にボールを奪うし、日本のディフェンスをかんたんにかわす。チャージに対してもボールを奪われない。ハリルホジッチ監督が力説する「デュアル(決闘)」というと、ぶつかり合いに勝つことのようなイメージがあるが、サッカーにおいてはマリの選手のような「身のこなし」が重要だと感じさせた。

このようなマリの選手の身体性はどこから来るのか。民族、人種に還元してしまえばそれまでだ。筆者の推測では、幼少期からのストリートサッカーから始まって、相手からボールを奪うこと、相手にボールを奪われないこと…がマリの選手の原点にあるためではないか。それを生活過程といえばそれまでだが、日本人選手が身に着けられないなにかがあるように思う。

変わるアフリカのサッカー

日本人がもっているアフリカのサッカー(サハラ以南)の印象は、日韓W杯(2002)のときに来日したカメルーンが決定づけた。手足が長く高い身長の選手が、自由奔放で力強いサッカーを繰り広げる。組織よりも個人、チームワークとはほど遠い。報酬で揉めるのは当たり前、代表監督はすぐ解任されるし、協会のガバナンスもない・・・

あれから15年余りが経過した今日、サハラ以南のサッカーは様変わりした。有力選手が欧州に出て組織、規律の重要さを体得し、戦略・戦術も洗練化された。サッカー協会のガバナンスも強くなり、若手を国際大会に出場させる経済力もついてきた。日本がW杯グループリーグで勝点をあげるならアフリカ勢から、というセオリーも成立しなくなった。

モロッコ、アルジェリア、チュニジア、エジプトと、W杯常連国が集まる北アフリカ勢、そしてマリを含めて、ナイジェリア、カメルーン、コートジボワール、ガーナと強国が集まる西アフリカ勢、そして豊かな経済を背景にW杯を開催した南部アフリカの南アフリカ共和国、中部アフリカの雄、コンゴ民主共和国も忘れてはならない。21世紀のサッカーはアフリカ勢が主導権を握る。

2018年3月16日金曜日

2018、NPB(日本プロ野球)パリーグ順位予想

パリーグの球団を大雑把にランク付けすると、Aランクがソフトバンクと楽天、Bランクがなくて、Cランクに西武、オリックス、日本ハム、千葉ロッテの順となる。昨年2位だった西武は主力2投手の移籍によりCランクに格下げしたが、菊池雄星という絶対的エースが存在することから、Cランクの中では最上位を占める。西武については後述する。

順位は、1.ソフトバンク、2.楽天、3.西武、4.オリックス、5.日本ハム、6.ロッテ、と予想する。

西武、オリックス、日ハムは戦力ダウン、ロッテは戦力不足

2018シーズンにおけるパリーグ各球団の戦力補強はセリーグに比べて、きわめて静かであった。2017ドラフト会議では日本ハムが高校野球界のスーパースター清宮幸太郎を引き当てて賑わいを見せたが、実際にはレギュラークラスがFA等で、セリーグ・MLBに移籍してしまって、リーグとしてはかなりな戦力ダウンである。

その代表球団が日本ハム。なんといっても「二刀流」、大谷翔平の抜けた穴が大きすぎて修復不能。前出の清宮はキャンプ・オープン戦でいいところがなく、加えて13日、腹腔内の一部に炎症が見られる限局性腹膜炎のため、都内の病院に入院。症状等は不明だが、オープン戦をチェックしたところ、彼の打撃技術はプロの投手のスライダーの球筋が見極められない段階。腹膜炎が癒えて練習を再開したとしても、一軍でプレーをするには相当の時間を要する。今シーズンは無理かもしれない。では既存戦力の底上げはどうなのかな、ということになるが、目立った素材は見当たらない。

話題性とは別に最も戦力流出が著しかったのは西武。FAで先発投手の野上亮磨が読売に、セットアッパーの牧田和久がMLB(パドレス)に移籍してしまった。野上は昨シーズン11勝10敗、防御率3.63、牧田は28ホールド、防御率2.30の成績を上げた。西武が既存投手陣の底上げ及び新加入選手で2投手の穴を埋められるとは思えない。

オリックスは平野佳寿が、アリゾナ・ダイヤモンドバックスに移籍した。平野は昨年29セーブ、2014年には40セーブを上げている。この穴も大きい。

新監督を迎えたロッテについては、これといった補強はなく、新人及び既存戦力の底上げでチーム強化を図るつもりなのだろうが、今シーズン、ブレイクしそうな人材が見つからない。

ソフトバンクと楽天で首位争い

Aランクのソフトバンクと楽天については、両チームとも切札的存在の投手が2枚揃っているのが強み。前者には千賀滉大、東浜巨が、後者には則本昂大、岸孝之である。とはいえ、彼らに続く投手を比較すると、ソフトバンクのほうが人材豊富。とりわけクローザーの差(ソフトバンクのデニス・サファテが54セーブ、楽天の松井裕樹は33セーブ)が大きい。。

ソフトバンクの弱点は捕手

ソフトバンクの選手層の厚さは球界一だが、今年に限れば捕手が手薄。レギュラー捕手の髙谷裕亮が故障でオープン戦を欠場。開幕に間に合うのか不明の状態だ。昨年レギュラーになった高谷だが、年齢は36才と若くない。フルシーズンをレギュラーで通した経験がないだけに、故障明けでどれだけやれるのか不安が残る。高谷不在の間は甲斐拓也がマスクをかぶるのだろうが、ベンチ登録残り2選手に新人の九鬼隆平を入れざるを得ないかもしれない。まさに捕手に関しては非常事態だ。

そんなこんなで、首位争いはソフトバンクと楽天とで接戦となると思われるが、選手層の厚さでソフトバンクが逃げ切る。3位は昨年から大幅戦力減となったとはいえ、投の要、菊池を擁し、打撃の強い西武。4位以下はロッテの最下位は固いが、オリックス、日本ハムの4位争いは、両者に大きな力の差はないものの、外国人の差でオリックスが上にいく。

2018年3月14日水曜日

2018、NPB(日本プロ野球)セリーグ順位予想

去就が注目されていた野球界のビッグネーム3人、イチロー(マーリンズ→マリナーズ)、上原浩治(カブス→読売)、村田修一(読売→栃木ゴールデンブレーブス)の移籍先が決まり、NPB各球団の戦力再編が一段落した。この先、サプライズが絶対にないとはいえないが、各球団とも現状の戦力で開幕を迎えると思われる。そこで、順位予想をセリーグからしてみたい。

1位は広島、読売は3位

今年の順位は、1.広島、2.阪神、3.読売、4.DeNA、5.中日、6.ヤクルト、と予想する。
(※昨年の3位DeNAが4位に落ちて、読売が3位にいれかわっただけ。)
各球団の戦力分析は以下のとおり。

(広島=昨年1位)
昨年、リーグ戦優勝したものの、CSで敗退し日本一奪回を逃した広島。例年どおりFA補強はなし。この球団は、ドラフト及びアカデミーで獲得した新人を育成しつつ、補いきれない部分について外国人選手を手当てするという方策を続けている。広島の戦力は、〔レギュラー〕+〔控え選手の底上げ〕+〔新外国人〕で計ればいい。

レギュラー陣は野手、投手とも概ね体力・経験において伸び盛りの選手が占めていて、昨年以上の成績が期待される。唯一の弱点は捕手で、正捕手の石原慶幸が今年39才に達することから、曾澤翼、白濱裕太、磯村嘉孝との併用になるが、白濱、磯村には不安が残る。甲子園のスター、中村奨成が一軍でプレーするにはもっと時間を要する。投手陣についても野手同様、昨年に比べて力を落とすような要素は見つけられない。ずばり、広島が優勝すると筆者は予想する。

(阪神)
昨年2位と阪神は健闘した。その要因はまちがいなく、投手陣にあった。先発陣はベテランと若手がうまく融合し、セットアッパー、クローザーが安定した成績を残した。今年も若手に逸材が揃い、昨年よりも投手選手層は厚みを増した。藤波晋太郎が伸び悩み状態から脱却できるのか注目を集めているが、藤波が10勝を稼ぐようならば、阪神は広島に対抗できる。

阪神の弱点は第一に捕手。練習試合、オープン戦をチェックしたかぎり、梅野隆太郎、坂本誠志郎に進歩が見られない。打撃の良さを買われて原口文仁が捕手に復帰したようだが、このポジションはそう簡単にはいかない。今年捕手に復帰させるくらいなら、昨年から捕手の実戦経験を積ませるべきだった。金本監督の見通しの悪さ、判断ミスである。

第二の問題点は外野陣。糸井嘉男(36才)、福留孝介(40才)の両ベテランと控え選手との差が大きすぎる。メディアは、金本監督の積極的若手起用を称賛するが、筆者は彼らの実力が話題性ほど伸びているとは思っていない。糸井、福留のどちらかが故障したとき、大幅な攻撃力ダウンは免れない。豊富な投手陣を背景として、守備、走塁等のミスを減らし、接戦で勝てるような緻密な采配がなされるようならば、広島とペナント争いする可能性はある。

(読売)
昨年DeNAに競り負けてCS進出を逃した読売だが、今年も派手な補強を敢行した。投手陣ではマイルズ・マイコラスを放出して、前MLBの上原浩治、FAで前西武の野上亮磨、さらに、テイラー・ヤングマン(前ブルワーズ)を獲得。野手は村田修一を放出して、昨年中日で本塁打王に輝いたアレックス・ゲレーロを獲得した。相変わらずの金満補強である。だが、この補強が理にかなっているのかというとそうでもない。そのことは後述する。

(DeNA)
昨年、読売を接戦で制しCSに3位で進出。CSでは2位阪神、1位広島を撃破して日本シリーズに勝ち上がったDeNA。戦力的にみれば、広島、阪神、読売よりかなり見劣りするところでのこの成績は、立派というほかない。しかし、この調子が今年も続くのかというと、大いに疑問符がつく。今年はBクラスもあり得る。

中日松坂は一軍では無理

(中日・ヤクルト)
ゲレーロを読売にさらわれた中日は、攻撃面でかなりのダメージを受けた。新外国人は期待できない。平田良介の復帰だけが好材料。投手陣では、松坂大輔の加入が話題だが、練習試合、オープン戦を見た限り、一軍では使えない。球速は140㌔を超えたようだが、軸足に体重が乗らず、リリースが早くてボールが指にかからない「手投げ」状態。そのため抜け球が多い。外角を狙って内側に入るいわゆる逆ダマは長打されやすい。肘・肩の故障云々というよりも、松坂の下半身が衰えていて、フォームに粘りがきかないのだろう。大事な場面での登板はないと思われる。

ヤクルトはMLBから青木宣親が復帰。さらに川端慎吾、畠山和洋、雄平といった、「優勝メンバー」の復帰と明るい情報が出ている。昨年WBCで調子を崩した山田哲人も順調に仕上がっている。問題は投手陣で、いまのところ明るい材料に乏しい。昨シーズンの45勝96敗2分け(勝率.319)を上回るだろうが、Aクラス入りは望めない。

全体的に見たセリーグの傾向としては、Aランクが広島、阪神、Bランクが読売、DeNA、Cランクが中日、ヤクルトとなる。この等級は昨年と変化はないのだが、BランクとCランクの力は昨年より接近していて、3位以下が混戦となる。また、Aランクの広島と阪神も昨年ほど開かないと思われる。なお、昨人シーズンは、首位広島と2位阪神とのゲーム差は10、最下位ヤクルトと広島とは44ゲーム差と大差がついた。(いわゆる広島の「独走」だった。)

読売の「補強」を分析する

(一)元MLB上原の読売入団が刺激に?

今年も補強は超一流の読売。投手陣は昨年以上の戦力アップとなった。なかでも上原の加入は大きい。彼は「巨人」という価値に見切りをつけ、MLBに挑戦した純粋アスリート。つまり、「巨人」に甘んじない挑戦者の姿勢を貫いた。この気概をもった元読売選手は上原と松井秀喜しかいない。

上原・松井の「巨人相対化」の精神性が重要。「読売絶対化」精神の持ち主の代表的存在が、エース・菅野智之――彼はドラフト破りまでして読売に入団したが、その先(MLB)に挑戦する気概はない。彼は「巨人」が頂点であり、そこまでの選手にすぎない。読売のすべての選手は「菅野型」であり、「巨人」に入団したことで、終着駅に達してしまう。だから若手が伸びない。

その一方、古くは野茂英雄、それに続くイチローを筆頭に、MLBで実績を残しているダルビッシュ有、田中将大らの「巨人」以外に所属した超一流選手たちは、「巨人」以上の名声と富を目指してMLBに挑んだ。今年は大谷翔平が挑もうとしている。

上原・松井は「巨人」に入団しながら、そこにとどまらず、さらなる上を目指した。現役で上原が読売に入団したことで、いま「巨人」で安眠中の若手に活を入れられれば、読売の若手選手は向上する余地が十二分にある。「巨人安住型」の菅野はチームリーダーにならない。

(二)投手陣だけなら読売は球界一

さはさりながら、澤村拓一、山口俊、高木京介の復帰、中川皓太の台頭もあり、投手陣には明るい見通しが立つ。菅野―田口麗斗―野上―山口俊-中川―吉川光夫(故障で出遅れの畠世周、ベテランの大竹寛、内海哲也。外国人枠があるが、場合によってはヤングマン)を含めた先発陣はおそらく日本球界ナンバーワン。

しかも、抑えにカミネロと澤村、セットアッパーにスコット・マシソンと上原のダブルキャスティング。この4人のうち3人が9、8、7に登板するとなると、ほぼ鉄壁に近い。さらにブルペンには、宮國椋丞、今村信貴、山口鉄也、森福允彦、西村健太郎、高木、田原誠次となれば、読売の投手陣はそうとう強力である。

(三)今年も捕手・二塁が読売の弱点

さて、読売の補強の非合理性は、捕手と内野陣の補強がかなわなかったこと。この課題については昨年も指摘しておいたし、引き続きの弱点とも換言できる。打撃面から見れば、村田を放出してゲレーロを取ったことは、一見バランスしているようにみえるが、村田を放出したため、昨年成功したケーシー・マギーの二塁という奇策がつかえなくなった。

読売の内野陣は、一塁、三塁を阿部慎之助、マギー、岡本和真、中井大介でまわすつもりだろう。レギュラーは三塁・マギー、一塁・阿部。そして遊撃は不動の坂本勇人。だが、阿部、マギーはベテランの域に達しており、全試合出場はもちろん無理。そこで岡本に期待したものの、キャンプ、オープン戦でまったく向上した姿が認められない。打撃フォームは左足が早く開きすぎる悪癖が克服できていない。彼がヒットにできるゾーンは真ん中・外角の高めのみ。しかも半速球。投手のボールを怖がっている可能性を否定できない。

(四)読売期待の吉川尚輝はセンスなし、捕手小林は進歩なし

二塁については、首脳陣は吉川尚輝に期待しているようだが、この若手はセンスがない。一見すると足が速く俊敏そうだが、守備が悪く、走塁ミスも多い。打撃については、読売の若手すべてにいえることだが、吉川もストレートに対する反応が鈍いし、引っ張る打撃ができない。オープン戦で起用されている山本泰寛、田中俊太も吉川と同様ミスが多く、経験不足を差し引いても、一軍レギュラーの器ではない。

外野は、左翼・ゲレーロ、中堅・陽岱鋼、右翼・長野久義で申し分ないように見えるが、3選手とも故障が多く、常時出場は無理。控えに亀井善行、立岡宗一郎、石川慎吾とくるのだろうが、立岡はオープン戦で調子が上がらず、亀井、石川がいまのところ(3月13日現在)不出場。期待の重信慎之介は、足は速いが打撃は一軍レベルではない。

レギュラー捕手の小林誠司の打撃はまったく進歩していない。控えには宇佐見真吾、河野元貴、大城卓三のうち2選手がベンチ入りするのだろうが、河野はスローイングが悪すぎる。というわけで、投手陣が強力な読売が昨年ほどの連敗はあり得ないわけで、今年は順位を一つ上げて3位だろう。

2018年2月6日火曜日

1月23日~2月5日まで、キューバに行っておりました。