2017年10月25日水曜日

クライマックス・シリーズのバカらしさ

日本プロ野球(NPB)においては、クライマックス・シリーズ(CS)が昨日(24日)終了し、日本シリーズを残すのみとなった。日本シリーズ進出を決めたのはセリーグがDeNA(リーグ戦3位)、パリーグがソフトバンク(同首位)。DeNAの3位からの勝ち上がりはセリーグではCS制度発足以来、初めてのことらしい。


(一)リーグ戦14.5ゲーム差(3位)のチームに日本一を争う資格があるのか

短期戦を上手に闘ったDeNAを貶めるつもりはない。ラミレス監督の采配はみごとだったし、それにこたえて結果を出した選手の奮闘は称賛に値した。しかし、とは言え、リーグ戦3位の球団が日本シリーズに進出するのは、日本シリーズの価値を落とす。CSの数試合でペナントレース143試合の戦績が無に帰すのが忍びない。

セリーグのリーグ戦順位表を見直してみよう。

1広  島 .633 -
2阪  神 .561 10
3DeNA.529 14.5
4巨  人 .514 16.5
5中  日 .428 28.5
6ヤクルト.319 44

広島とDeNAのゲーム差はなんと14.5も離れていたのだ。筆者のCS制度批判はペナントレース首位の広島が負けたことによるものではない。ことあるごとに拙Blogで力説してきたことだ。

繰り返しになるが、日本のポストシーズンの欠陥構造をみておこう。NPBがCS制度を発足させたのは、MLBのポストシーズンを見倣ったもの。しかし、MLBには北米という広大な地域にア・リーグ、ナ・リーグ併せて30球団が加盟している。MLBの支配地域はアメリカだけでも人口で日本の3倍強、国土面積で25倍ある。それにカナダの一部を加えた広さである。だから地区という概念が成立し、地区優勝に意味が出てくる。地区優勝球団に勝率高位(ワイルドカード)を加えたプレイ・オフには必然性がある。

ところが日本のポストシーズンではペナントレース3位、2位、1位が自動的にプレイオフに進出する。その際、上位球団にホーム・アドバンテージがあり、ファイナルステージと呼ばれる3位―2位の勝者と1位が争う6試合で1勝のアドバンテージが首位チームに与えられる――という珍妙なシステムだ。ペナントレース優勝球団を重く見ての1勝のアドバンテージなのだろうが、この措置がCS制度の欠陥を浮き彫りにしている。ペナントレース優勝チームが2位や3位のチームと再度、戦わなければならない必然性がこれっぽっちも見いだせない。

それだけではない。日程も変則的だ。ペナントレース優勝の広島の優勝決定日は9月18日。広島がプレイオフで勝ち上がってきたDeNAと試合をしたのが10月18日。広島はペナントレース優勝からちょうど1月間、真剣勝負から遠ざかっていた。広島が公式戦を行うのは、ペナントレース終了が10月1日だから、17日間ぶり。かなりのブランクだ。その間の調整法はかなり難しい。一方のDeNAは阪神と泥んこ試合を経験し、しぶとく勝ち上がって勢いがついた。

パリーグの場合はほぼ同じ条件のソフトバンクが順当にCSを制したのだから、制度に欠陥はない、という主張もあるかもしれない。だが、短期戦における勝負は「わからない」のが原則。だから、客観的、総合的に実力を判断するシステムとして、リーグ戦(ペナントレース)が採用される。このシステムは野球に限らない。サッカー、バスケットボール、アメリカンフットボール・・・世界の多くのプロスポーツがリーグ戦で優勝を決めている。NPBはそのシステムを否定し、最優先としない。NPBがCS制度を優先する理由を筆者は理解できない。

日本のポストシーズンは、①日程的、②試合の組み立て、構成、③必然性――という側面において、欠陥だらけ。

日本の野球ファンがこのようなおかしな制度をなぜ、受け入れているのかがわからない。日本人は野球好きが多いから、なんでもかんでも盛り上がってしまうのかもしれないが、理屈に合わない「勝者」が日本一を争うことに違和感はないのか。

唯一、CS制度に必然性があるとしたら、ペナントレース2位の球団には最長で3試合、同じく首位球団には同6試合の興行収入が見込めることか。今回のCSファイナルステージ、ペナントレースで優勝した広島の選手が本気を出さなかったとは思わない。勝とうと思っても、心と身体がいうことをきかなかったのだと思う。調整の失敗、集中力の欠如、長期間のブランクによる試合勘の喪失・・・諸々の悪い条件がそろってしまった。だが、もしかしたら、広島の監督・コーチ・選手は、CSホーム開催を決めた時点で、球団に興行的貢献を果たしたと感じたかもしれない。そのような意識が勝負へのこだわりを薄めたかもしれない。

CS制度を廃止に追い込むには何が必要なのかといえば、答えは簡単。ファンがチケットを買わないこと。そうすれば、NPBとしても制度を廃止せざるを得なくなる。筆者としては、一刻も早く、くだらないポストシーズンを廃止してもらいたいと思っているのだが。

(二)筆者のペナントレース順位予想とその結果

筆者の開幕前の予想は、広島、中日、DeNA、読売、ヤクルト、阪神だったが、前出のとおり、広島、阪神、DeNA、読売、中日、ヤクルト となった。

首位、3位、4位は当たったが、阪神の最下位と中日の2位は大きく外してしまった。読売の4位がズバリ的中だったので、まずまずと思う。

パリーグの筆者予想は、ソフトバンク、日本ハム、楽天、ロッテ、西武、オリックスであったが、実際は、ソフトバンク、西 武、楽天、オリックス、日本ハム、ロッテ となった。首位、3位が当たったが、ロッテの最下位、しかも驚異的低勝率(,383)は予測できなかった。

オリックスは新外国人がよかったため、最下位を免れた。日ハムは大谷の故障でチームの軸がなくなり、下位に沈んだ。西武の2位は予想外。打撃陣がレベルアップしたこと、菊池の安定ぶり(防御率=1.97、16勝6敗)がみごと。エースがいるチームは上位にいける。

(三)黄昏の球界の盟主、読売巨人軍はどこにいく

最後に読売について触れておこう。チーム防御率(3.31)はリーグトップ。菅野(17勝5敗、防御率1.59/リーグトップ)、マイコラス14勝8敗(同2.39/同3位)、田口(13勝4敗、同3.01/同7位)と、10勝以上投手を3人も擁しながら、順位はBクラスの4位。3投手で27も貯金をつくりながら、チーム勝敗は72勝68敗と貯金は僅か4にとどまった。一方の打撃陣はチーム打率.249で阪神と並んで3位。打撃陣に問題があったことは明白だ。打撃10傑に入ったのはマギー(.315、2位)、坂本(.291、9位)の2選手にとどまった。

投手陣については、前出のとおり先発3本柱は確立したものの、6連戦日程で概ね4勝2敗を維持するには、先発でもう一人が頑張らないといけない(勝率.667)。先発四番手は複数投手合計で、最低貯金10近く稼がなければ優勝争いに加われない。山口俊(FA)、内海、大竹、桜井、宮国、高木勇、畠(新人)、吉川光(トレード)、今村らが先発4番手として期待されたが、期待外れだった。ただ、新人畠は後半頭角を現したので、来年は期待できる。

問題の打撃陣では、マギー以外は全員だめ。しかも、マギーは後半2塁手として出場し、村田との併用が果たせたが、二塁手で全試合出場はおそらく無理だろうから、来年も課題は残る。村田が退団したので、マギーを三塁にもどして二塁に新戦力を迎えるのか、あるいはマギー二塁、新戦力3塁でいくのかは、現段階では不透明なまま。

筆者は開幕前の順位予想で読売4位と予想し、当たった。その根拠は捕手、二塁にいい選手がいないことだった。マギーが後半戦二塁手として頑張ったが、打撃と守備のバランスシートでみると、若干黒字といったところ。加えて、動きの激しい二塁手として、フルシーズン出場は無理であろう。

捕手は後半、宇佐美の台頭で改善の兆しはあるが、時間がかかりそう。小林の打撃に改善が見られなかった今シーズン、投手・捕手が1~2割そこそこなので、野手7人攻撃。これではまるで迫力不足。

内野は村田の穴を埋めるべき若手内野手の台頭がまたれるが、これも拙Blogで強調してきたとおり、一軍半~二軍でクスぶっている若手・中堅(岡本、和田、山本、吉川、重信、立岡、辻、中井・・・)は速球に反応できない者ばかり。アマチュア時代、テクニックで高打率を上げた「スター選手」をドラフトで指名してきたツケがまわってきた。スカウト陣の眼力のなさ、球団の補強戦略の欠如が響いている。

最後になるが、高橋由伸の監督としての力量も問われる。監督に限らない。グループ競技におけるリーダーとしての適格性に欠けているように思える。良くいえば個人主義、悪くいえば利己主義――これではチーム(集団)は引っ張れない。

来年以降も課題山積の「読売巨人軍」であることにかわりない。

2017年10月22日日曜日

ブルガリア、ルーマニア旅行

10月6日から17日まで、ブルガリア、ルーマニアの観光に行っておりました。

これで昨年の秋から始まったバルカン半島めぐりは一区切りつきました。

リラの僧院(ブルガリア)

ペレシュ城(ルーマニア)