2020年12月30日水曜日

DH制論争の不毛


日本シリーズ、読売の2年連続0-4敗退の衝撃

NPB日本シリーズにおいて読売が2年連続でソフトバンクに0-4で敗北したことを受けて、DH制度に関心が高まっている。2019~2020年日本シリーズ、読売とソフトバンクの実力差は際立っていた。日本の職業野球において、これほどまでリーグ間格差が顕在したことはなかった。プロ野球関係者に衝撃が走ったのも当然だ。日本シリーズにおいてセ・リーグがパ・リーグに2年連続退けられたとしても、進出したチームが読売でなければ、これほどのショックを与えなかったかもしれない。

セで圧倒的強さをみせた読売だったが

2020シーズンにおける読売の強さはセ・リーグにおいて群を抜いていた。コロナ禍という困難な中、エース菅野が開幕から13連勝、キャプテン坂本が2000安打達成、シーズン途中における積極的なトレードによる補強で驚かせ、4番岡本は2冠達成、ベテラン中島の復活・・・読売の主力選手を彩る華やかなスポーツ新聞の見出しが躍ったシーズンだった。

DH制度がパを強くした?

その読売がソフトバンクにいとも簡単に撃破されたのだ。読売の敗因を探るべく、メディア及び関係者が動いた。セ・リーグの弱さの主因として、DH制度未導入が挙げられた。読売球団もその動きに合わせて、セ・リーグ理事会で来期からのDH制度導入を提案したが、5球団そろっての反対で一蹴された。5球団の判断は批判を浴びたが、筆者は正しかったと思っている。その理由を以下に示す。

DH制度のメリット

DH制度のメリットは幾つかある。投手が打席に入らないから、投球に集中できるし、報復される心配がないから、相手打者に思い切った内角攻めができる。投手は劣勢の時、打順で代打を出される心配がないから、比較的長いイニング数投げられる。監督も代打を出す必要がなくなるから投手交代が楽である。さらに、試合出場選手が10人になり、選手の試合出場機会が増えるし、走力、守備力が劣化したベテラン選手でも打撃力が生かすことができ、選手寿命が長くなる。反対に、代打専門の打者は打席機会が減少する。かくして、投打にわたって選手が試合を通して実力をアップさせる条件は、DH制度を導入したほうが豊富である。パ・リーグはDH制度導入を通じてセ・リーグに勝る実力を養ってきた、という論理だ。

MLBの実情――ワールド・シリーズの勝敗はほぼ互角

こうしてみると、そのとおりに見えるのだが、実は違う。MLBは、日本より2年ほど前、アメリカン・リーグにおいてのみ、DH制度を導入し、ナショナル・リーグは9人制を維持している。NPBとまったく同じである。ワールド・シリーズではホーム・チームが所属するリーグの制度を使うことになっていて、これもNPBと同じである(但し、2020年のみコロナ禍により、全試合DH制度で行われた。それもNPBと同じ)。

MLBの近年(2001~2020)におけるワールド・シリーズの勝敗を比較してみよう。なんと、DH制度を導入していないナ・リーグが10勝9敗でア・リーグを上回っている。前出のとおり、2020年シーズンは、コロナ禍ということで、全試合DH制度が採用されたのだが、DH制を採用していないナ・リーグのドジャースがア・リーグのレイズに勝っている。

DH制度が導入された1973年から2020年までの通期では、ア・リーグ26勝、ナ・リーグ22勝でア・リーグが勝ち越してはいるが、リーグ間の実力差を云々するとはとても言えない勝敗差である。すなわち、MLBにおいては、DH制度がリーグ間格差を生むような要因にはなっていない。

MLBとNPBは違いすぎる?

MLBとNPBは同じベースボールだが、環境が違いすぎていて、比較にならない面もある。MLBではアメリカとカナダにまたがる広大な地域を遠征するため、気候変化、時差、移動時間の長さがNPBとは比較にならない。そのため、球団は厚い選手層を求められる。選手の球団(リーグ)間の移籍もNPBより頻繁だ。下部組織が充実しているので、選手同士の競争は激しい。このような過酷な条件を勝ち抜いてきた選手がMLBで生き残れる。どんな条件にも耐えられるタフな選手しか残れないわけだから、DH制度があろうがなかろうか、それによって実力差が生じる要因にはならない。

日本の特殊環境――リーグ風土

NPBはどうなのだろうか。そこには、リーグ別に風土のようなものが形成されている。「人気のセ、実力のパ」といわれる状況が放置されたまま、半世紀近くが経過していた。その間、セ・リーグは「巨人」人気におんぶに抱っこのまま、各球団及び選手は、実力向上のための努力を怠ってきた。それでも給料はパ・リーグよりも高く人気もあった。

その反対にパ・リーグはフランチャイズを意識した地域密着球団運営に努め、選手は切磋琢磨した。セが人気重視で選手はタレント化したこととは真反対にアスリート志向が強くなっていた。その結果、野茂、イチロー、ダルビッシュ、田中という実力派MLB選手を輩出した。その土壌がパにでき上っていったのだ。セでもMLB選手は育ったが、松井がぎりぎり合格点だろう。

パに対抗できるセの球団は唯一広島だけ?

セ・リーグでパ・リーグに対抗できる例外的球団が広島だったのだが、ここにきて主力選手の衰え及びFA移籍などで弱体化し、いまは過渡期にある。広島は近年、日本シリーズに2度進出し、日ハム、ソフトバンクに退けられているが、試合内容では肉薄していて、読売が2年連続でソフトバンクに0-4で敗退するほど惨めなものではなかった。広島がパ・リーグに2回負けたからといって、セ・リーグにDH制を導入せよとの声も湧きあがらなかった。広島が読売と違って可能性を感じさせるのは、アスリート体質の選手で構成されているからだ。ただし、前出の通り育成型の球団なので、過渡期において順位が下がる。しかし、個よりもチームとしての強さが醸成されるので、波に乗った時期であればパに対抗できる。セが強化する気のない宣伝媒体として球団運営しているヤクルト、阪神が「巨人」に無気力なまま、優勝を献上している間は、DH制度を導入しようがしまいが、パには勝てない。

〔1994年は選手会ストライキのためMLBワールド・シリーズは中止〕

2020年12月13日日曜日

高桑常寿写真展など

 ジンバブウェのミュージシャンを撮影した写真展。

すごい迫力だ。


高桑常寿氏




写真展鑑賞後、イルミネーションを眺めながらディナー




北京ダックなど

2020年12月4日金曜日

清澄白河

石岡瑛子展を見に東京都現代美術館へ。

ついでに「フジマル醸造所」にてランチして、清澄庭園~隅田川沿いを散策。

石岡瑛子展


フジマル醸造所

同上

同上


清澄庭園

清洲橋

隅田川