2017年3月31日金曜日

危険なスピリチュアリスト・安倍昭恵

森友問題がますます混迷を深めている。籠池泰典の口封じをしたい政府与党は、メディアを使って恫喝を強めている。一方、安部政権を追い詰めたい野党は次々と新証拠を繰り出して、追及姿勢を緩めない。一見膠着状態のように見えるが、この問題の構図は極めて単純である。その構図を改めて示そう。

森本問題の「実行犯」は財務省

問題は、財務省が国有地を不当に値引きして、森友学園を特別扱いで払い下げたという単純なもの。国有財産を管理する財務省が一民間法人(籠池泰典)の指値に応じ、不当にも廉価で国有地を払い下げた。当該国有地の価格を査定したのが国土交通省。つまり二つの省庁が、結果として、籠池泰典の要望をほぼ無条件に受け入れたわけだ。この問題を刑事事件ふうにみたてれば、「実行犯」は国土交通省及び財務省(の役人)であり、払下げの所管は財務省だから、財務省の担当者が「自白」しさえすれば、「事件」の真相は判明する。

しかるに、財務省は籠池泰典との取引の詳細を明らかにしない。記録はないと強弁している。つまりこの問題が行き詰まっているのは、「犯人」の一人(財務省)が、「犯行」を「自供」しないが故なのだ。

「実行犯」はもう一人いる。籠池泰典と財務省との折衝を代行した首相夫人付き秘書。この秘書は経済産業省からの出向者で、「夫人付き」という肩書で安倍昭恵に仕えていた(秘書)。ということは、国有財産不当払下げ「事件」は、国土交通省、財務省、夫人付き(経済産業省)という、三つの中央省庁に属する者によって実行されたことになる。なお、籠池が新設しようとした小学校の認可については、大阪府(私学課)が関与していたらしいが、その問題はひとまず置く。

「主犯」は安倍首相夫人

三者の「犯行」の動機は何か――マスメディア報道を読む限り、明らかではない。三つの省庁の担当者が籠池泰典からの金銭授受や接待を受けた事実はなさそうに思える。そこでマスメディアが使いだしたのが「忖度」という概念だ。役人が政治家等の圧力を見越して、気をまわして融通を図ったに違いないと。確かにそういう役人の行動原理は少なからず見受けられるもので、今回の場合は、籠池が政治家を使って役所を動かしたという推測がなされた。

しかし今回に限っては、政治家ではなく、政治家のしかも総理夫人の妻・安倍昭恵(の威光)がちらつきだした。そして籠池の国会での証言と、その後に出てくる証拠から判断する限り、籠池の意図を汲んだ安倍昭恵に対して、複数の省庁(役人)が心遣いを示したことが明らかになってきた。換言すれば、森友問題の「犯行」の「主犯」は、首相夫人・安倍昭恵である疑いが濃い。この問題は、安倍昭恵の思いを実現するため、少なくとも三つ以上の省庁(の役人)が「従犯」として尽力した可能性が高い。

首相夫人・安倍昭恵の正体
だが、疑問が残る。安倍昭恵がなぜ、籠池泰典のためにここまで尽力したのか――と。安倍昭恵と籠池(夫妻)が親密であったことはメールのやりとり、写真等で明らかになっているが…

森友学園と安倍昭恵の関係に係る注目すべき論評が東京新聞(2017/3/28夕刊)に掲載されている。「ナチュラルとナショナル 日本主義に傾く危うさ」(論壇時評)と題された、中島岳志・東京工業大学教授の小論だ。タイトルは抽象的でわかりにくいが、要は、首相夫人・安倍昭恵の本質を問う内容になっている。当該記事の要約を以下に示そう。


  • 昭恵夫人は森永製菓の創業家に生まれ、聖心女子専門学校卒業後、電通入社
  • 会社の上司の紹介で安倍晋三と出会い、24歳で結婚
  • 夫・安倍晋三の政界入りと同時に山口県の選挙区に入り「政治家の妻」として活動開始
  • 境遇が大きく変わったのは2006年。夫が総理大臣に就任し、44歳の若さでファーストレディーになったが、「三歩下がって夫を立てる良妻賢母」という型に戸惑う。
  • 突然の夫の総理大臣辞任。激しいバッシングと夫の体調不良で「どん底」を味わう。
吉本隆明にならえば、「現実が強く人間の存在を圧するとき、はじめて人間は実存するという意識をもつことができる。ここで人間の存在と、実存の意識とは、するどく背反する。(『マチウス試論』)」というわけだ。

安倍昭恵は、夫の総理大臣辞任と、その後にやってきた「どん底」生活から、強くおのれの実存を意識し出し、これを契機として、大きな自己転換を図った。「私らしく自分の人生を生きたい」と。

まず、大学院に入り勉強をし直す一方で、神社めぐりをきっかけに、スピリチュアル(霊的)カウンセラーや神道関係者、ニューエイジ系の自然主義者と交流し、精神世界への関心を深める。そして、スピリチュアルな自然主義者としての活動は政治性を帯びる。
たとえば、
  • 無農薬・無添加食品にこだわる居酒屋「UZU」開店
  • 脱原発運動への接近
  • 3.11以降の防潮堤政策批判
  • 三宅洋平と意気投合
  • 沖縄・高江訪問
加えて奇妙なのが「大麻崇拝」である。昭恵は、
  • 大麻の神秘性と有用性を訴え、
  • 大麻は日本の神事と深い関係があると主張
  • 大麻栽培禁止はアメリカの占領政策だと主張
  • 過疎地で産業用大麻を栽培する活動を支持(昭恵は栽培地・鳥取県智頭町を視察する。しかし、その当事者は大麻所有容疑で逮捕)
極右教育を礼賛

昭恵のスピリチュアルな活動が古来の神秘へと接続し、日本の精神性の称揚へと展開しはじめ、ついには国粋的な賛美へと思想形成されるに至る。ここまでが、中島の論文の要約である。

さて、森友問題に戻る。昭恵が日本会議(籠池奏典)と出会うことは必然だった。籠池は園児に『教育勅語』を暗唱させるなど、極右思想を注入する洗脳教育をすでに実施していた。安倍昭恵は籠池の極右的幼稚園の存在を知り、籠池と親交を持つ。そして小学校設立の構想を聞くに及び、大いに賛同し、学校設立を応援した。昭恵は、籠池が運営する幼稚園を訪れ、その教育方針及び内容に実際ふれて感激した、という意味のコメントを公にしている。そして昭恵は、籠池によって新しく設立される小学校の名誉校長に就任する。(問題発覚後辞任)

昭恵が「主犯」「黒幕」として、国有地大幅値引きを画策した「動機」は明白である。籠池の小学校設立に思想的に共感し、それを応援しようと活動したのだ。国土交通省、財務省、経済産業省(から出向の秘書)は、首相夫人の強い「動機」を感じ取り、夫人付き秘書を介した安倍昭恵の要望を悉く受け入れた、と推測される。

安倍首相の辞任発言

この問題で政府が追い詰められるようになった要因は、もう一つある。それは国会で安倍総理大臣が「・・・私や妻が関係したということになればこれはまさに私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞めるということをはっきりと申し上げておきたい」と発言したことだ。

安倍晋三は妻・昭恵の森友問題への関与を知っていたのか。おそらく知っていた。安倍晋三は関与していたのか、どうか。そのことの確証はないが、それほど深く関わっていたとは思えない。ただ、安倍晋三が日本会議と親密な関係にあることはよく知られていて、妻・昭恵が籠池と親しいことは知っていたと思われる。

ただ、安倍が選挙区ではない豊中の私立小学校設立について、深く関与したとは考えにくい。それでも、妻・昭恵が(名誉校長に就任する)極右的教育方針の小学校設立のため、財務省の(当時の)理財局長をよびつけて「よきにはからえ」くらいは伝えたかもしれない。その理財局長が組織を通じて、近畿財務局担当者に(よきにはからうよう)命じたかもしれない。その程度かもしれないが、それでも総理大臣が、「深くはないが関与」したことに変わりはない。妻・安倍昭恵は森友問題に深く関与した。

だから、昭恵はこの問題の「主犯」なのである。さらに夫・安倍晋三も、深くはない関与をした疑いが濃い。安部総理大臣夫妻がこの問題に関与したのであるから、国会答弁に従い、安倍は国会議員と総理大臣の職を辞することが筋となる。

問題の本質は首相夫人の思想性

森友問題は単純な構図の「事件」であるが、問題の本質は総理大臣夫人が、カルト思想の持ち主のままで、さまざまな分野で活動しているという事実であって、こちらのほうが重い問題である。

精神世界への傾斜、ニューエイジ思想、エコロジー思想、自然農法・・・ナイーブ(うぶ)な女性が環境・自然破壊に憤り、社会の諸矛盾に関心を持ち始めた時、神秘思想はその解決の唯一の手段のように思えることがある。資本主義の矛盾の解決には大きな困難が伴うものだが、霊的なものに解決策を求めると、いとも簡単に世界が変革されるような錯覚に陥る。前出のとおり、安倍昭恵はその典型の一人である。

安部昭恵の旋回は、21世紀の今日、だれもが陥りやすい思想的隘路である。ここで先に引用した吉本隆明の言説を繰り返しておく。
現実が強く人間の存在を圧するとき、はじめて人間は実存するという意識をもつことができる。ここで人間の存在と、実存の意識とは、するどく背反する。
実存の意識の獲得は大切な一歩ではあるが、無防備な女性が、カルト思想、神秘主義、ロマン主義、神国思想、国粋主義といった、安易な「変革の思想」に取り込まれる危険もある。精神界、霊界に委ねれば、そこからファシズム、排外主義、国粋主義、超国家主義に通じる道が開かれたことは、20世紀の歴史が証明している。首相夫人である安倍昭恵が、その手の思想に深く染まっている事実を、国民は深刻に受け止めなければいけない。昭恵はマスメディアがつくりあげている、いわゆる世間知らずの「善人」ではない。

前出の中島は、同論文中に次のように書いている。
従来、スピリチュアリティと政治の結びつきは、1960年代後半から70年代のヒッピー文化を底流としてきたため、エコロジーやオーガニックという自然志向とともに、左翼的な主張につながる傾向にあった。しかし、その近代批判が土着文化への回帰を促し、伝統礼賛へと傾斜すると、時に「ニッポンすごい」という愛国的・右派的な言説へと合流する。
          (略)
かつてナチス・ドイツも有機農業を称揚し、独自のエコロジー思想を打ち出した。ヒトラーは「化学肥料がドイツの土壌を破壊する」と訴え、純粋な民族性と国土のつながりを強調した。
〈右派的な権力者・安倍晋三首相〉と〈スピリチュアルな自然主義者・安倍昭恵夫人〉。この両者の一体化は、危険な超国家主義を生み出しかねない。
筆者は中島に全面的に同意する。

2017年3月30日木曜日

東綾瀬公園

桜はまだ、2~3分咲というのに、花見に出かけた。

東綾瀬公園である。

桜並木に入る前に現れた東京武道館。
すごい建物だ。


桜は少々



彼岸桜かな

2017年3月27日月曜日

日本、優位に―W杯、アジア最終予選

サッカーW杯、アジア地区最終予選の天王山とも思われたUAE戦ーー日本が2-0で完勝した。試合前、筆者は相手が初戦黒星を喫した難敵UAEで、ましてアウエー戦、加えてゲームキャプテン長谷部の負傷と、日本にとって心配な材料が揃いすぎていたため、1-1のドローと予想した。ところが、試合結果及び試合内容において、日本の一方的展開である。肩透かしを食らった感じだ。UAEはほとんど日本に抵抗できなかった。日本ってこんなに強かったかしらん。

先発メンバーにおける驚きは、GK川島の起用。川島は所属チームの第三キーパーの序列で、リーグ戦で試合に出場していない。ハリルホジッチ監督によると、中東における経験を買っての起用だと。この起用は、川島が好セーブで同点となるシュートを止めたことが日本完勝のターニングポイントとなったため、ハリルの選手起用が成功したことになる。結果において、ハリルの選手起用を評価しなければなるまい。長友、今野の起用は筆者も予想できたくらいだから、驚きとはいえない。

意外だったのは、UAEの攻撃力に迫力が感じられなかったこと。点取り屋のFWが故障で試合に出られなかったからか。

この勝利(勝点3)で日本は楽になった。ライバル・オーストラリアが勝点3をなかなか上げられない状況に加え、そのオーストラリアとの試合はホームである。最終戦のサウジアラビアとの試合までに、予選通過の目途がついているかもしれない。一方、要注意は、日本がホームで苦戦したイラクである。イラクは祖国が混乱状態にあるなか、オーストラリアとも引き分けている。日本が油断すると、思わぬ結果になりかねない。

2017年3月24日金曜日

ワイン「天地人」

上野桜木のフレンチレストラン「ペペ・ル・モコ」のオリジナルワイン。

フランスでつくられたものを輸入しているという。

ブルゴーニュ産、シャルドネ。


Seize Uncertain Dayーふたしかなその日ー

写真、映像等の作品展が東京芸術大学美術館陳列館にて開催中。

アラーキー、森山大道、中平卓馬らの作品が出展されている。









2017年3月22日水曜日

UAE-日本はドローか

サッカーW杯アジア最終予選UAE―日本が、3月24日金曜日、 0:30、UAEのハッザーア・ビン・ザーイド・スタジアムで行われる。

日本代表のメンバーはーー
GK
川島永嗣 (メッス)、西川周作(浦和)、林彰洋(東京)

DF
(SB)
長友佑都(インテルミラノ)、槙野智章(浦和)、酒井宏樹(マルセイユ)、酒井高徳(ハンブルガーSV)、
(CB)
森重真人(東京)、吉田麻也(サウサンプトン)、昌子源(鹿島)、植田直通(鹿島)
MF
(DMF)
今野泰幸(G大阪)、長谷部誠(フランクフルト)、髙萩洋次郎(東京)、倉田秋(G大阪)、山口蛍(C大阪)
(OMF)
香川真司(ドルトムント)、清武弘嗣(C大阪)、
FW
(RS)
本田圭佑(ACミラン)、久保裕也(ヘント)
(LS)
原口元気(ヘルタ)、宇佐美貴史(アウクスブルク)
(C)
岡崎慎司(レスター)、大迫勇也(ケルン)、浅野拓磨(シュツットガルト)

この試合をもって、当該予選は後半に突入する。日本は予選の初戦・ホームでUAEに負けている。連敗は許されない。そんな中、ゲームキャプテンの長谷部の負傷欠場が報道された。長谷部は現在の日本代表における精神的支柱。日本は危機的状況にある。

筆者の先発メンバー予想は、GK西川、LCB植田、RCB吉田、LSB長友、RSB酒井宏樹、LDMF山口、RDMF今野、OMF香川、LFW原口、RFW久保、CF大迫ーーとなろう。

試合展開としては、アウエーの日本が、たとえ前の対戦で黒星を屈した相手であったとしても、前出のとおり、長谷部不在のなか、リスクを犯して積極的に攻撃に出るとは思えない。負けているから勝ちに行く、というよりも、アウエーを考慮して、慎重な戦いをすることになろう。

日本は、全選手が積極的に守備をし、相手ボールを奪ってのカウンターで勝機を見出す作戦をとる。一方のUAEは、予選リーグ順位では現在、日本より下位にあり、しかもホームだから、前半から日本にプレッシャーを与え、日本陣内に押し込む積極策にでるのではないか。

日本がUAEの圧力に耐えカウンターで1点、UAEが日本を押し込んでファウルを誘い、FKから1点――といった得点シーンが思い浮かぶ。試合結果はずばり、1-1のドローではなかろうか。

侍ジャパン、準決勝で敗退

WBC予選ラウンド6試合を全勝で勝ち進んだ侍ジャパンだったが、ロスアンゼルスでの米国との準決勝で敗退(1-2)。筆者の予想(優勝確率15%=野球評論家張本勲の予想に同意した)どおり、優勝はならなかった。

予選ラウンド6連勝はホームの利

侍ジャパンの現有戦力でベスト4の成績は善戦だといえる。だが、実体としては、▽1~2次予選(東京ラウンド)はホームでの6試合、▽狭い人工芝のドーム球場(TD)、▽恵まれた日程、▽難敵と思われたキューバが不調――という、侍ジャパンには好条件がそろいすぎていた。日本の6連勝の背景には、日本ホームのなか、密閉空間(=ドーム球場)における異常な応援が、相手選手を精神的に揺さぶった可能性もある。

捕手小林の好成績は驚き

侍ジャパンの予選6試合では、筆者にとって想定外の展開も見られた。第1点は、二塁・菊池(広島)の好守備。奇跡的とも思える好プレーを連発して、日本チームの窮地を救った。第2点目は、捕手・小林(読売)がラッキーボーイとなったこと。菊池の守備は定評があったから驚きは少ないが、小林については想定外以外の何物でもなかった。拙Blogで、小林が日本代表に選出されたこと、及び、代表レギュラー捕手となったことを批判したくらいだ。ところが、打率シーズン2割程度の小林が、WBC7試合で、4割超の打率を残した。

肝心のリード面では、それほどの驚きはなかったけれど、無難に仕事をした。小林の意外性は、予選ラウンド、9番ながら再三再四、タイムリーをしぶとく放ったこと。相手投手が、小林を舐めた結果、彼に痛打を食らったような気がする。データでは、シーズン打率2割そこそこの9番打者――しかも小柄な体格な小林の打席の姿を見て、相手投手が気を抜いたとも考えられる。

侍ジャパンの実力はWBC中5位程度

侍ジャパンの成績は、2017WBCベスト4だが、実力では、このたび決勝に進んだプエルトリコ、米国、予選1次ラウンドでは米国に勝ったドミニカ、そして日本に惜敗したオランダに次いで世界5位といったところではなかろうか。予選6試合が東京開催になるWBCのレギュレーションならば、日本はこの先(開催があるならば)、準決勝(ベスト4)に進める可能性は高い。しかし、WBCが、FIFAW杯(サッカー)のようなセントラル開催方式に切り換われば、他国開催のWBCにおいて、予選ラウンドで敗退する可能性の方が高いように思われる。

日本の守乱は人工芝、ドーム球場慣れ

米国との試合では、日本の2失点はミスがらみだった。最初の失点は、名手菊池(二塁手)のエラーが起点となったし、決勝点となる2失点目は、三塁手・松田のファンブルによるものだった。堅守と投手力が売り物の日本のスモール・ベースボール。その一角である守備の乱れから日本が負けたのは意外といえば意外だが、それなりに理由がある。第一は、準決勝の舞台がMLBの球場(ドジャースタジアム)であったこと。日本はアウエー、しかも、天然芝、屋外球場で天候は霧雨。NPBの内野手の多くがドーム球場で育っていることを考えると、天然芝で広く、雨、風、太陽の影響をまともに受けるMLBの屋外球場では、うまくいかなくて当然。しかも、敵地となれば、プレッシャー及び時差等のコンディション調整も難しくなる。侍ジャパンの野手が狭いドーム球場(たとえば東京ドーム等)を多く経験し、しかも、アウエーの一発勝負、緊迫した試合をそうそう経験する機会を持てない以上、WBCにおける侍ジャパンの成績は、よくてベスト4程度となることは容易に想像がつく。

2017年3月8日水曜日

森友学園=日本会議、教育勅語、儒教

森友学園事件について書いておこう。この件の詳細については、TVの情報番組等で報道されているので省略する。なかで注目すべきは、安部首相とその妻及び自民党政治家、行政(財務省、国交省、大阪府)が、事実上日本会議が運営しようとしている森友学園小学校設立のため、特別な便宜を図ったことだ。

森友学園=日本会議と安倍首相は深い関係

森友学園(日本会議)は、安倍首相を強く支持している。また、安倍及びその一派も日本会議のイデオロギーを支持している。日本会議は、戦前の日本を理想とする団体で、「保守主義者」「伝統主義者」と呼ばれるが、彼らの思想、理念等は支離滅裂である。『日本会議の研究』の著者・菅野完によれば、日本会議に確たる綱領・理念はなく、彼らが今日、日本の政治を左右するまでの地位を築いたパワーの源泉は、“なんとなく”反左翼という日本的草の根保守層から、過激な右翼ファシスト(天皇絶対主義者、旧日本帝国礼賛者、国粋主義者、差別主義者…)及び神道信仰者までを包含して束ねるだけの、運営力・事務力だとされる。

日本会議が教育理念とする『教育勅語』は古代中国の儒教が淵源

彼らの思想的支離滅裂さの好例を挙げておこう。日本会議は反中国を旨とし、中国の日本への影響を極力排除すべく、地道な運動を続けている。森友学園(日本会議)がすでに設立した幼稚園では、園児に『教育勅語』を暗唱させている。森友学園(日本会議)は『教育勅語』を礼賛し、日本人の教育の原点に据えたいと考えている。

そこで『教育勅語』の原文――

【教育に関する勅語】
朕󠄁惟フニ我カ皇祖皇宗國ヲ肇󠄁ムルコト宏遠󠄁ニ德ヲ樹ツルコト深厚ナリ
我カ臣民克ク忠ニ克ク孝ニ億兆心ヲ一ニシテ世世厥ノ美ヲ濟セルハ此レ我カ國體ノ精華ニシテ敎育ノ淵源亦實ニ此ニ存ス
爾臣民父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦󠄁相和シ朋友相信シ恭儉己レヲ持シ博󠄁愛衆ニ及󠄁ホシ學ヲ修メ業ヲ習󠄁ヒ以テ智能ヲ啓󠄁發シ德器ヲ成就シ進󠄁テ公󠄁益ヲ廣メ世務ヲ開キ常ニ國憲ヲ重シ國法ニ遵󠄁ヒ一旦緩󠄁急󠄁アレハ義勇󠄁公󠄁ニ奉シ以テ天壤無窮󠄁ノ皇運󠄁ヲ扶翼󠄂スヘシ
是ノ如キハ獨リ朕󠄁カ忠良ノ臣民タルノミナラス又以テ爾祖先ノ遺󠄁風ヲ顯彰スルニ足ラン
斯ノ道󠄁ハ實ニ我カ皇祖皇宗ノ遺󠄁訓ニシテ子孫臣民ノ俱ニ遵󠄁守スヘキ所󠄁
之ヲ古今ニ通󠄁シテ謬ラス之ヲ中外ニ施シテ悖ラス朕󠄁爾臣民ト俱ニ拳󠄁々服󠄁膺シテ咸其德ヲ一ニセンコトヲ庶󠄂幾󠄁フ
明治二十三年十月三十日
御名御璽

ここに示されたのは、日本が古くから天皇の国として始まっていて、臣民(天皇の民)が、天皇がおさめる国家のためになにをなすべきか(理念)が明らかにされ、そのことを学ぶための教育理念と指針が明記されていると解釈できる。

Wikipediaによると、
教育勅語は、明治天皇が首相と文相に自ら与えた勅語であり、文中では「爾臣民」(なんじしんみん)、すなわち国民に語りかける形式をとる。

まず皇祖皇宗、つまり皇室の祖先が、日本の国家と日本国民の道徳を確立したと語り起こし、忠孝な民が団結してその道徳を実行してきたことが「国体の精華」であり、教育の起源なのであると規定する。続いて、父母への孝行や夫婦の調和、兄弟愛などの友愛、民衆への博愛、学問の大切さ、遵法精神、一朝事ある時には進んで国と天皇家を守るべきことなど、守るべき12の徳目(道徳)が列挙され、これを行うのが天皇の忠臣であり、国民の先祖の伝統であると述べる。これらの徳目を歴代天皇の遺した教えと位置づけ、国民とともに天皇自らこれを銘記して、ともに守りたいと誓って締めくくる。
それらの要約が、「12の徳目」と呼ばれるもの。
1.父母ニ孝ニ (親に孝養を尽くしましょう)
2.兄弟ニ友ニ (兄弟・姉妹は仲良くしましょう)
3.夫婦相和シ (夫婦は互いに分を守り仲睦まじくしましょう)
4.朋友相信シ (友だちはお互いに信じ合いましょう)
5.恭倹己レヲ持シ (自分の言動を慎みましょう)
6.博愛衆ニ及ホシ (広く全ての人に慈愛の手を差し伸べましょう)
7.学ヲ修メ業ヲ習ヒ (勉学に励み職業を身につけましょう)
8.以テ智能ヲ啓発シ (知識を養い才能を伸ばしましょう)
9.徳器ヲ成就シ (人格の向上に努めましょう)
10.進テ公益ヲ広メ世務ヲ開キ (広く世の人々や社会のためになる仕事に励みましょう)
11.常ニ国憲ヲ重シ国法ニ遵ヒ (法令を守り国の秩序に遵いましょう)
12.一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ (国に危機が迫ったなら国のため力を尽くし、それにより永遠の皇国を支えましょう)
姜尚中はあるTV番組の中で、“『教育勅語』とは古代中国の儒教をもとにして、維新政府がつくりあげたもの”だと指摘し、“日本会議が、彼らが大嫌いな中国の教え(儒教)をありがたがるとは、滑稽である”と一笑に付した。筆者も姜尚中に同意する。

日本会議が嫌悪する現代中国が儒教を国策に

それだけではない。日本会議が回帰したがっているのは戦前の日本。そのために彼らが改革したがっているのが日本の教育理念、すなわち教育基本法。そして教育基本法に代わる教育理念として、『教育勅語』の復活を意図している。

ところが、姜尚中が指摘した通り、その真髄は儒教であり、しかも日本会議が敵視する現代中国は、儒教をソフト・パワーの源泉として、外交政策、国内政策を推し進めているのである。なんと、日本会議と現代中国は、儒教を礼賛し政策として掲げる点で、奇妙な一致を見せる。

日米外交研究者の宮里政玄は、中国が行使したいソフト・パワーの理念は、日本会議が大好きな「教育勅語」の原型にある儒教だ、と次のように書いている。

中国のソフト・パワーは二つの特徴の組み合わせから説明できる(以下は、天児彗「中国の台頭と対外戦略」天児彗他編『膨張する中国の対外関係』勁草書房2010年に拠る)。
第一は構造としての円錐型、同心円型に広がる権威主義的階層型秩序である。その権威の階層性を創りだすものは「文化」(儒教思想)の体得の度合いである。(略)
第二の特徴は、秩序形成における非法制性と主体の重層性である。秩序形成に関する儒教の有名な言い回しとして「修身・斎家・治国・平天下」がある。そこには各人・家・国・世界とアクターを重層的にとらえ、法や制度の体系ではなく修養、教化による秩序形成がポイントになっている。(略)
・・・問題は、価値の基準を儒教的価値観においていること、しかもそれを基準に上下関係を重んじる権威主義的思考を強く残していることである。(『沖縄VS.安倍政権』P57~58)
現代中国が対外的に行使しようとする儒教に基づくソフト・パワーは、宮里によると、あまりうまくいっていないらしい。たとえば中国政府は、外国における孔子学院の設置(400カ所以上)や、孔子の生誕地である山東省曲阜を聖地エルサレムになぞらえ、孔子が生まれたという洞窟近くに総工費85億元という孔子にまつわるテーマパークを建設したりしているという。

森友学園(日本会議)の小学校も儒教(『教育勅語』)を理念としながら生徒が集まらず、中国もソフト・パワーの源泉を儒教に求めながら、うまくいっていない。儒教は現代においては人気がないようだ。

ところが報道よると、安倍夫妻を始めとする日本の「保守」政治家の多数が、日本会議が創設し運営する幼稚園を称賛していて、その根拠として、園児が『教育勅語』を暗唱している姿に感銘を受けたとコメントしている。安倍夫妻及び日本の「保守」政治家は、『教育勅語』のソースが中国の儒教にあることを知らないのだろうか。彼らは戦前の日本(明治維新後)の姿を「伝統」というが、それは、維新政府が捏造した儒教、国家神道、西欧の立憲君主制を合成した奇怪な「伝統」にすぎないことを・・・


安部夫人が、日本会議が開設しようとした小学校の名誉校長を引き受けたのは、安倍夫妻が日本会議と深い関係にあるからであって、たまたま名前を貸したものではない。日本会議のイデオロギーに共感したからであり、日本の「保守」政治家の多くは、日本会議の援助を受け、その見返りとして、彼らを国政に近づけつつ、世俗的便宜を図っている。

戦後日本の基礎をつくったのは戦前・戦中の教育を受けた世代

日本会議は、現代日本の「頽廃」が戦後憲法にあり、日教組を中心とした戦後教育(教育基本法)の悪い影響にあると考えている。もちろんこの認識は間違っていて、戦後高度成長期(1960年代初頭)以降の日本社会の指導層は当時40歳以上の世代、つまり戦前・戦中教育を受けた世代であった。戦後教育を受けた1945年以降生まれが日本社会の中核を担うようになったのは、彼らが40代に達した1985年以降からである。つまり、戦後日本社会の基礎をつくりあげ、今日のような状況をつくりあげたのは、戦前・戦中教育を受けた世代である。そればかりではない。戦後の日本社会が戦前・戦中のそれより悪くなったという根拠はどこにもない。

美しくない戦前・戦中の日本社会

明治維新から太平洋戦争敗戦までの戦前、戦中の日本社会においては、公安警察(特高)らの手により、共産主義者はもちろんのこと、社会主義者、自由主義者までが公職追放もしくは逮捕・拘束されるような世の中だった。教育の現場では前出のとおり『教育勅語』が暗唱させられ、思想・信条・信仰の自由が許されなかった。国民は国家が起こした無謀な戦争で死ぬことが強制される社会だった。

戦前・戦中は、排外主義、人種差別、強制労働、強制収容所、拷問が容認されるような社会であり、挙句が、日本人だけでも300万人以上が戦争の犠牲になり、国は焦土と化し、国民は飢餓に喘いだ。そのような日本社会のどこが「美しい」のであろう。

日本会議・現代中国が目指すのは「円錐型、同心円型に広がる権威主義的階層型秩序」

そのなかで『教育勅語』が果たした役割は、前出の宮里が引用した、「構造としての円錐型、同心円型に広がる権威主義的階層型秩序」をつくりあげることだった。そして、いま現代中国も、儒教を駆使して国内外に戦前・戦中日本と同型の、権威主義的階層秩序型社会を強制しようとしている。筆者は日本会議も嫌悪するし、現代中国も同じように嫌悪する。構造としての円錐型、同心円型に広がる権威主義的階層型秩序の社会を嫌悪する。それゆえに、日本会議を支持する、安部首相夫妻、「保守」政治家、及び行政機構(財務省、国土交通省、大阪府)を嫌悪する。

似非保守・日本会議とは一線を画す、真正の右翼・見沢知廉(1995-2005)は確か『天皇ごっこ』のなかだったと思うが、自身が北朝鮮を訪れた際、“日本が太平洋戦争に負けていなかったら、北朝鮮のような国になっていたいに違いない”というような意味のことを書いていたと思う。かの国も中国と同様、儒教の国である。

2017年3月5日日曜日

侍ジャパン、小久保監督更迭以外に道はなし

日本プロ野球WBC日本代表(以下、「侍ジャパン」)がうまくいっていない。調整試合の内容が悪い。主因は選手の調子がいまだに上がっていないこと。WBCに合わせてきた、と各代表選手は口々にメディアの前でコメントしてきたが、「建前と本音の…」というやつか。投打ともにいま一つ。

選手に同情すべき点もある。通常の開幕のおよそ一月前に本調子に仕上げるのは容易ではない。

そればかりではない。代表監督・小久保裕紀の力量不足が目立つ。そのことを象徴したのが、3月3日の阪神との調整試合だった。3点リードされた6回ワンアウトランナー一塁、打者9番小林誠司(読売)のときに送りバントのサイン。この場面で、小久保の無能が大衆的に暴露された。

その第一は、小林誠司が捕手部門で代表選出されていること。小林誠司は強肩で盗塁阻止率日本一の成績を残している。だが、代表選手には、総合力が求められる。とりわけ捕手の場合は、試合を読み解く洞察力及び投手のリードに係るプライオリティーがもっとも高く、以下、守備力、打力、盗塁阻止率…と続く。小林誠司は捕手に優先される能力において、代表の資格がない。小久保は盗塁阻止率という数字だけで小林を代表に招集したのではないか。観念的すぎる。

第二は、6回、3点ビハインドの局面で送りバントは絶対にない。もちろん強行しなければいけない。小林誠司の打撃は投手並みに悪いから、当然代打策だ。なぜならば、6回で1点返しても、試合に影響しない。しかも、WBCルールは投手の投球数に制限がかけられている。つまり、相手に1球でアウトを一つ献上するバント作戦はそぐわない。大会に突入したとき、日本代表が浅い回からバントを多用するようだと、相手投手を助けるようなもの。そのあたり、小久保はWBCのレギュレーションをまるで理解していない。

第三は、故障している嶋基宏(楽天)をこの期に及んで捕手枠に入れていること。この試合まで、侍ジャパンの捕手は、先発の小林誠司、嶋基宏、大野奨太(日本ハム)の3選手。ところが、小林誠司に代打を送れなかったのは、嶋基宏が故障で試合に出られる状態になかったからだという。つまり捕手として3選手を登録していながら、使えるのは2選手ということ。では、嶋基宏はなんのために侍ジャパンに同行しているのか。まったくの無駄であるどころか、マイナスではないか。小久保裕紀には、監督として勝つつもりがない、と思われても仕方がない。まったく理解に苦しむ。

しかも、なんとこの試合後に、嶋基宏の登録を抹消して、炭谷銀仁朗(西武)を入れた。呆れてものもいえない。合宿に参加していない捕手をいまごろ呼んでどういうつもりなのか。嶋基宏の故障の具合について、監督が把握していないというのは、いったいどういうことなのか。

第四に、調整試合を有意義に使えていない。壮行試合、調整試合、親善試合というのは、大会前に選手を実戦で試し、さまざまな情報を得るためのもの。大会本番で使える選手、使えない選手の見極めをすることだ。選手の入れ替え、打線の組み替え、守備位置の変更…試行しなければ、わからないことが多い。

短期戦は、リーグ戦のような長丁場でないから、修正が難しい。たとえば、坂本勇人(読売)の状態をどうみるか。彼がこの先使える選手なのかどうか――昨シーズンの成績や過去の実績に拘泥することなく、感性で采配をふるわなければならないこともある。小久保には、その感性が不足している。

繰り返すが、小久保裕紀は代表監督としてふさわしくない。▽代表選手選考→センスがなく観念的、▽采配面→点差、残りイニング数、WBCレギュレーション…等に考えが及ばない、▽選手の状態把握→使えない選手を登録、個々の選手の調子の見極めができていない、▽調整試合の利用→実行力、判断力、想像力に欠ける――と、監督の能力、資質がない。

小久保は監督業としては、いまだ素人の域。そんな小久保だが、彼は監督の経験はないに等しい、でも、そんなこと、プロ野球関係者なら、だれでもがわかっていること、わかっていながら…である。

侍ジャパンに期待できない。NPB、選手、スタッフ…は、ようするに、本気ではないからだ。今朝のTVの情報番組で、辛口コメンテーターの張本勲氏は、「8割5分、侍ジャパンに(優勝の)可能性はない」と断言したらしいが、筆者も張本氏に同意する。

2017年3月3日金曜日

順位予想(パリーグ)及び大谷の故障について

(一)パリーグ順位

パリーグの順位については、昨年同様、日本ハム・ソフトバンクの2強が首位を争うものと予想する。パリーグはBクラスがなく、その他4球団がCクラス評価で、ドングリの背比べ状態。Cクラスのうち、西武、オリックスは、昨年より戦力をダウンさせており、最下位を争う。そして、補強に積極的だった楽天と、中堅クラスの選手が成長過程にあるロッテが、クライマックス狙いの3位を争う。とはいうものの、この4球団の優劣を探るのは容易ではない。結局は昨年とかわりばえのしない、おもしろくないリーグ戦が継続されるだろう。順位予想としては、以下のとおり。

1.ソフトバンク、2.日本ハム、3.楽天、4.ロッテ、5.西武、6.オリックス

昨年、絶対優位に立ちながら、選手・スタッフの油断及び工藤監督の多発する采配ミスで日ハムにひっくり返されたソフトバンクだが、今年はその反省を踏まえ、優勝する。昨年、奇跡の大逆転優勝をした日ハムだが、今年は「二刀流」大谷が途中ダウンして、2位どまり。前述のとおり、3位以下は予想しがたいが、オリックスの最下位はかたいところ。

(二)「二刀流」大谷翔平の今シーズンは?

「二刀流」大谷(日本ハム)が右足首の故障でWBC出場を断念した。シーズン突入後、大谷はもっと重い故障に見舞われる可能性もある。このたびの右足首故障の原因は部外者の筆者にはわからないものの、右足は大谷が投手(右投げ)のときの軸足で、打者(左打ち)のときの踏み込み足に該当する。つまり、力の係り具合が投手と打者で正反対となる。つまり、どちらかの動作中にタイミングを失すると、故障を起こしやすい。

大谷が打者、投手の練習をこの先、いまと同じ方法で継続すれば、加齢とともに、彼の肉体の比較的弱い部位で故障を発症しやすくなる。足首はその典型であり、悪い予兆である。つまり、大谷の選手生命は、「二刀流」を継続すればするほど短くなる。

いまは若いから筋肉、関節等が酷使に耐えられているが、疲労が蓄積するに従い、故障が起こりやすい。このたびの故障が軽い剥離骨折だったかどうかは断言できないが、たとえば、剥離骨折は、突発的に痛みに襲われることが多く、本人に故障の原因が自覚しにくい。体重を支える足首にくることが多い。足首は本来的に弱い部位であり、鍛えにくいからだ。足首の剥離骨折はやっかいで、完治しないまま酷使すると、すぐ再発する。

筆者は大谷の才能を重く見るがゆえに、早くに「二刀流」を断念せよ、と拙Blogにて書き続けてきた。本人の意志を尊重するという栗山監督の発言があったが、投手専念を説得できないとは情けない。大谷の投手としての非凡な才能が、球団経営の犠牲になるのだけは見たくない。