2017年8月25日金曜日

オーストラリア戦、先発・ベンチ入り選手を予想する(サッカー日本代表)


サッカー日本代表がW杯予選出場候補選手27名を公表した。内訳は以下のとおりであるが、合計が27名と普段より多い。代表監督のハリルホジッチは海外組の中に故障者等が多いことから、詳細な検証を加えてベンチ入り23名を決めるという。このたび発表された代表メンバーは以下のとおりである。


  • GK=川島永嗣(メッス)、東口順昭(G大阪)、中村航輔(柏)
  • DF=長友佑都(インテルミラノ)、槙野智章(浦和)、吉田麻也(サウサンプトン)、酒井宏樹(マルセイユ)、酒井高徳(ハンブルガーSV)、昌子源(鹿島)、植田直通(鹿島)、三浦弦太(G大阪)
  • MF=長谷部誠(フランクフルト)、髙萩洋次郎(東京)、香川真司(ドルトムント)、山口蛍(C大阪)、小林祐希(ヘーレンフェイン)、柴崎岳(ヘタフェ)、井手口陽介(G大阪)、
  • FW=岡崎慎司(レスター)、本田圭佑(パチューカ)、乾貴士(エイバル)、大迫勇也(ケルン)、原口元気(ヘルタ)、武藤嘉紀(マインツ)、杉本健勇(C大阪)、久保裕也(ヘント)、浅野拓磨(シュツットガルト)

*合計27名(GK=3、DF=8、MF=7、FW=9)

選考された27名を実績で見る限り、最善の選択だと思われる。だが、前出のとおり、問題はコンディション不良を伝えられる選手が多数含まれていること。香川(6月のシリアとの親善試合で左肩を脱臼)、本田(右ふくらはぎ肉離れ)、大迫(右足首の靱帯損傷)、原口(契約トラブルによる調整不足)、久保(リーグ戦絶不調)――と故障者等が攻撃陣に集中している。香川、本田、大迫は直近の各国リーグ戦に出場しているものの、先発で90分出場したわけではない。所属クラブにおいても、彼らがフルタイム使えるかどうかは手探り状態にあるように思える。

ベンチ入り23名はだれだ

ベンチ入り23名はどうなるのか。それはハリルホジッチの情報収集と分析を踏まえた決断にゆだねられるのだが、筆者の勝手な想像を以下に記述してみよう。最終選考のポイントはフィジカルの強いオーストラリアの圧力に耐えられる選手ということではないか。

23名の選考方法の定番として、GK3人を除いた20人をポジション別に2人ずつで振り分ける方法がある。オーストラリア戦に臨む日本代表のフォーメーションは、守備を重視した4-2-3-1となる可能性が高く、DF=8枠(CB=4、SB=4)、守備的MF=4枠、攻撃的MF=2枠、FW=6枠(サイド=4、ワントップ=2)――となる。(*8+4+2+6=20)
  • DF8枠は簡単。先発はCB=吉田、昌子(控え=植田、槙野)、SB=長友、酒井宏(控え=酒井高、三浦)で決まり
  • 守備的MF4枠と攻撃的MF2枠は流動的で計6枠となり、守備的MFの先発が長谷部、山口、攻撃的MFの先発が柴崎、控えに井手口、香川、小林
  • FW6枠も難しく、先発は右に久保、左に原口、控えに本田、乾、ワントップには先発に岡崎、控えが浅野
結果、MF高萩、FWの大迫、杉本、武藤の4人がベンチ外。

オーストラリア戦のゲームプラン

8月25日現在の予選順位は以下のとおり。残り2試合である。

1.日本(17)、2.サウジアラビア(16)、3.オーストラリア(16)、4.UAE(10)、5.イラク(5)、6.タイ(2)

上位3国の無条件予選通過(2位以内)に必要な勝点は19(もしくは20)。日本はオーストラリア、サウジアラビアと試合を残しているから、日本がどちらかに勝てばどちらも20にとどかなくなる。数字的には日本は優位といえる。とはいえ、日本の最終試合はアウエーのサウジアラビアで、オーストラリアはタイである。

29日に行われるUAEーサウジアラビア(UAEホーム)で、サウジアラビア(勝点16)が勝てば、サウジの勝点が19に伸びるし、引分ならば17、負ければ16どまり。

そのどちらかの状態で、オーストラリアと日本は試合をするわけだが、最も優位にあるのは日本ではなくオーストラリア。なぜならば、同国の最終試合はタイだから。日本とサウジアラビアは最終試合で星のつぶし合いになる。日本ーオーストラリアをオーストラリアから見ると、負けられないが、引分ならOKという判断があるかもしれない。一方の日本は、最終試合がサウジアラビアであるところから、勝って決めたいところ。日本は引分で勝点18でサウジアラビアとアウエーで戦いたくない。同国に負ければ3位でプレーオフとなる。

オーストラリアは、29日の結果に関わりなく、日本戦のゲームプランはリスク回避の堅守速攻を採用し、日本とのアウエー戦を敗戦回避する戦略をとる。つまり、引分(勝点1)でもよいという戦い方を選択するような気がする。

オーストラリアの引分狙いに日本がずるずるとハマると、日本は最終戦、苦しい立場でサウジアラビア戦に臨まなくてはならない。中東のアウエー試合ではなにが起こるかわからない。29日のサウジアラビアの結果いかんにかかわらず、日本はリスク覚悟でオーストラリアに勝ちに行かなければならない。

2017年8月21日月曜日

誕生日ほか

娘夫婦が、5月から8月までの母の日、父の日、家内の誕生日、私の誕生日をまとめてやってくれました。

なかなか豪華なランチ。

ありがとう。






2017年8月20日日曜日

海外組か国内組か――不毛の論争(サッカー日本代表)

サッカーW杯ロシア大会アジア地区最終予選がいよいよ佳境に入ってきた。予選残り試合は8月31日のオーストラリア戦(ホーム=H)、9月5日のサウジアラビア戦(アウエー=A)の2試合のみ。日本がオーストラリアに勝てばロシア行きが決まるが、引分だと混戦に、負ければ3位に後退する可能性もある。

ちなみに、ここまでの順位は以下のとおり。( )内は勝点

1.日本(17)、2.サウジアラビア(16)、3.オーストラリア(16)、4.UAE(10)、5.イラク(5)、6.タイ(2)

代表最大の危機到来か

31日のオーストラリア戦はいわば「天下分け目の戦い」に等しいのだが、ここのところ日本代表を取り巻く状況は悪い。代表選手選考においてかつてない困難に直面している。主力選手にケガ人が続出しているのだ。

8月20日現在で判明している故障者を挙げてみると、本田圭佑(FW/パチューカ)、香川真司(FW/ドルトムント)、大迫勇也(FW/ケルン)、久保裕也(FW/ヘント)、清武弘嗣(MF/セレッソ大阪)、森重真人(DF/FC東京)――となっている。海外組、攻撃陣に多いことが特徴である。

ハリルジャパンにとって最大の誤算は大迫。彼は懸案だったワントップの役割をこなし、攻撃の基点となってきた存在。チームにおける重要度は本田より高い。大迫の代役はいない、といっていいすぎでない。

国内組か海外組かーー起源はオシム発言?

そこで台頭するのが国内組活用論。Jリーグで活躍している選手を積極的に代表に呼ぶべきだ、という声が高まる。

国内組活用論の根拠は、海外リーグで試合に出ない選手よりも、国内で試合に出ている選手を起用したほうが、代表チームは強くなるという論理に要約できる。この論議の発端は、筆者の記憶では、オシム元日本代表監督の発言からだったと思われる。オシムは独特のサッカー哲学を――例えばロシア革命の指導者レーニンの発言等を引用したりして――日本のサッカーファンに伝えた人物である。日本代表監督を務めて間もなく病に倒れ、日本代表監督としてはW杯に出場していない。

それでもオシムはオシム以前の代表監督と比較して、圧倒的な影響を日本人に与えた。そして彼のウイットに富んだ言説は、日本のサッカーファンの記憶の中に生き続けている。そのオシムが、日本代表監督当時、「(海外有名クラブに所属していても)試合に出ていない選手は代表に呼ばない」と公式に発言した。

オシムの真意はジーコ批判と競争原理導入

この発言の背景には、オシムの前任のジーコが、海外組を代表に優先して招集していた状況への批判だった。もちろんオシムはジーコを名指しで批判したわけではない。ジーコは、日本代表チームの強化方法としてメンバーを固定することにより、熟達したコンビネーションの完成を目指した。この方法でジーコジャパンはW杯予選を乗り切ったが、本大会では予選敗退という惨めな結果で解散した。その後を受けたオシムは、代表チーム活性化の方法として、競争原理を導入しようとした。

カリスマ・オシムに追随するハリルホジッチ

さて、ハリルホジッチである。彼はオシムと同郷(旧ユーゴスラビアのボスニアヘルツェゴビナ)で、オシムの影響を少なからず受けているサッカー人だ。ハリルホジッチもオシムと同様、「試合に出ていない選手は代表に呼ばない」と公言し続けてきた。

日本のサッカーファン、とりわけ代表ファンはオシムを神格化し、彼の言葉を真に受ける傾向が強い。『オシムの言葉』という単行本がえらく売れたくらいなのだ。筆者は、オシムの発言のなかのうち、「試合に出ていない・・・」については、そのまま受け取れないと思っていた。試合に出ていない選手は代表に呼ばないという発言は代表候補選手に対する強いメッセージには違いないが、監督がそれをそのまま実行するかどうかは別だと。

筆者がオシムの発言を真に受けない理由は、Jリーグを後にして海外の高いレベルのクラブに移籍したが控えの選手と、Jリーグクラブでレギュラーの選手を単純に比較していいのかーーによる。試合に出なければ、試合勘は失われるし、試合におけるスタミナも弱まる。その一方、試合に出ていなくても、資質、経験において国内組を圧倒しているケースもあり得る。

GK川島の招集と先発起用が意味するもの

たとえば、今回のW杯アジア地区予選(2017/3月)、ハリルホジッチは、当時、所属クラブのメス(フランスリーグ)で第三GKと評価されていた(試合出場のなかった)川島永嗣をアウエーのUAE戦に抜擢した。今年3月といえば、日本代表が初戦のUAE戦で敗退し、次のタイ戦(A)で勝利したものの、内容の悪かった時期。「試合に出ていない選手は代表に呼ばない」という言説を盲信すれば、GKという難しいポジションにおける川島の代表招集、先発起用はあってはならないし、結果が悪ければ暴挙、愚挙の誹りを免れない。だが結果において、川島は先発起用にこたえ、この試合の勝利以降、ハリルジャパンは流れをつかみ、予選順位トップの位置をつかむに至っている。

それまでの日本代表のGKの体制は、正GKにJリーグナンバーワンと評価されている西川周作、第二GK林彰洋、第三が東口順昭であった。川島はJリーグよりレベルの高いフランスリーグのメスに所属しているとはいえ、試合にまったく出ていなかった。それでも、ハリルホジッチは彼を予選の重要な試合で使った。その経緯については、『Number』誌が詳しく伝えているので参照してほしい。

こうした起用はGKに限らない。ハリルホジッチも、その前のザッケローニも、岡田もオシム・・・も、代表選手選考については、総合的判断によって決断されてきた。経験のない若手選手を突然、重要な試合に起用することもある。すべてが成功するわけではない。結果が悪ければ、叩かれる。プロフェッショナルスポーツはすべてがそうである。選手を固定して戦えば、結果が悪くても受ける批判は弱いかもしれない(ジーコジャパンのように)。だが、それでは新しいヒーローは永遠に誕生しないし、代表チームも強くならない。そのことはジーコジャパンが証明してしまった。

代表選考基準とは〈総合的判断に従う〉という哲理に尽きる

代表選手選考の基準は「試合に出ていない選手は呼ばない」であり、同時に、「試合に出ていても、力がなければ呼ばない」と表現すべきであろう。川島の招集は、代表候補選手に新たな刺激となったように思う。

どのような状況にあれ、試合に臨むプロ選手がとるべき態度は、最良の準備を怠ってはならないということに尽きる。一方の監督・コーチは、すべての選手を偏見なく正しく見極めるということに尽きる。

2017年8月19日土曜日

筋トレの会

スポーツクラブで筋トレを一緒にやっている有志と食事会(拙宅にて)

手前の太めの方は、ベンチプレス120キロを上げます。



2017年8月14日月曜日

NPB、いよいよ終盤へ(パリーグ編)

パリーグの順位は以下のとおり。
  1. ソフトバンク=勝率(.657)打率(.264)防御率(3.23) ゲーム差
  2. 楽            天=勝率(.656)打率(.263)防御率(3.29)   1.5
  3. 西            武=勝率(.594)打率(.263)防御率(3.32)   7
  4. オリックス   =勝率(.455)打率(.256)防御率(3.65)   21
  5. 日本ハム      =勝率(.337)打率(.238)防御率(4.18)   33
  6. ロッテ         =勝率(.327)打率(.226) 防御率(4.44)  34
(2017/08/14/15:05現在)

筆者の開幕前の順位予想は、1.ソフトバンク、2.日本ハム、3.楽天、4.ロッテ、5.西武、6.オリックスであった。

パリーグもセリーグと同様、「絶対最下位」がいる。ロッテだ。伊東監督の来季辞任も発表され、この球団の残り試合はもはや、消化ゲームとなってしまった。昨年3位の好成績だったが、打の主力ディスパイネがソフトバンクに移籍し、その穴を埋めるべく獲得した外国人が不調。投の主軸石川もWBC後遺症で不振。最下位の主因となった。外国人に恵まれた楽天及びオリックスに比べ、ロッテの戦力不足は明白だ。

昨年優勝の日本ハムも大谷が故障欠場、投手の有原が不振。FA移籍及び積極的金銭トレードで主力が抜け、チーム力が落ちてしまった。昨年1位・3位の上位チームが地面まで落下、その上に楽天、西武、オリックスが乗っかっている状態なのが、パリーグのここまでの順位といえる。

パリーグの興味は、ソフトバンクと楽天の優勝争いに絞られた。CS(クライマックスシリーズ)進出はいま現在の上位3チームで変動はない。

近年、「実力のパ」といわれてきたものの、ロッテ、オリックスの弱体化が気になる。この2球団の積極的投資を望みたい。

育成した選手を他球団に売って利潤獲得を目指す日ハムの経営については、今シーズンに限ればうまくいっていない。移籍した主力の代わりになる選手が育ち切っていないからだ。「売れるときに売ろう」というのは鮮度にこだわる親会社(食品)の経営感覚かもしれないが、職業野球選手はそう簡単には育たない。

2017年8月11日金曜日

NPB、いよいよ終盤へ(セリーグ編)

NPB(日本プロ野球)も残りおよそ40試合、終盤に近付いている。セリーグの順位は以下のとおり(2017/08/11/pm4:00現在)。

  1. 広      島=勝率(.630)(打率.276、防御率3.35) ゲーム差
  2. 阪      神=勝率(.545)(打率.244、防御率3.27)  8.5
  3. DeNA=勝率(.526)(打率.254、防御率3.75)10.5
  4. 読   売 =勝率(.485)(打率.250、防御率3.51)14.5
  5. 中    日=勝率(.444)(打率.252、防御率3.92)18.5
  6. ヤクルト=勝率(.347)(打率.237、防御率4.26)28.5



開幕前の筆者の順位予想は、1.広島、2.DeNA、3.中日、4.読売、5.ヤクルト、6.阪神-であった。最下位予想の阪神が2位をキープしていて、いまから最下位に転落する可能性はゼロに近いので、筆者の予想は阪神に関しては外れた。


「絶対最下位」ヤクルト――ここまで多数の故障者続出は予想できず

「絶対最下位」のヤクルト。勝率3割4分7厘の成績は故障者続出による。攻撃面(チーム打率.237、リーグ最下位)の弱体化については、優勝(2015)したときの主軸打者=川端慎吾、畠山和洋、雄平が消え、山田哲人が低打率に喘いでいる状況から生じた。ここまでの大量故障者はさすがに予想できなかった。

投手陣では、2015年活躍した救援陣(ローガン・オンドルセク、トニー・バーネット、オーランド・ロマン、久古健太郎)、先発陣では館山昌平らが退団したのだが、その穴が埋まっていない。しかも、小川泰弘の不調、石川雅規の衰えを若手がカバーできなかったため、先発も壊滅状態。結果、この惨状を招いた。要するに、選手層が薄い。主軸と控えの差が大きく、故障者を埋める戦力がない。ヤクルトのチーム再建には相当の時間を要する。

予想どおり4位の読売――金満スキャンダル球団の面目躍如

4位の読売は予想どおり。読売は低迷する状況打開を目指してオールスター戦近くにケーシー・マギーを二塁にコンバートした。時を同じくしてFA加入の陽岱鋼が復調して、打撃陣は破壊力を増した。マギーのコンバートは、残り試合60を切ったところでの決断。これはマギーの体力を考えてのこと。三塁、一塁に比べて守備範囲が広く、併殺プレー、盗塁等の動きが多い二塁は負担が大きい。残り60試合なら、なんとか持つだろうというのが読売首脳の判断。いまのところ、マギーは二塁を無難にこなしているが、いつまでもつかの不安はある。

陽、マギー、坂本勇人、阿部慎之助、村田修一、長野久義、亀井善行と並べた打撃陣は重量感があるが、坂本を除けば、いわばDHを並べたようなもの。この打順の致命的欠陥は、走れないこと。接戦での勝負で勝ち目がなくなる。試合後半、いずれかの打者が走者になった時、代走を起用せざるを得なくなる。延長になれば、代走が打席に立つ。さらに困ったことに、8月4日の中日戦では代走の重信慎之介がサヨナラの場面で走塁ミスをする始末。走塁スペシャリスト鈴木尚広の引退が響いている。

読売に関しては、シーズン前の何億円補強も無駄だった。FAで獲得した「左殺し」の森福允彦がだめ、山口俊が飲酒暴力事件を引き起こし、登録抹消中。今シーズンはおろか、このまま任意引退、自由契約もあるという。陽もフルシーズンレギュラー出場は無理そうだから、読売は移籍金をドブに捨てた感がある。

それだけではない。山口俊はこの事件がなくとも、期待はできなかった。故障で開幕に間に合わず、しかも復帰後の投球フォームを見ると肘が下がっていて、試合後半には球威が落ち、シーズンを通してのローテーション入りは無理だと筆者は思っていた。事件があってもなくとも、先発定着はない。

トレードで獲得した吉川光も戦力外。唯一、右打者の石川慎吾が戦力になっているが、彼の弱点である内角をセリーグ投手陣が積極的に攻めれば、打たれることはない。来シーズンは研究されて成績を下げるのではないか。

重量級打撃陣のなかでは村田がおかしい。シーズン前半、変な使われ方をしたからではないだろうが、得意の守備面における反応が鈍くなっている。長野も故障持ちでフルシーズンレギュラーは無理。亀井も安定感がなく、年間レギュラーの選手ではない。

このような現象を引き起こしている要因は、選手の加齢のため。読売の主軸(坂本を除く)と、首位を行く広島の主軸(田中広輔、菊池涼介、丸佳浩、鈴木誠也、安部友裕)とを比較すると、アスリートとしての資質の差が明らかとなる。<中年オヤジ体型(読売)>VS<アスリート体型(広島)>といった対比が思い浮かぶ。広島の選手の方がスピード、俊敏性、瞬発力等の運動能力が圧倒的に優れている。FAでベテランの強打者(DHタイプ)ばかり集めた読売が4位というのも郁子なるかな、だ。野球賭博事件に次いで、飲酒暴力事件を引き起こす読売球団に明日はない。

がんばる阪神――香田勲男の投手コーチ手腕を評価せよ

阪神の好成績の主因はなんとっても、投手力。防御率リーグ1位は予想できなかった。セットアッパー、クローザーの二人の外国人、メッセンジャーの好調、若手の台頭と、投手陣に関する好材料が揃っている。投手陣を再建した香田投手コーチ(元読売投手)をメディアはもっと評価すべきだ。若手打者の「成長」が大きく報道されるが、投手陣に比べれば見劣りする。完全にレギュラーの座を獲得するだけの力を有している若手打者は出てきていない。

ベテラン勢(糸井嘉男が故障のため不在)の福留孝介、鳥谷敬、上本博紀、途中加入のジェイソン・ロジャース(一塁手)ががんばり続ける一方、若手がチャンスで有効打を放ち、いまの成績を維持している。阪神の奇妙なチーム・バランスについては予想できなかった。