2010年10月1日金曜日

中国は覇権主義・帝国主義の警戒すべき国家

昨日の国会において、尖閣問題に関する愚かな質問を繰り返し行った自民党議員に係る批判は、前日の当コラムで書いたとおり。ところで、その愚かな自民党議員が、自民党・影の内閣の「外務大臣」だというから、驚きを通り越して、呆れてしまった。自民党が「終わった」ことは、何度も当コラムに書いたので繰り返さないが、それにしても酷すぎる「人事」というほかない。

さて、日本も中国も、尖閣に関しては、不退転の決意で覇権を主張することが明確になった。日本・中国は、お互い「善意の隣人」ではなく、「あたりまえの隣人」であることが明確になった。このことは、日中両国民にとって、悪くない。お互い、油断大敵、戸締りだけは、きちんとしておかなければいけないということだ。

仕掛けたのは日本だ。まずもって、日本は尖閣において国内法を執行しようとしたが、中国はそれを断固として受け入れなかった。日本は国内法で中国人を検挙し、その後、国内法(検察判断)の特別措置で、中国人犯罪者を釈放した。ここまでのところ、日本の筋は通っている。騒いでいるのは、自民党、与党の一部、そして、マスコミに巣くっている過激な民族主義者だけだ。繰り返すが、いまのところ、日本政府の措置に問題はない。

このたびの事案によって、日本側が尖閣の領有をあからさまに主張もしくは実行すれば、中国が武力行使も辞さないということが明確になった。このことは、日本の安全保障にとって、「大きな成果」だと呼べる。

中国が民主主義体制の国家ではないことは明白だ。第二次世界作戦後、中国がその覇権を求めて参戦した主な戦争としては、朝鮮戦争(1950)、チベット動乱(1956~)、中印戦争(1959)、中越戦争(1979)を挙げることができる。また、1947年の内モンゴル併合、1955年の新疆ウイグル自治区の創設(東トルキスタン併合)なども、中国の領土拡張に伴う「内乱」である。そればかりではない。1989年、民主化を求める中国民衆に対して、中国共産党政府は、非武装の民衆を多数虐殺した(天安門事件)。

これらの戦争・弾圧は中国共産党・一党独裁の下で行われた。現在の中国が、マルクス・レーニン主義に基づく共産主義体制の国家でなく、さらに、計画経済に基づく社会主義経済体制の国家でないことも明らかだけれど、かといって、人民の参政権を認め、基本的人権を遵守する、民主主義体制の国家でもない。いわんや、武力をもたない平和協調路線の国家でもない。中国共産党の基本路線は、結党以来、いくつかの修正が行われたものの、一党独裁=反民主主義、覇権主義・帝国主義・膨張主義で一貫している。中国は現在、戦争こそ行っていないが、そのいくつかの周辺国との間で、尖閣と似たような領土問題をいくつも抱えている。

中国が遠い将来、平和と民主主義の国家に変容するかどうかは定かでないが、21世紀初頭においては、一党独裁・覇権主義・帝国主義・膨張主義の国家であり続けることだけははっきりしている。その隣国・周辺国である日本・韓国・モンゴル・ベトナム・東南アジア諸国、インド等々は、中国の脅威に対して、共同でその動向を注視しなければならない。

日本は、日中親善をこれまで以上に促進し、経済における互恵的パートナーであり続けることに異論はないものの、中国の覇権主義・帝国主義・膨張主義に対する警戒を怠ってはならない。