2016年10月7日金曜日

サッカー日本代表の危機、ますます深まる

サッカー、W杯ロシア大会アジア最終予選B組第3戦、FIFAランク56位の日本代表が同123位のイラク代表に2-1で勝利した。決勝弾は後半アディショナルタイム。まさに薄氷を踏む勝利とはこのことだ。対戦相手は内戦で国家が溶解状態のイラクだ。彼らはホームでは試合ができない流離のチーム。その相手に日本がホームで辛勝なのだから、劇的な試合結果に酔っている場合ではない。日本代表の危機はより深まったように筆者には思える。

筆者は5日の拙Blogにおいて、今月のイラク戦(H)、オーストラリア戦(A)において日本が勝点4を上げられなければ代表監督更迭が望ましいと書いた。筆者の基準に従えば、結果的には次の試合引分以上でノルマ達成だから、ハリルホジッチの首は切らなくてもいい。ハリルの首は薄皮一枚でつながる可能性は高まった。

ベンチの香川はもちろん、先発の本田、岡崎も貢献度ゼロ

試合内容は悪かった。日本の「エース」と呼ばれるFW(Rs)本田がまったくだめ。「一対一」で簡単にボールを奪われる、走れない、決定機を外す。コンディション、試合勘、フィジカル面で彼は代表に相応しくない。日本代表の「10番」、香川(MF)も最後までベンチ。状態は相当悪いのだろう。岡崎(CFW)も得点に絡まずじまい。ポストプレーを確実にこなしていたという評価もあろうが、シュートシーンが皆無に等しいのだから、ワントップとしては失格だ。

先制点は、オフサイド気味。判定については不利も有利もあるのだから、得点は得点だけど、ちょっとどうなのかなと思うところ。決勝点はパワープレーの結果生じたもの。長身DFの吉田麻也が前線に残り、彼が粘った結果生じた決勝点だ。パワープレーも戦術のうちだから否定はしない。ならば、ハイボールを取り入れた攻撃パターンを選択肢とした取り入れた選手選考をすべきだろう。この試合結果が、長身CFを代表に呼ぶ必要性を実証した。

試合に出ていない選手は使えない

前出の拙Blogにおいて、日本代表危機報道の具体的要素をアンバンドリングしておいた。それを再掲すると、▽「海外組」が試合に出場していないこと、▽それに代わる新戦力(Jリーグ選手)の台頭がないこと、▽ハリルホジッチの戦術が選手に浸透していないこと――であった。

この試合に限れば、「海外組」については香川、本田、岡崎の3選手がダメで、清武、原口、吉田麻也が合格。「国内組」では山口蛍が合格となるのだろうが、相手は先述のとおりイラクだ。彼らはいろいろと困難な状況を乗り越えて日本にやってきたチーム。同情すべき相手なのであって、ホームの日本がねじ伏せなければいけない。にもかかわらず、内容は五分五分、「一対一」で負けているようではどうにもならない。

こんなサッカーなら、世界との差広がるばかり

戦術面については、日本が速攻で相手を崩した場面が相当数あったとは思えない。ジーコジャパン、岡田ジャパン、ザックジャパンがアジアの代表チームと戦ってきた試合内容とほぼ等しい。FIFAランキング100位以下の相手ならば、日本のポゼッションサッカーが通じるということだ。

このことは日本にとって喜ばしい反面、日本が世界の潮流から大いに遅れてしまう要因となっている。このレベルで辛勝ならば、アジアでもスピードとフィジカルで日本を上回るオーストラリアやイラン、さらに、ソンフンミン(イングランドプレミア、スパーズ所属)擁する韓国に劣る。

ホームのサウジアラビア戦がまさに正念場

イラン、韓国とは組が違って幸いだが、11月には同組のサウジアラビアとの対戦が控えている。アジアにおける日本の立ち位置は、オーストラリア、イラン、韓国、UAEに次ぐ5番手くらいが妥当なところ。筆者は別のコラムにおいて、最終予選、日本はB組3位と予想したのだが、とにかく、サウジアラビアが日本の前に立ちはだかるようなことがあれば、筆者の予想は的中する。日本が3位に沈めば、A組3位とのプレーオフ。それに勝てば、北中米のどこかの国との大陸間最終プレーオフが待っている。そこまで混沌としてしまったら、W杯予選の結果に係る予想は、いまの段階では不可能というもの。とにかく日本はオーストラリア戦を引分以上で終わり、当面の敵、11月のサウジアラビア戦に全力を傾け勝利しなければならなくなった。