2017年1月8日日曜日

挑戦しないことが最大の失敗


お正月、地上波・BSTVに辟易して、CATVでUFCの再放送を眺めていたところ、プロレス界のレジェンド、CMパンクのMMA転向デビュー戦(2016/9/10)をみることができた。試合はパンクの惨敗。MMAの若手に1R数分でタップアウト。まるで試合にならなかった。

しかし、パンクの試合後のマイク・パフォーマンスがすごかった。彼は「(試合に負けたことより)挑戦しないことが最大の失敗なんだ」というような意味のことをいった。MMAに挑戦しなければ、パンクは「世界一強い男」でいられたかもしれない。だが彼はMMAに転向し挑戦した。その結果、無名の若者に惨敗した。彼の転身は結果からみれば大失敗だし、無謀とも思える。MMAとプロレスはまるでちがう。プロレスは格闘技ではないからだ。

パンクの転身はカネのためだとする報道もあるし、所属団体(興行元)とのトラブルからだという説も否定できない。そうなのかもしれないが、彼が敗ければ、彼が築いてきた名声を失う可能性もあった。彼を支持してきた全米の多くのファンの失望を買うかもしれない。そして、パンクは負けた。

さて、彼の地元クリーブランドで行われたこの試合、彼のマイク・パフォーマンスは観客から絶大な拍手と声援で受け入れられた。アメリカ人、少なくともクリーブランドのパンクファンは、パンクの失敗を非難するどころか、彼の「挑戦」を称賛した。結果がすべてではないことを肯定した。


「挑戦しないことが最大の失敗」、そうだな、オレの人生はまさにその意味で失敗だな・・・なんて、神妙な気分にとらわれた。自分は煩わしさ、鬱陶しさから逃げてきたというより、それらを避けてきた感が強い。

結果がすべての新自由主義の世の中、若い人が委縮しているように思う。パンクがプロレスからMMA転向を発表したのは36才のとき。そして2年間のトレーニングを積んで38才でUFCの檜舞台を踏んだ。格闘家としては若くない挑戦である。もちろん、パンクがMMAでこの先成功するかどうかはわからない。筆者はMMAの専門家ではないので、彼のMMAの才能を見極めることができない。けれど、「挑戦しないことが最大の失敗だ」というパンクの言説は心に響く。正月、いい番組を見られた。その意味で「偶然」に感謝したい。