2018年6月10日日曜日

「二刀流」頓挫ーー大谷10日間のDL入り

 「二刀流」大谷翔平のMLBにおけるチャレンジが止まった。“終わった”と思いたくないので、“止まった”と書く。

大谷は8日(日本時間9日)、右肘の内側側副靱帯(じんたい)を損傷し、10日間の故障者リスト(DL)入りした。球団の発表によると、大谷は前日の7日(同8日)に米ロサンゼルスでPRP注射を受け、3週間後に再び右肘の状態を診断されるという。復帰の判断はそれ以降になる。ここまで投手として4勝1敗、防御率3・10、打者としては打率2割8分9厘、6本塁打、20打点の成績を残している。

筆者はこの事態に驚いていない。拙Blog(5月9日「NPB30試合を経過」)において、“大谷の「二刀流」挑戦はシーズン半ばで頓挫する”と書いたからだ。悪い予感が当たってしまったというのが率直な感想だ。PRP注射の効果は相当なものだといわれているから、一月後には復帰している可能性もあるし、その反対に手術に至る可能性もある。筆者の予想では、後者となると見込む。医者でもなければスポーツトレーナーの資格もない筆者がどうこういっても始まらないが、右肘内側副靭帯損傷からの短期間での復帰は難しい。若い大谷だから手術をして、出直したほうがいい。

原因は明らかに「二刀流」からくる過労だ。スプリットの多投により、肘靭帯及び肩の筋肉への負担が増大したうえに、日本と異なる長距離移動、DH出場が加わり、さらに不慣れな環境(気候、生活習慣、言語等)からくる心労が重なった。心身の疲労が全身に蓄積したため、過剰な負担で弱まった靭帯の回復がままならなかった。だから、復帰後の結論としては「二刀流」の放棄しかない。大谷が野球選手として生き残るためには、投か打のどちらかを極めるべきだと思う。筆者はベースボールにおける投と打の両立は不可能と、一貫して主張してきた。

MLB移籍後の大谷は明らかに、意識過剰状態に陥っていた。メディア対応では謙虚な姿勢を貫いていたが、実戦では、球種の選択、ピンチでの投法(力投型)、投球数において、「明日なき戦い」を自身に強いていたようにみえていた。いわゆる不自然さ、焦りが際立っていた。だから、「前半で終わる」と書いた。大谷の稀な才能をこれ以上、摩耗させてはならない。