2018年7月4日水曜日

ロシアW杯、ベスト8決定

ロシアW杯のベスト8が次のように決まった。

【A組】
(1)ウルグア(2)ロシア(3)サウジアラビア(4)エジプト
【B組】
(1)スペイン(2)ポルトガル(3)イラン(4)モロッコ
【C組】
(1)フランス(2)デンマーク(3)ペルー(4)オーストラリア
【D組】
(1)クロアチア(2)アルゼンチン(3)ナイジェリア(4)アイスランド
【E組】
(1)ブラジル(2)スイス(3)セルビア(4)コスタリカ
【F組】
(1)スウェーデン(2)メキシコ(3)韓国(4)ドイツ
【G組】
(1)ベルギー(2)イングランド(3)チュニジア(4)パナマ
【H組】
(1)コロンビア(2)日本(3)セネガル(4)ポーランド

フランスはアルゼンチンと壮烈な打ち合いの末の勝利。ホームのロシアがスペインにPK戦で勝利、金星をあげた。日本はベルギーに逆転負け。筆者一押しのクロアチアは、デンマークにPK戦で辛勝。この試合は「悪いクロアチア」だったので、この先が心配だ。

現代サッカーの特徴が顕著に

決勝トーナメントに入るに至って、現代サッカーの特徴が際立ってきた。現代サッカーというよりも、W杯サッカーの特徴なのかもしれないが。それは、①堅守、②縦に速い攻撃、③フィジカル重視、④セットプレーの重要性――の4点に要約できる。ブラジル、ウルグアイの進撃も堅い守備があってのもの。南米サッカーの特徴は強い守備。


日本代表を総括する

(一)守備が弱い
日本代表について、前出の現代サッカーの傾向を踏まえつつ総括する。日本がベスト16入りしたことで日本中がわいたが、筆者からすると、世界レベルからみるとまだまだという感が強い。

その理由の第一は守備の弱さ。日本は一次リーグ、決勝トーナメントの4試合でコロンビアに1失点、セネガルに2失点、ポーランドに1失点、ベルギーに3失点と完封試合がない。4試合のうち、コロンビアは相手が10人(ほぼ90分間)、ポーランド戦は例の負けを覚悟のボール回しである。この2試合がまともな情況で行われていたら、もっと失点した可能性もあった。

(二)乾という発見
第二の攻撃面では、「乾という発見」の一語に尽きる。日本の左サイド、長友、乾、香川が絡んだ攻撃の構成力は、筆者に想像できなかった。乾は若手のイメージが強いがすでに30才。「遅れてきた青年」である。

また、右サイドでも酒井宏、原口の献身性は称賛に値した。原口の代わりに、左利きの強力なアタッカーがいれば、日本の攻撃はより強力になったかもしれない。本田がこのポジションで機能しなかったのが残念。その一方、柴崎もプレーメーカー(日本語では「ゲームメーカー」)として機能した。彼の活躍も忘れてはならない。

(三)責められる、ベルギー戦試合終了間際の本田のコーナーキック
セットプレーについては、点を取れる機会という面もあるが、それだけではない。ベルギー戦、追加タイムで失点した場面で攻撃側の日本のコーナーキックについて、イタリア人の名将ファビオ・カペッロが、コーナーキックを蹴った日本代表の本田圭佑を批判した。
日本は意味のないことをした。私が日本の指揮官だったら、ホンダの元へ行き、彼の首元をつかんだだろう。日本は94分まで、すべてのコーナーキックでショートコーナーを選択し、ボールを中に放り込むことは一切しなかった。だが94分、終了まであと数秒に迫ったところで、ホンダが唯一、中にボールを入れた。(ティボー)クルトワは自分の仕事をし、味方にカウンターを仕掛けさせた。
純粋に無意識な行動だったと思う。だがこのような状況では、近くにパスを出し、コーナーの周辺でボールをキープし、延長戦へ持ち込まなければならない。このような場合、キャリアを通じて、コーナーキックを絶対蹴ってはならないものだ。(『メディアセット』のロシア・ワールドカップ特番『バラライカ』より。)
日本代表選手がベルギー戦の後、コメントを出していたが、その中で柴崎が「点差以上の力の差が(日本とベルギーの間に)あった」という意味のことをしゃべっていた。それがすべてだろう。

ワンパターンの西野采配

西野監督の采配面の最大の問題点は選手起用であろう。不調のGK川島への固執がわからない。W杯開始直前のテストマッチにおいて、川島の状態を把握していなかったとしか思えない。直前の3試合で第二、第三GKをもっと試合に出しておくべきだった。それはそれとして、日本のGKのレベルはかなり低い。GK育成は喫緊の課題の一つ。

後半、判で押したような本田投入も理解できない。セネガル戦で本田が得点したため、その瑕疵がめだたなかったのだが、前出のファビオ・カペッロの指摘のとおり、ベルギー戦で露呈してしまった。本田は「過去の人」なのである。

ポーランド戦の負け覚悟の「博打」采配も悪い記憶を残した。日本代表は全力プレーがモットーではなかったのか。

日本サッカー界は〈世代〉という概念を払拭せよ

最後に〈世代〉という概念についてふれる。各国代表をみると、必ずや20歳前後の若手が試合に出ている。20歳そこそこで才能を開花させた選手もいるし、無名の者もいる。日本ではU〇〇代表→五輪代表→A代表→W杯代表というカテゴリーが固定化されていて、飛び級が認められない雰囲気がある。年功序列といわれる所以である。下のカテゴリーで代表を経験し、世界でそこそこ実績を上げた者がW杯に出られるという感じ。だから選手層が薄くなる。

一方、世界では有望な若手をW杯に出して、その者が活躍すれば多額の移籍金で欧州のビッグクラブに入団するコースができているように思える。チーム編成においては、超ベテラン、W杯経験者、未経験A代表、超若手…の混成だが、有望な若手を積極的に抜擢する国が多いような気がする。3大会連続出場のスーパー・スター、メッシ(アルゼンチン)、Cロナウド(ポルトガル)のチームがベスト16どまりだったのもなんとなく了解できる。

まとめ

今後の日本代表については、ロシア大会の代表チームの解体作業から始まる。新たなチームづくりに早急に取り組む必要がある、と換言できる。具体的には、堅守(強いCB、大型のGKの育成)、フィジカル(走力、スタミナ、デュアル、スピード)強化、速攻の確立、若手SBの育成…などなど、その作業は、チーム全体にわたるものとなろう。