2020年3月11日水曜日

新型コロナウイルス考

世界に広まる新型コロナウイルス感染
新型コロナウイルス(以下「COVID-19」と略記)が世界的に蔓延する予兆を前にして、それについてどう考えどう行動すべきかについて、以下、明らかにしてみたい。

未知なるものを前にすれば、「科学的発言」すら相対的である

いまのところ、COVID-19の正体はつかめていない。よって、防御法、治療法は確定していない。いまできるのは、PCR検査実施による感染者の発見、感染者の積極的隔離、重症者(肺炎症状)に対する点滴、呼吸器等といった入院治療ーーである。HIV治療薬の投与が有効であるという事例が報道されたが、決定打ではない。

各国の対応もまちまちである。日本はPCR検査の実施に消極的で、感染者数は世界レベルで見ると低い。発症元の中国(武漢)と地政的、経済的に近く、中国からの観光客が多数訪れる日本(514人)が、中国から遠隔の地であるイタリア(917人)より感染者数が少ないことに違和感を覚えるが、統計上はそのとおりなのである。(2020/03/11現在)

COVID-19の脅威についても定かではない。不顕性感染者が圧倒的に多いことから、恐れる必要はないという説もあるし、30代の発症者が重篤化した事例をもって、警戒を強めよという説もある。また、死亡率はインフルエンザより低い、といういま時点のデータをもって、過度な反応を戒める専門家もいれば、今の段階では死亡率は確定できないとする専門家もいる。

COVID-19に対するシニシズム(冷笑主義)の台頭

COVID-19はインフルより怖くない――との主観に基づき、「コロナ騒ぎ」を冷笑する文科系「知識人」も台頭している。彼らの論拠は概ね、死亡率の低さである。筆者は未知の感染症の恐ろしさは死亡する人の数の多寡ではないと考える。言うまでもなく、世界で、そして日本で、毎日、たくさんの人が亡くなっていて、その原因は特定できるし、また、説明がつく。自然死、疾病、事故、自殺、事件・・・だと。

一方、未知の感染症の場合、先が見えない恐怖がある。このたびのCOVID-19の場合も、先述の通り、その特性、治療法、防御策がわからないという点で共通する。過去、「スペイン風邪」の流行で、日本人約39万人が死亡した事例がある。COVID-19が「スペイン風邪」より弱いと確言する論拠はいまのところ、見つかっていない。

それゆえに、生活者は政府及び感染症専門家に期待をするし、その施策、情報、発言に敏感になって当然である。冷笑主義者は、COVID-19の死も、インフルエンザの死も、交通事故の死も、死に変わらんじゃないかーーと発言するが、そういう発言は現時点では有害だと思う。未知のウイルスは、時間経過に伴う変異が予想されるからだ。

COVID-19に対する基本的態度

現時点における筆者のCOVID-19についての立場を端的に言えば、シニカルにもならないし、いたずらに恐れることもない、となる。注視したいのは次の点である。

  • 日本政府のトップ及び厚労省は未知の感染症にどれほどの対処能力があるかの見極め、
  • COVID-19の恐怖を盾にして、政府がそれを政治利用するかどうか、
  • 生活者がいかなる行動をその中で選択していくか

今後、いま以上にこれらについて最大限の関心を払っていきたいと思う。また、睡眠、栄養を十分とり、免疫力を高め、感染しても重症化しないような体力をつけるよう、心がけるつもりである。