2022年4月14日木曜日

日本プロ野球活性化のための再構築計画

 

日本プロ野球(NPB)はストーブリーグ中だが、高額選手のFA移籍もなく、話題が乏しい。トライアウトも話題にはなるが、契約が内定した選手は極めて少ない。毎年100人辞めて100人が入団するというNPBだけれど、筆者はこの時期、戦力外通告、自由契約を宣告され、入団先が決まらない若い選手のことを思うと気が重い。トライアウトをTV映像で見た限り、やれそうだなと思われる選手が何人かいたが、契約の情報はいまのところ、入っていない。

「プロは実力の世界」は思考停止

プロは実力の世界――という言い方は間違いだとは思わないが、いまのNPBに関する限り、それは思考停止の正当化だと筆者は考える。NPBは一軍(セパ6球団合計12球団)、二軍(イースタン、ウエスタン合計12球団)があり、その下部組織として3軍を保持する球団もある。さらに育成契約選手というわけのわからぬカテゴリーも存在している。

一方、NPB以外の野球運営組織(学生を除く)としては日本独立リーグ機構(JPBL)という独自の職業野球組織がある。同機構は、2005年に四国アイランドリーグplusが発足(現在4球団)、2007年にはルートインBCリーグが発足し、現在、東地区4、中地区4、西地区4、合計12球団で運営されている。

さらに日本野球連盟(JABA)が都市対抗野球大会を運営していて、地区予選(1次、2次)を勝ち上がった32チームが本大会で覇権を競っている。いわゆる社会人の野球大会なのだが、企業の支援の下、レベルは高い。

現状、バラバラな運営状態

日本は人口1億人超の大国であり、日本人は野球が大好きだし、競技人口も多い。プロ野球ビジネスは市場性として有望だ。ところがその運営組織がバラバラ。近年、NPBと独立リーグの人的交流は増加したが、選手間の交流はそれほど活発ではない。社会人野球は「アマチュア」を表に出していて、職業野球との交流に消極的だ。

筆者は都市対抗――社会人野球という運営組織が日本のプロスポーツの活性化、スポーツビジネスの阻害要因だと思っている。社会人であるという身分保証が選手の能力開発を妨げる。野球で身を立てるリスクをヘッジして、引退後の職場を担保しているわけだ。それでは伸びない。もちろん、プロでやる自信はないけれど、好きな野球をしたいという人の気持ちを肯定する。そういう人はクラブチーム、草野球で仕事の合間の時間を使って野球をすればいい。ところが、現在の都市対抗は企業の知名度アップ、宣伝PRの材料であって、プロとうたわない偽のアマチュア組織だ。こういう詐欺的名称は早く下ろして、プロ化すべきだ。

既得権益にしがみつく12球団

NPBにも問題がある。12球団がそろって既得権益にしがみつき、球団数増加を規制している。アメリカにならい、MLB→AAA→AA→Aのような形で球団のすそ野を広げるべきだ。日本の場合ならばすでに、一軍、二軍、三軍、育成選手、独立リーグ、社会人があるのだから、NPBがサッカーのJリーグのような統括機構になって、サッカーのJI、J2、J3のようなカテゴリーを設けることが望ましい。そうなれば、トライアウトのようなまやかしの再就職イベントを開催しなくとも、選手の流動性を高めることはできる。一軍、二軍、育成、独立リーグ、社会人の全球団をシャッフルして、リーグを実力ごとに再編成してカテゴリーをつくればいい。一軍はおそらく、現在の12球団から16球団まで増やせるだろう。そうなれば、クライマックスシリーズ(CS)という愚かなイベントも不要だ。CSはマラソンの後、上位6名に100メートル走を強いるくらい愚かだ。16球団ならば地区別4球団のノックアウト方式の勝ち上がりで日本一を決めればいい。

Jリーグを参考にリーグ活性化の仕組みをつくり直せ

消化試合問題の解決方法は、これもJリーグを参考にすればいい。下位球団のカテゴリー入れ替えが一つ。もうひとつは、サッカーの場合、上位3チームがアジア・チャンピオン・リーグ(AFC)への参加資格を得られることだ。つまり、上位・下位が最後まで必死で戦い抜く仕掛けがビルドインされている。AFCで勝てば、世界の強豪と戦うチャンスを得られる。

職業野球の場合、世界~アジア~国を統合する機構が存在しないのでいますぐには無理だが、将来的にはビジネス拡大のタネになる。アジア大会ならば、日本、韓国、台湾、中国、オーストラリアでいますぐにでも開催可能だろう。

選手が異なるカテゴリーで活躍できるようになれば、その上に再チャレンジする可能性が広がる。もちろん給料は下がるだろうがそれこそ実力の世界だ。NPBはドラフトでアマチュア選手を数多く指名し囲い込む一方、そのときのGM、監督、コーチらの主観で不要と判断された選手がポイ捨てされる。あまりの無責任さに腹が立つ。