2025年4月26日土曜日

つまらないNPB


NPB(日本プロ野球)は各球団とも(2025/4/26時点で)、開幕から20試合ほどを消化した。筆者の印象としては、両リーグとも、レベルダウンしているように思える。 

〔セリーグ〕 

セリーグは、上位(広島・阪神・読売)と下位(中日・ヤクルト・ DeNA)の実力差がはっきりしていて、早くも興味が薄れた。中日は小笠原、マルチネス(先発・抑えの主力)がチームを去り、その穴を埋める新戦力不在で2025シーズンを迎えてしまった。課題だった打線強化は何シーズンも打つ手なしで、解消されないまま。ドラフト、育成、トレードといったチーム強化をおろそかにしてきた球団だけに、現在の4位は健闘に値するが、いずれ最下位に沈むだろう。 

ヤクルトも投手陣強化という課題が解消されていない。先発・中継ぎ・抑えのどれも弱すぎる。中日どうよう、強化プランがないまま、数シーズンを重ねている。 

昨年日本一に輝いた DeNAも、投打に好材料が見あたらない。他の下位球団同様、新戦力の台頭が見られない。MLBをクビになった筒香、超ベテランの宮崎が主力をはるようではこの先も暗い。  

読売は菅野がMLBに移籍し、戸郷が絶不調、グリフィンが体調不良と先発3投手を欠きながら、先発再編成でなんとか3位にとどまっている。再編成されたローテーションは〔井上・石川・〇・山崎・赤星・〇)の4枚で、埋め切れていない2枚を田中等およびブルペン・デェイで賄っている。DeNA 投手陣が火の車である状況に鑑みれば、同球団から整理された石川が序盤の読売の救世主になっているのはなんとも皮肉というほかない。

打者陣は丸を欠き、坂本が限界に近づくという、これまた大ピンチにもかかわらず、岡本・吉川・甲斐が絶好調で下位チームから白星を奪っている。甲斐の獲得が攻撃陣にプラスとなったことはうれしい誤算かもしれない。ここにきて2年目の泉口、昨シーズン移籍してきた若林と、新戦力の台頭があり、好材料がそろいつつある。

とはいえ、読売の打力はつながりに欠け、先行されると反撃能力が低いので大勢・マルチネスを使いあぐねてしまう。現状の3位は善戦と言っていいい。前出の戸郷、グリフィン、丸はいずれ復帰するから、読売が優勝の一番手であることはまちがいない。 

現在トップの広島は中継ぎ・抑えに不安が残るし、打撃陣に破壊力ある選手が不在なまま。阪神も絶対的抑えが不在で、しかも野手の控えが手薄。好調の近本・中野の1・2番コンビのうちどちらかを欠けば、戦力がガタ落ちする可能性が高い。 

ところで、二塁・遊撃にいい選手が育たないのがNPBの特徴なのか。少年野球から、運動能力の高い子供が投手というポジションに集中するからだろうか。 

〔パリーグ〕

ソフトバンクが故障者続出で開幕ダッシュに失敗したばかりか、現在最下位とは予想外。昨年不振だったオリックスは、今シーズンは昨年の故障者が続々と復帰するといった好材料に恵まれ、トップにいるのは不思議ではない。ただし、このチームの弱点は抑えの不在。 

ソフトバンクの独走予想が覆り、6チームの勝率に大きな差はなくダンゴ状態だ。混戦とはいえ、日ハム、楽天、ロッテ、西武が優勝争いに絡む確率は低い。この4チームがCS出場争いを繰り広げ、日ハムが勝ちあがる程度が興味の対象となるくらい、話題が少ない。 

NPBがなぜ つまらいないか

セリーグはなぜ、いまだにローカル・ルールの9人制を続けているのだろうか。MLBで大谷が二刀流(昨年、今年は打者専任だが)の道が可能なのは、DH制度があるからだ。それだけではない。ツーアウトの得点チャンスで投手の打順、興ざめである。なかにはそこで投手がヒットを打つシーンもなくはないが、およそ奇跡に近い。

言うまでもなく、国際試合はすべて10人野球。NPBの集客数は落ちていないどころか上がっているようだが、MLB人気(大谷ほか日本人選手の活躍)という外在的要因だ。死球や走塁といった危険から投手を護るという観点からも、10人制に切り替えるべきだ。 

球団数が増えないことについては、何度も書いた。コミッショナーに権限がなく、12球団オーナーのギルド体質による独占だ。合理的改革を進める気概がなく、野球を面白くしようという意欲がない。12球団のうち、およそ半分の球団が強化戦略を欠いた状態だ。本社の宣伝媒体でよしとする現状維持の消極的経営体質から脱却できていない。

具体的には、セリーグで最悪なのが中日とヤクルト。パリーグでは西武と、監督交代でお茶を濁しているだけの楽天。三分の一が腐ったまま、プロ野球として観客から料金をとっている。日本の野球ファンはそれで良しとしているのだから仕方がないが、MLBのマイナーリーグとして生きていこうという選択なら、どうしようもない。 〔完〕