2017年3月22日水曜日

侍ジャパン、準決勝で敗退

WBC予選ラウンド6試合を全勝で勝ち進んだ侍ジャパンだったが、ロスアンゼルスでの米国との準決勝で敗退(1-2)。筆者の予想(優勝確率15%=野球評論家張本勲の予想に同意した)どおり、優勝はならなかった。

予選ラウンド6連勝はホームの利

侍ジャパンの現有戦力でベスト4の成績は善戦だといえる。だが、実体としては、▽1~2次予選(東京ラウンド)はホームでの6試合、▽狭い人工芝のドーム球場(TD)、▽恵まれた日程、▽難敵と思われたキューバが不調――という、侍ジャパンには好条件がそろいすぎていた。日本の6連勝の背景には、日本ホームのなか、密閉空間(=ドーム球場)における異常な応援が、相手選手を精神的に揺さぶった可能性もある。

捕手小林の好成績は驚き

侍ジャパンの予選6試合では、筆者にとって想定外の展開も見られた。第1点は、二塁・菊池(広島)の好守備。奇跡的とも思える好プレーを連発して、日本チームの窮地を救った。第2点目は、捕手・小林(読売)がラッキーボーイとなったこと。菊池の守備は定評があったから驚きは少ないが、小林については想定外以外の何物でもなかった。拙Blogで、小林が日本代表に選出されたこと、及び、代表レギュラー捕手となったことを批判したくらいだ。ところが、打率シーズン2割程度の小林が、WBC7試合で、4割超の打率を残した。

肝心のリード面では、それほどの驚きはなかったけれど、無難に仕事をした。小林の意外性は、予選ラウンド、9番ながら再三再四、タイムリーをしぶとく放ったこと。相手投手が、小林を舐めた結果、彼に痛打を食らったような気がする。データでは、シーズン打率2割そこそこの9番打者――しかも小柄な体格な小林の打席の姿を見て、相手投手が気を抜いたとも考えられる。

侍ジャパンの実力はWBC中5位程度

侍ジャパンの成績は、2017WBCベスト4だが、実力では、このたび決勝に進んだプエルトリコ、米国、予選1次ラウンドでは米国に勝ったドミニカ、そして日本に惜敗したオランダに次いで世界5位といったところではなかろうか。予選6試合が東京開催になるWBCのレギュレーションならば、日本はこの先(開催があるならば)、準決勝(ベスト4)に進める可能性は高い。しかし、WBCが、FIFAW杯(サッカー)のようなセントラル開催方式に切り換われば、他国開催のWBCにおいて、予選ラウンドで敗退する可能性の方が高いように思われる。

日本の守乱は人工芝、ドーム球場慣れ

米国との試合では、日本の2失点はミスがらみだった。最初の失点は、名手菊池(二塁手)のエラーが起点となったし、決勝点となる2失点目は、三塁手・松田のファンブルによるものだった。堅守と投手力が売り物の日本のスモール・ベースボール。その一角である守備の乱れから日本が負けたのは意外といえば意外だが、それなりに理由がある。第一は、準決勝の舞台がMLBの球場(ドジャースタジアム)であったこと。日本はアウエー、しかも、天然芝、屋外球場で天候は霧雨。NPBの内野手の多くがドーム球場で育っていることを考えると、天然芝で広く、雨、風、太陽の影響をまともに受けるMLBの屋外球場では、うまくいかなくて当然。しかも、敵地となれば、プレッシャー及び時差等のコンディション調整も難しくなる。侍ジャパンの野手が狭いドーム球場(たとえば東京ドーム等)を多く経験し、しかも、アウエーの一発勝負、緊迫した試合をそうそう経験する機会を持てない以上、WBCにおける侍ジャパンの成績は、よくてベスト4程度となることは容易に想像がつく。